トップニュース 「骨太方針2021」について

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日本製薬工業協会 専務理事 森 和彦

2021年(令和3)年6月18日、「経済財政運営と改革の基本方針2021 日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」(いわゆる「骨太方針2021」)が閣議決定されました。本稿では、その概略を紹介し、同日に閣議決定された成長戦略等との関係についても説明します。

1. はじめに

2020年から続く新型コロナウイルス感染症は依然として世界中で猛威を振るい、2021年8月初旬には世界の感染者数は2億人を超え、死亡者も400万人を超えるまでになっています。一方、人類もその英知を結集してワクチンや治療薬の開発を進め、驚異的な短期間で新しいワクチンを開発し、世界各国でさまざまなタイプのワクチンの接種が進められています。ワクチン接種が進んだ国ではパンデミック以前に近い日常生活を取り戻し、経済も活力を取り戻し始めています。しかし、感染力も増殖力もともに高い変異ウイルス、デルタ株の登場で世界は再び感染拡大防止のための対策を強化する必要に迫られています。

「骨太方針2021」も2020年の骨太方針に引き続き新型コロナウイルス感染症を強く意識した内容を第1章に記載しています。すなわち社会経済活動を継続しつつ感染拡大を防止し、重症者・死亡者の発生を可能な限り抑制することを基本に対策を徹底するとしており、長引く流行を前提にコロナとともに生きる、いわゆるウィズコロナの考え方が現れています。

製薬協 森 和彦 専務理事 製薬協
森 和彦 専務理事

2.「骨太方針」と「成長戦略」について

「骨太方針2021」が作成され、これに基づき、我が国経済の持続的な成長を実現するための体制が2020年10月に変更されています。

経済財政諮問会議の答申に基づく骨太方針と連携して成長戦略を実現する目的で2012年12月26日に設置された日本経済再生本部の廃止が2020年10月16日に決定され、同本部の下にある未来投資会議も廃止されました。未来投資会議が行った検討等については官房長官を議長とする成長戦略会議が新たに設置され、こちらに引き継がれることになりました。成長戦略会議がとりまとめた成長戦略(成長戦略実行計画、成長戦略フォローアップ、<別添>成長戦略フォローアップ工程表)は「骨太方針2021」とともに2021年6月18日の閣議で決定されています。今後は、総理が議長を務める経済財政諮問会議と、内閣官房に置かれ官房長官が議長を務める成長戦略会議が相互に連携し、機能分担を図りながら政策を推進するとされています。

毎年6月頃に経済財政諮問会議が経済財政運営と改革の基本的な方針を提示する「骨太方針」を、成長戦略会議が「骨太方針」の大きな方向性のもと、制度改正等、改革を具体化するための「成長戦略」を、それぞれとりまとめます。さらに年末には、経済財政諮問会議は「来年度予算等における大きな方向性と重点課題」を提示し、成長戦略会議は「成長戦略中間とりまとめ」を作成し、改革を具体化することになっています。

このように、政府内での政策立案から実施まで一貫した体制がとられ、確実かつ迅速に改革を進めようという狙いのもとで「骨太方針2021」が作成されていることも今年の骨太方針の特徴と言えるでしょう。

3.「骨太方針2021」の内容

全体は以下の4章から構成され、分量は38ページとほぼ前年並みとなっています。

1)第1章 新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン

2020年の骨太方針に続いて新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に継続する中で、世界経済は戦後最悪の落ち込みから再び前に向かって動き出しているという認識が示されています。さらに、単なる景気回復にとどまらず、カーボンニュートラルの実現に向けた動き、デジタル化やデータ利活用の急速な進展等、ダイナミックな変化に世界各国が対処し政策対応を行っています。日本も世界全体の急速かつ大きな変化にスピード感をもって対応していくことが求められるとされています。「1. 経済の現状と課題」から「2. 未来に向けた変化と構造改革」を経て「3. ポストコロナの経済社会のビジョン」では、今後、日本が目指すべき社会の姿として以下の3つの姿が示されています。

