From JPMA 医薬品産業政策の議論開始にあたって

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現状と課題認識

2021年9月には厚生労働省より8年ぶりに「医薬品産業ビジョン2021」が発出されました。国家を挙げて医薬品産業政策を講じるべきであるとの機運が高まる中、いよいよ官民による議論が開始されます。これまでの議論の延長線上や個別各論ではなく、国家を挙げて国民の健康と日本経済の成長を支える医薬品産業政策のあり方を議論していきたいと考えています。

その議論を控え、医薬品産業とその政策を取り巻く現状と課題認識として、以下のテーマについて説明します。

  1. (1)
    「革新的医薬品の医療への貢献」
  2. (2)
    「トータルヘルスケアソリューション実現に向けて」
  3. (3)
    「成長する世界市場と横ばいの日本市場」

日本製薬工業協会 会長 岡田 安史 日本製薬工業協会
会長 岡田 安史

世界最高水準の医療をいかにして国民のみなさんにお届けし続けるか

高齢化の進展等により、今後さらに保険財政が逼迫する中で、イノベーションと国民皆保険の両立を図るためには、これまでの枠組みを超えた議論が必要です。公的医療保険の給付範囲や負担構造の見直しといった国民的な議論も不可欠になってきます。医薬品についても、画期的な治療効果をもたらす“新薬”から“上市以降に臨床的な位置づけが変化した薬剤”まですべてが公的医療保険でカバーされている現状を見直す必要も出てくると考えています。

また、特許期間中の新薬、長期収載品、ジェネリックと大別すると、価格を構成する要素や役割が異なることは明らかです。その特性に合わせてグローバルスタンダードの観点から価格のあり方を議論することも必要と考えています。革新的新薬については、医療的な価値のみならず、労働生産性の改善等、多様な価値が評価されるべきであることは、昨今、製薬協からも主張しています。一方で、新薬の中でもさらに薬価のメリハリを強化するという議論があることも当然承知しています。

「医薬品産業ビジョン2021」の官民における議論には、こうした現状認識、課題認識のもとで、しっかりと向き合いたいと考えています。

(1月20日開催 製薬協会長記者会見より)

日本製薬工業協会(製薬協)
Japan Pharmaceutical Manufacturers Association (JPMA)

製薬協は、病院、診療所などの医療機関で使われる医療用医薬品の研究・開発を通じて世界の人々の健康と福祉の向上に貢献することをめざす、研究開発志向型の製薬会社が加盟する団体で、1968年に設立されました。

製薬協は、「患者参加型の医療の実現」に向けて、医薬品に対する理解を深めていただくための活動、ならびに製薬産業の健全な発展のための政策提言などをおこなっています。

製薬協は、国際製薬団体連合会(IFPMA)の加盟団体として世界の医療・医薬に関わる諸問題に対応し、各団体と連携を図りながら、グローバルな活動を展開しています。

新薬の開発を通じて社会への貢献をめざす 日本製薬工業協会

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