トピックス 「2024アジア太平洋経済協力会議 規制調和運営委員会(APEC RHSC)」開催される
アジア太平洋経済協力会議(Asia-Pacific Economic Cooperation Conference、APEC)の規制調和運営委員会(Regulatory Harmonization Steering Committee、RHSC)が、2024年7月18~19日の日程でシンガポールにて開催されました。RHSCは、APEC地域における医薬品ビジネスを促進するため、太平洋を取り巻く21のメンバーエコノミーの行政機関に加えて、産業界や学術機関の代表者が集まって、自主的な協調と開放的な地域協力が進むよう調整する委員会です。特に医薬品・医療機器に関する薬事規制について、法令や規則を変更することなく地域を越えて同じように運用できるよう(レギュラトリー・コンバージェンス)、トレーニングやキャパシティー・ビルディングを行いながら、規制調和を推進しています。
集合写真
はじめに
RHSCの議長は、日本と米国が担っており、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)執行役員の安田尚之氏と米国食品医薬品局(FDA)のMichelle Limoli氏が共同議長を務めています。APEC自体は政府間の会議であるため、RHSC主要メンバーはPMDAやFDAのような保健当局になりますが、製薬協は米国研究製薬工業協会(PhRMA)とともに、研究開発型製薬企業の代表として長く主要メンバーの一翼を担い、RHSCの会合へ継続的に参加しています。
会合の内容
RHSCでは2030年に向けたビジョン(RHSC 2030ビジョン)として、APEC内におけるレギュラトリー・コンバージェンス推進を掲げています。医療品は、保健当局の審査と承認を得た後に患者さんへ届けることができます。RHSCの活動を通して、保健当局間の薬事規制の運用およびそれに基づく審査基準が共通化されることにより、年単位の差を生じずにAPEC地域へ新薬等を提供できるようになることが望まれます。
RHSCでは医療品の開発や審査において重要と考えられる優先作業エリア(Priority Working Area、PWA)を複数設定しています。APEC内のいずれかの保健当局がそれぞれのPWAをリードしていますが、近年は、PWA内容の普及を図るためにワークショップを開催し、APEC内保健当局の審査レベル向上と共通化を目指した活動に軸足を移しています。今回の会合においては、各PWAをリードする保健当局から、活動ロードマップの更新提案やワークショップの活発な開催実績・計画が報告されました。製薬協は、台湾FDAとPMDAが共催するPWA、優良医薬品登録管理(Good Registration Management、GRM)において、立ち上げ時からガイドラインやトレーニングプログラムの策定ならびにワークショップへの講師派遣等、幅広く活動しています。そのため、台湾FDAからのGRM活動報告において、製薬協の貢献がRHSC内で改めて共有されました。なお、製薬協は保健当局からの要請を受けて、GRMのみではなく複数のPWAワークショップへ講師を派遣しています。
製薬協としては、今回の会合参加を通して、RHSC 2030ビジョンに向けた活動が、複数のPWAワークショップを介して、着実に推進していることを確認することができました。また、新しいPWAの提案もあり、RHSCの活動範囲がますます広がっていくことが期待されました。
会合の様子
終わりに
RHSCは、2024年からAPEC基準・適合性小委員会(Sub-Committee on Standards and Conformance、SCSC)傘下で活動を継続しており、今回は新しい枠組みでの最初の会合となりました。2025年は韓国がAPECをホストし開催地となります。製薬協は、引き続きRHSCへの参加、PWA活動における講師派遣等を通じ、APEC地域における規制調和活動推進に協力していきたいと思います。
製薬協から参加したAPAC RA-EWGの畠山伸二リーダー(左)
製薬協の中川祥子常務理事(中央)、国際規制調整部の加藤真理子部長(右奥)
(APAC RA-EWG リーダー 畠山 伸二、国際規制調整部長 加藤 真理子)