○ 強い経済を作りあげ、改革・イノベーション志向であり続ける社会
○ 誰一人として取り残さない包摂的な社会
○ ポストコロナの国際秩序やグローバルなルールづくりに指導力を発揮する国

こうした未来を実現するためにも、まずは新型コロナウイルス感染症の克服がどうしても必要であり、「4. 感染症の克服と経済の好循環に向けた取組」において具体的な取り組みが示されています。

すなわち、感染症対策の基本として医療提供体制を強化し、相談・受診・検査~療養先調整・移送~転退院・解除まで一連の対応が目詰まりなく行われ、病床・宿泊療養施設が最大限活用される流れを確保する。そのため緊急時対応をより強力な体制と司令塔のもとで推進し、感染が短期間で急増するような事態では、2021年冬の2倍程度の患者数を想定した体制に緊急的に切り替えるとされています。あわせて各地域の医療資源の効率的な運用を促し、医療機関等情報支援システム(G-MIS)により状況を一元的に把握し、医療提供体制の進捗管理・見える化を徹底するとされています。

また、ワクチンについては特に重要視しており、医療従事者等への接種を進め、大規模接種も活用して、希望する高齢者への接種は2021年7月末に完了させ、さらに希望するすべての対象者への接種を2021年10月から11月にかけて終えることを目指すとしています。(世界中でワクチンの需要が急速に高まる中、日本へのワクチン供給が予定より遅れる事態も発生しましたが、希望する高齢者への接種はかなり進んでいます。ただし、2021年7月末から、首都圏を中心に若い世代を中心とした変異ウイルス(デルタ株)感染が全国的に急拡大しています)

これまでの日本の経験を踏まえて、ワクチンの研究開発体制・生産体制の強化を進めるため、2021年6月1日に閣議決定した「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を着実に推進することも明記されています。加えて、「そのために必要な取組の財源を安定的に確保する」ことも記載されており、2022年度以降の予算を意識していることが読み取れます。この国家戦略の実現には製薬業界も全面的に協力することをさまざまな機会に表明しています。

第1章の最後は「5. 防災・減災、国土強靭化、東日本大震災等からの復興」とされ、日本がさまざまな自然災害等(大規模地震災害、気象災害、火山災害、インフラ老朽化等)により国家の危機にさらされていることに言及し、災害に屈しない国土づくりを進めるとしています。また発災から10年を迎え、新たな復興期間を迎える東日本大震災からの復興にも力を尽くすとされています。

2)第2章 次なる時代をリードする新たな成長の源泉~4つの原動力と基盤づくり~

「骨太方針2021」に示された未来を拓く4つの原動力とは(1)グリーン、(2)デジタル、(3)活力ある地方創り、(4)少子化対策、です。

これらについて、どのような社会を目指すのかが示されています。

「1. グリーン社会の実現」では「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2030年度の温室効果ガス排出削減目標を、新たに2013年度比46%減としています。この実現のために、以下の3つの考え方のもとで推進するとされています。

(1)脱炭素を軸として成長に資する政策を推進する
(2)再生可能エネルギーの主力電源化を徹底する
(3)公的部門の先導により必要な財源を確保しながら脱炭素実現を徹底する

医薬品業界も、生産、流通等さまざまな現場において協力が求められるとともに、世界的にカーボンニュートラルに取り組むよう産業界に求める動きに対して、戦略的に対応する必要があることがうかがえます。

「2. 官民挙げたデジタル化の加速」では、今後5年でデジタル時代の官民インフラを作りあげるとされています。デジタル庁を核としたデジタル・ガバメントを確立し、民間のデジタルトランフォーメーション(DX)を促す基盤整備を加速するとしています。製薬協もDXへの取り組みはかねてから重視し、2021年3月に公表した「製薬協 政策提言2021」においても、イノベーション創出に向けた環境整備として第一に「DXによる医療と創薬研究開発の高度化」を掲げています。研究開発をよりいっそう加速するために、デジタル化の加速は喫緊の課題であり、今後の進展をしっかりフォローする必要があります。

