From JPMA 「医薬品産業ビジョン2021」の発表を受けて

印刷用PDF

新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界がかつてない困難に直面する中、ワクチンや治療薬をはじめとする医薬品の重要性が強く認識されました。将来の未知なる感染症のパンデミック、そしていまだアンメット・メディカル・ニーズが残されているあらゆる疾患領域で世界に先駆けて革新的な新薬を日本から生み出していくために、官民連携のもと、創薬力のさらなる強化を図っていきたいと決意を新たにしています。

このたび、厚生労働省より8年ぶりに「医薬品産業ビジョン2021」が発出されました。製薬協はビジョンの策定を歓迎するとともに、医薬品産業への期待をしっかりと受け止めその実現に全力を尽くしてまいります。国民皆保険が導入された1961年にはまったく想像もしなかった人生100年時代を迎える中、国民の健康を支えること、健康寿命の延伸を図っていくことは国家として最重要のインフラ投資です。また、イノベーションを原動力とする医薬品産業は、日本経済の成長を牽引し、未来を切り拓く産業です。「医薬品産業ビジョン2021」にて政策ターゲットとしてフォーカスされた「革新的創薬」「後発医薬品」「医薬品流通」「経済安全保障」という4項目について、しっかりと必要な施策が進められることを期待しております。そのうえで、ビジョンを実現するにあたっては、これまでの延長線上ではなく、また個別各論ではなく、国家を挙げて国民の健康と日本経済の成長を支える医薬品産業政策が講じられるよう、製薬協としても積極的に議論に参加していきたいと思います。

日本製薬工業協会 会長 岡田 安史 日本製薬工業協会
会長 岡田 安史

日本から革新的新薬を絶え間なく生み出していくためには、ベンチャーやアカデミアのもつ有望なシーズを、産官学が協働して実用化へとつなげていく創薬エコシステムを構築することが不可欠です。このエコシステムを機能させるためには、イノベーションの価値が適切に評価され、得られる収益がさらなるイノベーション創出へと再投資されるサイクルを回していくことが必須です。特に新薬開発は、数百億円にものぼる研究開発費を投じ、10年以上の歳月を必要とするうえ、その成功確率は2万~3万分の1という大きなリスクがあります。加えて、上市後は特許期間が終了すると後発品に置き換わることから、研究開発の原資を確保できる期間が極めて短い産業です。このことからも、「特許期間中に薬価が維持される仕組み」は医薬品産業を支える生命線であり、引き続き、みなさんのご理解が得られるように情報発信していきたいと思います。

製薬協は、国民の期待に応えるべく、アンメット・メディカル・ニーズを充足する革新的な新薬の創出、ならびに高品質な医薬品の安定供給に全力を尽くしてまいります。国民の健康寿命を延伸し、知識集約産業として国家を支える基幹産業としてすべての国民に幸せをもたらすよう、日本の発展に貢献してまいります。

(2021年9月14日 製薬協ニュースリリースより)

日本製薬工業協会(製薬協)
Japan Pharmaceutical Manufacturers Association (JPMA)

製薬協は、病院、診療所などの医療機関で使われる医療用医薬品の研究・開発を通じて世界の人々の健康と福祉の向上に貢献することをめざす、研究開発志向型の製薬会社が加盟する団体で、1968年に設立されました。

製薬協は、「患者参加型の医療の実現」に向けて、医薬品に対する理解を深めていただくための活動、ならびに製薬産業の健全な発展のための政策提言などをおこなっています。

製薬協は、国際製薬団体連合会(IFPMA)の加盟団体として世界の医療・医薬に関わる諸問題に対応し、各団体と連携を図りながら、グローバルな活動を展開しています。

新薬の開発を通じて社会への貢献をめざす 日本製薬工業協会

このページをシェア

TOP