トップニュース 「2021年度(第48回)GMP事例研究会」を開催
製薬協品質委員会では、2021年度事業活動の一環として、「改正GMP省令の施行とコロナ禍における品質保証」をテーマに掲げ、「2021年度(第48回)GMP事例研究会」を2021年9月10日に一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)との共催で開催しました。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本年も2020年同様に会場での開催を取りやめ、オンラインセミナー形式にて開催しました。約800名の参加者を迎え、成功裏に終了しました。
オンラインセミナーの司会進行の様子(製薬協第2会議室)
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、リモート監査やテレワークの導入等、GMP(Good Manufacturing Practice)活動において従来の方法とは異なる業務の形を模索された1年であったと思います。新型コロナウイルス感染はいまだ終息しておりませんが、終息後のGMP業務のあり方についても、従来の考え方からの転換が進められる可能性もあります。
一方、2019年公布された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(2021年8月1日施行)に続き、本年4月には改正GMP省令が公布され、国際整合化されたGMP基準に基づいた医薬品品質システム(ICH Q10)の導入、設備共用に関する規定、データインテグリティの確保等が明文化され、各社におかれましても実装に向けて取り組まれていることと存じます。
2021年度は、特別講演として独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品品質管理部の平山恵美子氏より、「改正GMP省令の運用及び薬機法改正により創設された新制度に関する解説」と題し、コロナ禍におけるPMDAの取り組みや、改正GMP省令および改正薬機法に新たに規定された区分適合性調査、製造方法等の変更に関する計画(Post-Approval Change Management Protocol、PACMP)制度およびGMP適合性評価の新基準等について、PMDAの期待や解説を交えながら紹介がありました。また、事例発表の部では、製薬協会員会社の協力により、本年度のテーマに関連して、製造所における電子化の取り組みやリモート監査の事例紹介等、計3題の発表が行われました。いずれも各社の経験や工夫された事例について詳細な説明があり、参加者からはオンラインにて50件以上の質問があり、代表的な質問に対し講演後に回答がありました。
今回の特別講演並びに事例発表が、各社の品質保証レベル向上のために非常に有意義なものとなり、今後の参考になることを期待します。
各発表紹介
■特別講演
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1.改正GMP省令の運用及び薬機法改正により創設された新制度に関する解説
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医薬品品質管理部 平山 恵美子 氏
■事例発表
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2.科研製薬株式会社静岡工場における電子化の取り組み
科研製薬 品質管理室 藤澤 卓也 氏
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3.大日本住友製薬におけるリモート監査の実施事例
大日本住友製薬 医薬品保証部 小山 功二 氏
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4.再生医療等製品の原料細胞(自家由来細胞)に関する医療機関への査察事例
ノバルティスファーマ グローバル医薬品開発本部 森 竜広 氏
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5.科研製薬株式会社静岡工場における電子化の取り組み
科研製薬 品質管理室 藤澤 卓也 氏
まとめ
製薬協品質委員会では、事業活動方針に従い、GMP事例研究会、GMP懇談会、医薬品品質フォーラム等を通じた積極的な情報発信に加え、より実践的な話題の提供を行い、製薬業界のさらなる発展に寄与していく所存であり、行政や他団体とも協力し合いながら、品質保証システムの国際化とレベルアップを支援していきます。
(品質委員会 GMP事例研究会プロジェクト 杉村 明広)