「3. 日本全体を元気にする活力ある地方創り」では、副題として「~新たな地方創生の展開と分散型国づくり~」が付けられています。これまでのさまざまな地方創生の取り組みに加えて、新型コロナウイルス感染症を契機とした地方への関心の高まり、テレワーク拡大、デジタル化といった変化を後押しして新たな地方創生を展開し、東京一極集中を是正するとしています。

「4. 少子化の克服、子供を産み育てやすい社会の実現」では、出生数の減少が予測を上回る速度で進行し人口減少に歯止めがかからない一方で、児童生徒の自殺者数が増加し、児童虐待や重大ないじめの問題は深刻化する危機的状況との認識が示されています。「少子化社会対策大綱」等に基づき結婚、妊娠・出産、子育てを大切にするという意識が社会全体で共有され、地域全体で子育て家庭を支えていく社会の実現を目指すとされています。そのための安定的な財源の確保にあたって、「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み」についても検討するとされています。

「5. 4つの原動力を支える基盤づくり」では、質の高い教育の実現によりイノベーションの実現に必要な人材を育成し、世界トップレベルの研究基盤の構築に向けて2020年度中に運用を始める大学ファンドの10兆円規模への拡充について、年度内に目標を立てるとしています。製薬業界としても、アカデミア発シーズの重要性が世界的に高まっている中で、大学における研究基盤の構築には今後も高い関心をもち、その推移を見守る必要があります。また、注目されるポイントとして、「(6)経済安全保障の確保等」において、安全保障の裾野が経済・技術分野に拡大するとともに、コロナ禍によりサプライチェーン上の脆弱性が国民の生命や生活を脅かすリスクが明らかになっています。このため、経済安全保障に係る戦略的な観点から重要技術を特定し、保全・育成する取り組みを強化するとともに、基幹的な産業を強靭化するため、その具体化と施策の実施を進めるとしています。その対象の中に「我が国のサプライチェーンを強靭化していく観点から、半導体、レアアースを含む重要鉱物、電池、医薬品等の先行的な重点項目について必要な措置を実施する」と記載され、医薬品も重視されていることが明らかとなりました。また、「我が国の基幹的な産業が抱える複雑化したリスクに対応するため、経済社会情勢の動向を注視しつつ、引き続き、これらの脆弱性等を点検・把握し、必要な対策を講ずる取組を継続・進化していく」ともされており、昨今の医薬品安定確保問題への取り組み等、製薬業界としても特に留意しておく必要があります。

3)第3章 感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革

「2. 社会保障改革 (1)感染症を機に進める新たな仕組みの構築」において、製薬業界にとって極めて重要な薬価の問題に言及する部分があり、年末の予算編成、2022年4月の診療報酬改定、薬価基準の改定にもかかわる重要な記載として注目されています。具体的には、P31に「革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の観点及びそれ以外の長期収載品等の医薬品について評価の適正化を行う観点から薬価算定基準の見直しを透明性・予見性の確保にも留意しつつ図るとともに、OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲について引き続き見直しを図る」と記載されており、薬価算定基準の見直しにあたって「革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の観点」や「透明性・予見性の確保にも留意」という配慮がされた記載になっています。引き続き、年末にかけての予算編成作業や経済財政諮問会議、中央社会保険医療協議会(中医協)での議論を注視しておく必要があります。

また、「製薬協 政策提言2021」においてDXと並ぶ重要課題として「全ゲノム解析等実行計画の加速推進」を挙げていますが、これについても言及されています。具体的には、P32に「日米首脳共同声明に基づく取組も視野に入れつつ、全ゲノム解析等実行計画及びロードマップ2021を患者起点・患者還元原則の下、着実に推進し、これまで治療法のなかった患者に新たな個別化医療を提供するとともに、産官学の関係者が幅広く分析・活用できる体制整備を進める」と記載されています。同趣旨の記載は、同日に閣議決定された成長戦略実行計画、統合イノベーション戦略2021にも盛り込まれています。

