トピックス 「2022年度 医薬品評価委員会・薬事委員会合同総会」を開催

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2022年4月22日に日本橋ライフサイエンスビルディング(東京都中央区)にて「2022年度 医薬品評価委員会・薬事委員会合同総会」を開催しました。本総会では、厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から講師を招き特別講演を行いました。新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、2021年度に続き、今回も製薬協幹部、医薬品評価委員会および薬事委員会の幹部約40名は会場にて参加、その他各委員会メンバーはオンラインでの参加となりました。

会場の様子

合同総会は製薬協の手代木功副会長の開会の辞で始まりました。特別講演では、厚生労働省の医薬・生活衛生局から中井清人氏、吉田易範氏、関野秀人氏、医政局から笠松淳也氏、PMDAから河野典厚氏の計5名から講演があり、昨今の医薬品等産業の動向やパンデミックからの多くの示唆を踏まえ製薬産業と行政当局が検討しなければならない課題について、改めて確認する会となりました。

令和の医薬品安全対策 ~afterコロナも想定した市販後対応~

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬安全対策課長 中井 清人 氏                        

市販前から市販後を見据えた対応・制度が必要であること、リアルワールドデータ(RWD)の活用が重要であること、さらにベンチャーによるバイオ医薬品が増加し、開発の仕方も患者さんの早期アクセスを図るための制度が充実するとともに、アダプティブデザインやアンブレラ試験等が増えてきていることについて説明がありました。また、医薬品の安全性は市販前から市販後までを見据えた安全対策を検討する時代になってきているため、MID-NET(医療情報データベース)基盤整備事業等の医療情報データベースの活用促進、電子カルテの統一をHL7 FHIRで行う議論等にも触れ、海外で利用されていて日本で利用されていない部分があれば、それはすぐにでも日本でも活用すべきであると示しました。

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬安全対策課長 中井 清人 氏

医薬品審査管理業務の展開と企業に期待するもの

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課長 吉田 易範 氏                       

不妊治療薬、後発医薬品、特定臨床研究成績の薬事申請への活用の3つについてお話がありました。不妊治療薬については準緊急承認的に活用したこと、後発医薬品については1年前の不適切事案への対応として後発医薬品の承認審査時に関する通知を2021年7月に発出したこと、特定臨床研究成績の薬事申請への活用については、臨床研究法で得られた情報により、すでに実際の薬事申請が行われていることに関して説明がありました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応に関しては、緊急時の薬事承認のあり方として従来以上に安全対策は必要であり、有効性等については、推定して承認した後にも継続してデータ収集することが重要であると述べました。

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課長 吉田 易範 氏

医療機器審査管理業務の展開と企業に期待するもの

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課長 関野 秀人 氏                      

はじめに医療機器の制度について、診断系は国際競争力がある一方、治療系は侵襲度が高いこともあり、国内企業が十分に進出できていない状況であること、また、リスクは供給側だけでなく審査側にもあるので、リスクをシェアして対応すべきであると述べました。次に、医療機器にも条件付き承認制度があり、変更計画確認手続制度(IDATEN)等で予見性をもって対応しているが、まだ有効利用されていないとの話がありました。さらに、医療機器、再生医療等製品、体外診断用医薬品も薬機法改正法案対応を行っており、市販後も含めて臨床成績以外の評価方法を考え、クオリティマネジメントシステム(QMS)の世界での利活用も行われているとの説明がありました。

厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課長 関野 秀人 氏

研究開発振興の展開と企業に期待するもの

厚生労働省 医政局 研究開発振興課長 笠松 淳也 氏                             

2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現、および医薬品産業の現状と課題について説明がありました。日本は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めているものの、日本企業の規模は小さく、医薬品の開発費用は高騰する一方であるため、長期収載品に収益を依存する構造の転換が急務であること、基礎的医薬品はたび重なる薬価改定で一部について採算が悪化しているので、安定供給策が必要であること、後発品医薬品市場は経営規模が小さい企業が多数存在し、体質強化が課題であることについて指摘がありました。さらに、健康・医療戦略における医薬品プロジェクト、革新的医薬品開発にかかる厚生労働省の取り組み、クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)に関するこれまでの取り組みとこれからの対応策について、それぞれ詳細な説明がありました。

厚生労働省 医政局 研究開発振興課長 笠松 淳也 氏

PMDA業務の展開と企業に期待するもの

独立行政法人医薬品医療機器総合機構 組織運営マネジメント役 河野 典厚 氏                 

PMDAの最近の取り組みに関して、新有効成分の審査期間の地域・国間での比較、COVID-19対策に関する取り組み、COVID-19ワクチン副反応疑い報告受付および調査、添付文書改訂等の措置案および各種相談への対応件数の推移についての報告がありました。また、審査関連業務、安全対策業務、レギュラトリーサイエンス推進業務、国際関連業務、業務運営効率化および救済関連業務について、2022年度計画の主な取り組みの説明がありました。さらに、COVID-19ワクチンへの対応、医薬品GMPに係る新たな対応、これからの安全性対策に向けた検討、RWD・デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みおよびプログラム医療機器への対応についての状況が共有されました。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構 組織運営マネジメント役 河野 典厚 氏

最後に製薬協医薬品評価委員会の柳澤学委員長による閉会の辞をもって、計800名以上が参加し2時間半にわたった合同総会が終了しました。
 

(医薬品評価委員会 副委員長 佐野 俊治

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