トピックス 「2021年度コード管理責任者・実務担当者会」を開催

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製薬協コード・コンプライアンス推進委員会は2021年9月21日、「2021年度コード管理責任者・実務担当者会」を開催しました。2021年度はコロナ禍に鑑み、2020年度と同様にオンライン形式で開催しました。会員会社73社から、コード管理責任者とコード実務担当者が参加し、表1のプログラムにしたがって実施し、有意義な会となりました。以下、本会の概要を報告します。

表1 「2021年度コード管理責任者・実務担当者会」プログラム

開会挨拶

開催に先立ち、製薬協コード・コンプライアンス推進委員会の田中聡委員長は、2021年度の本委員会の基本方針「コード・コンプライアンス推進委員会は、会員会社が関連法令はもとより製薬協コード・オブ・プラクティスをはじめとする自主規範を遵守し、生命関連産業の一員として高い倫理観を持って社会的責任を果たすことを支援する」ならびに重点課題「会員会社のコンプライアンス推進の支援」「透明性ガイドラインに基づく適切な情報公開の推進」「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインへの対応」「行政及び日薬連、公取協、IFPMA等の国内外の関係団体との連携、情報の収集・発信及びフィードバック」についてその概要を紹介しました。

また、2021年8月18日に「令和2年度販売情報提供活動監視事業報告書」が公開されたことを受けて、8月24日に当委員会より会員各社に、「製薬協コードの遵守について」という通知文を発出したことを説明し、会員各社は当該報告書および本通知文を熟読のうえ、コードの遵守を求めました。

製薬協 コード・コンプライアンス
推進委員会 田中 聡 委員長

製薬協コード・オブ・プラクティス違反措置事例

コード・コンプライアンス推進委員会の溝口裕章副実務委員長は、「措置」の考え方について、コード・コンプライアンス推進委員会が違反会社に対して自主的な改善を求めるものであることを良く理解してほしいと述べました。その後、2020年9月以降に新たに追加された措置事例として『製剤見本の不適切な取り扱い』『未承認・適応外薬の推奨を含む不適切なプロモーション活動』の2つの事例について措置の視点等を説明しました。

措置の視点としては、違反行為が長期間、広範囲にわたっていたこと、ガバナンスの脆弱性については特に重く捉えていること、違反行為はすでに中止されているものの、再発防止策が具体性に欠け完遂されているとは言えない状況であったこと等を指摘し、「軽微か軽微でないか」「その行為が停止され、適切な再発防止策がとられているかどうか」といった措置の判断基準を具体的に説明しました。最後に、情報提供活動が不適切として指摘された過去の措置事例、特に「説明会スライドに適応外症例が含まれていた事例」「IR情報を用いた製造販売承認前のプロモーション活動」「本邦未承認の自社医薬品を含むリアルワールドデータを用いたプロモーション資材」について説明し、各社のコード遵守推進の参考にしてほしいと締めくくりました。

製薬協 コード・コンプライアンス
推進委員会 溝口 裕章 副実務委員長

コード理解促進月間施策について

コード・コンプライアンス推進委員会の山野俊之実務委員長は、2021年度のコード理解促進月間の施策について説明しました。

はじめに2021年度のテーマについては、「誠実な行動で社会の期待に応えます」、サブタイトルについては、『今の時代に考える』としたことを説明しました。サブタイトル設定の背景としては、「製造管理の不備に端を発した医薬品の安定供給に係る深刻な問題等」「新型コロナウイルスの世界的感染拡大がもたらした大きな環境変化」があると述べました。

続いて、ポスターデザインについて、未来へ進む姿のイメージを「羽ばたく鳥」のモチーフで表現し、社会からの期待に応えるために製薬協として一体感をもって取り組む意味を込めて、すべての会員会社(73社)の社名を記載したことを説明しました。

製薬協 コード・コンプライアンス
推進委員会 山野 俊之 実務委員長

最後に、理解促進月間の変遷について紹介しました。2001年に「プロモーションコードの理解促進月間」としてスタートしたコード理解促進月間は、2021年で20年を迎えたと述べました。

特別講演

厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課広告指導官の野原形太氏が「『販売情報提供活動監視事業』について」と題した講演を行いました。

野原氏は、「令和2年度販売情報提供活動監視事業報告書」の概要とともに、主な疑義報告事例を採り上げ、ポイントを解説しました。「利益相反に関する事項を開示しなかった事例」では、主催企業が利益相反(COI)の開示を求めていなかった点と、主催企業が発表者のスライドの確認ができていない点がポイントであると説明し、主催企業には、「登壇者に対して、適切・正確なCOIの公開を依頼すること」「講演資料において、COIが公開されているかを確認すること」「登壇者と主催企業とのCOIが適切・正確に公開されているか確認すること」の3点を求めました。

また、監視事業報告書には掲載していないが、「監視事業の対象となる販売情報提供とは言えない事例」や、「事例集に掲載して指導するほどではないが、注意してほしいと考える事例」についても、注意喚起し、今後の活動に役立ててもらうために対象企業に伝達したと説明しました。今後、これらと同様の事例があった場合は、今回の注意喚起が活かされていないとして、事例集に掲載しての指導もあり得ると述べました。

厚生労働省 医薬・生活衛生局
監視指導・麻薬対策課 広告指導官
野原 形太 氏

最後に、2021年8月1日に施行された改正医薬品医療機器等法(薬機法)のうち広告関係に関して、「課徴金制度」「措置命令」「法令遵守体制の整備」について解説しました。

閉会の挨拶

製薬協の田中徳雄常務理事は、コード管理責任者・コード実務担当者の本会への参加に対して謝意を表すとともに、特別講演演者の野原形太広告指導官に謝辞を述べました。  続いて、以下の3点について報告しました。

1点目として、8月18日に発出された「令和2年度販売情報提供活動監視事業報告書」について触れ、コロナ禍によりオンライン形式による医療関係者との面談が増え、それに上席者や学術担当者が同席することも多くなったことにより情報提供の質が向上したとの報告があった半面、今回も不適切な情報提供が相変わらず指摘されたことが非常に残念であったと述べました。

2点目として、9月16日の製薬協常任理事会総会で会員会社2社が処分を受けたこと、およびそれを受けて、2014年発出の製薬協通知「製薬企業による臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方」の再徹底が求められたことを報告しました。

製薬協 田中 徳雄 常務理事

3点目として、8月26日に公益財団法人MR認定センターにより開催された「2021年度MRフォーラム」の冒頭の挨拶で、MRを「医薬情報担当者」ではなく「適正使用推進者」(自社医薬品の適正使用を推進するための情報提供担当者)と訳すよう提案したことを報告しました。

最後に、本会の開催にあたり、各社の運営委員の献身的な活動に対し、心より感謝申し上げると締めくくりました。

(コード・コンプライアンス推進委員会 実務委員 増田 直幸

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