トピックス 「医薬品産業ビジョン2021説明会」を開催

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厚生労働省より2021年9月13日付で「医薬品産業ビジョン2021」が発表されました。本ビジョンは、前回2013年のもの から8年ぶりの策定となりました。製薬協は、この「医薬品産業ビジョン2021」を歓迎するとともに、国民をはじめとした すべてのステークホルダーのみなさんの医薬品産業へのご期待をしっかりと受け止め、その実現に全力を尽くしていき ます。この「医薬品産業ビジョン2021」を受けて、製薬協では、2021年10月1日に厚生労働省のみなさんを迎え、「医薬 品産業ビジョン2021」への理解促進を目的とした説明会を、製薬協会員会社を対象にオンライン形式で開催しました。

はじめに

当日は、製薬協産業政策委員会総合政策部会の染谷仁一部会長の進行により、厚生労働省医政局経済課長の安藤公一氏および前経済課長の林俊宏氏の挨拶の後、課長補佐の宗得貴之氏からの解説および質疑応答を行い、最後に産業政策委員会の赤名正臣委員長より謝辞が述べられました。以下、本説明会の概要と採録です。

概要

開催日時 : 2021年10月1日(金)15:30~17:00
開催方法 : リモート形式
対象者 : 製薬協会員会社の担当者
内容 : 「医薬品産業ビジョン2021の解説」(厚生労働省)
登壇者 : 厚生労働省子ども家庭局 保育課 課長(前経済課長) 林 俊宏 氏
 同 医政局 経済課 課長 安藤 公一 氏
 同 医政局 経済課 課長補佐 宗得 貴之 氏

採録

■挨拶

厚生労働省 子ども家庭局 保育課 課長(前経済課長) 林 俊宏 氏                     

この2年間は、私個人にとっても、厚生労働省医政局経済課長に就任して以来、今日まで多くのできごとを経験した期間でした。消費税改定を含めて3回薬価改定を経験し、薬価制度の抜本改革以降の厳しい状況の中で、産業界の声に寄り添い、その考えを中央社会保険医療協議会(中医協)等、政府の会議の場に反映しようと努力してきました。2021年に実施された中間年改定は、製薬産業にとって想定を超える影響を及ぼすこととなり、業界の声が十分に反映できなかったことには残念な思いがあります。

一方で、新型コロナウイルス感染症対策に追われた2年間でもありましたが、国産の治療薬、ワクチンが世に出ないことに対してさまざまな意見があり、日本の創薬力強化が必要という世論の流れの中で、医薬品産業政策の必要性が大きな課題となったことも、「医薬品産業ビジョン2021」の策定につながった要因の一つと考えています。

厚生労働省 子ども家庭局 保育課 課長(前経済課長) 林 俊宏 氏

また、医薬品の安定供給問題も大きな課題として浮き彫りになりました。「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を設置し、医薬品の安定供給に関する議論を行ってきました。報告書と提言をまとめましたが、まだ実現できていない点もあり、「医薬品産業ビジョン2021」の中で取り上げています。

「医薬品産業ビジョン2021」は、製薬産業界の意見をはじめさまざまな関係者の意見を反映して策定することができましたが、策定して終わりではなく、各方面が協力し、官民一体で取り組んでいく必要があります。引き続き、経済課と協力して、厚生労働省と一体となった取り組みをお願いします。私は、今般、異動となりましたが、今後も医薬品産業発展の応援者でありたいと思っています。

■挨拶

厚生労働省 医政局 経済課 課長 安藤 公一 氏                              

このたび、新たに厚生労働省医政局経済課長に就任しました。医薬品行政に携わるのは初めてであり、ゼロから学んでいかねばならないという思いです。このたび策定した「医薬品産業ビジョン2021」は、医薬品産業の抱えている課題と解決に向けた道標が明らかになっています。さまざまな課題に対して、みなさんにご協力いただきながら、一つひとつ具体化して解決していくことが、経済課長のミッションであると認識しています。よろしくお願いいたします。

厚生労働省 医政局 経済課 課長 安藤 公一 氏

■「医薬品産業ビジョン2021」の解説

厚生労働省 医政局 経済課 課長補佐 宗得 貴之 氏                             

厚生労働省医政局経済課課長補佐の宗得貴之氏から、「医薬品産業ビジョン2021」(概要)を用い、医薬品産業政策が目指すビジョンについて解説がありました。  医薬品産業政策は、

(1) 世界有数の創薬先進国として、革新的創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与するとともに、医学研究や産業技術力の向上を通じ、産業・経済の発展に寄与すること
(2) 医薬品の品質確保・安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へ引き継ぐ

厚生労働省 医政局 経済課 課長補佐 宗得 貴之 氏

これらの2点を目指すことに加え、実行にあたっては、企業における投資に見合った適切な対価の回収の見込みがあることが重要であると指摘しました。

また、「革新的創薬」「後発医薬品」「医薬品流通」の各課題に「経済安全保障」の視点を加えて産業政策を展開していくことも示しました。

さらに、「医薬品産業ビジョン2021」(本文)を用い、それぞれの課題が示す意味やその背景についても詳細に説明し、それぞれの課題の背景と意味について、出席した会員の理解が深まりました。

質疑応答

今般の説明会に先立ち、製薬協産業政策委員会の各部会から「医薬品産業ビジョン2021」に関する質問を募集し、多数の質問が寄せられました。宗得氏は、会場からの質問も含め時間が許す限り大変多くの質問に答えました。

■謝辞

製薬協 産業政策委員会 赤名 正臣 委員長                                           

このたび、新たに厚生労働省医政局経済課長に就任しました。医薬品行政に携わるのは初めてであり、ゼロから学んでいかねばならないという思いです。このたび策定した「医薬品産業ビジョン2021」は、医薬品産業の抱えている課題と解決に向けた道標が明らかになっています。さまざまな課題に対して、みなさんにご協力いただきながら、一つひとつ具体化して解決していくことが、経済課長のミッションであると認識しています。よろしくお願いいたします。

このたびは、直接、「医薬品産業ビジョン2021」に関するご説明をいただくという貴重な機会をたまわり、また、詳細かつ丁寧な説明をいただき感謝申し上げます。「医薬品産業ビジョン2021」の発表直後に、製薬協は大いに歓迎する旨のステートメントを発表しました。

国民の健康を支えること、健康寿命の延伸を図っていくことは国家として最重要のインフラ投資です。日本が世界有数の創薬大国として革新的創薬により健康寿命の延伸に寄与するとともに、医学研究や産業技術力の向上を通じ、産業・経済の発展に寄与するためにも、投資に見合った適切な対価の回収の見込みがあることが重要であるとの認識が示されました。

また、日本から革新的新薬を絶え間なく生み出していくためには、創薬エコシステムを構築することが不可欠であり、そのためにはイノベーションの価値が適切に評価され、得られる収益がさらなるイノベーション創出へと再投資されるサイクルを回していくことが必須だと考えます。

製薬協は、国民の期待に応えるべく、アンメット・メディカル・ニーズを充足する革新的な新薬の創出、および高品質な医薬品の安定供給に全力を尽くしていく所存です。そのためにも、官民一体となって、産業政策の実現に向けて取り組んでまいります。

終わりに

この説明会を通じて、参加した会員は「医薬品産業ビジョン2021」に対しいっそう理解を深めることができました。今後も、より官民一体となって、国民の健康を支えるとともに、国民の健康寿命の延伸に取り組んでいくという思いを新たにする機会となりました。

(産業政策委員会 総合政策部会 清水 健一郎

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