一方、「7. 経済・財政一体改革の更なる推進のための枠組構築・EBPM推進」において、実質2%程度、名目3%程度を上回る成長、600兆円経済の早期実現を目指してワイズスペンディングの徹底(支出予算の徹底的な削減の意味に見えます)と4つの成長の原動力への予算の重点配分等が記されています。あわせて「(財政健全化目標と歳出の目安)」において、「骨太方針2018」で掲げた財政健全化目標(2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す等)を堅持するとされています。2022年度から2024年度までの3年間について、これまでと同様の歳出改革努力を継続し、予算編成の目安も示しています。医療費を含む社会保障関係費は薬価基準と密接な関係にありますが、「基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針」を継続するという目安が示されています。したがって、今後も医療費の伸びの抑制は続くと考えられます。

4)第4章 当面の経済財政運営と令和4年度予算編成に向けた考え方

「骨太方針2021」の最後の1ページ冒頭には、「政府は、決してデフレに戻さないとの決意を持って、経済をコロナ前の水準に早期に回復させるとともに、成長分野で新たな雇用や所得を生み、多様な人々が活躍する「成長と雇用の好循環」の実現を目指す」と記されており、そのためにも新型コロナウイルス感染症の拡大防止に万全を期し、雇用の確保と事業の継続、生活の下支えのための支援策を講じて国民の命と暮らしを守り抜くという強い決意が示されています。感染症の状況は変化が早く、感染状況や経済的な影響を注視し、必要に応じて予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じるという方針も示されています。注意しておきたいのは、その後に続けて「我が国経済の自律的な経済成長に向けて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく」と記されている点です。全体の文脈からすると、医療費についてもマクロ経済政策運営が考えられているのではないでしょうか。それは、この章の後半、「2. 令和4年度予算編成に向けた考え方」において「感染症の影響等の経済状況に応じて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行う」という記載が重ねて見られることや「団塊の世代の75歳入りも踏まえ、将来世代の不安を取り除くため、全世代型社会保障改革を進める」といった記載があることからもうかがえます。また、社会保障関係費等については、「第3章で定める目安に沿った予算編成を行う」とし、さらに「歳出全般について、徹底したワイズスペンディングを実行するとともに、歳入面での応能負担を強化するなど、歳出・歳入両面の改革を着実に実行していく」としています。少子高齢化が進む我が国の厳しい現実が予算編成にも明らかに影響を与えています。

4. 骨太方針と密接に関連する閣議決定文書

以下の閣議決定文書も「骨太方針2021」と同日に閣議決定されており、製薬業界にとって重要な施策が骨太方針に記載された内容と同趣旨の記載で盛り込まれるものや、「製薬協 政策提言2021」で記載されたイノベーション実現のために重要な課題に国も取り組む趣旨の記載が盛り込まれ、その着実な推進が期待されます。

1)成長戦略実行計画

すでに本稿の「2.『骨太方針』と『成長戦略』について」で説明したように、骨太方針を取りまとめる経済財政諮問会議と連携して成長戦略会議が取りまとめ、閣議決定されるのが成長戦略実行計画です。

本計画では医薬品産業の本文P28に「第13章 重要分野における取組」として、「1. ワクチンの国内での開発・生産」には2021年6月1日に閣議決定された「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づき、ワクチンを国内で開発・生産し、速やかな供給ができる研究開発・生産体制を構築し、そのために必要な取り組みの財源を安定的に確保するとされています。

また、続く「2. 医薬品産業の成長戦略」ではライフサイエンスが重要戦略分野であり、安全保障上も重要な分野であるとの認識が示されています。そのうえで、革新的新薬を創出する製薬企業が成長できるイノベーション環境を整備するため、さまざまな支援を進めることが記載されており、「全ゲノム解析等実行計画及びこれに基づくロードマップの推進」や「薬価制度における新薬のイノベーションの評価や長期収載品等の評価の在り方の検討」は製薬協の政策提言で言及されている内容とも同趣旨の内容です。また、医療上必要不可欠な医薬品の安定供給を国民全体で支える観点から、薬価の設定、抗菌薬等の安定確保が必要な医薬品の原料等の国内製造支援、備蓄制度、非常時の買上げの導入等を検討するとされています。ワンヘルスアプローチによる薬剤耐性(AMR)対策の推進もあわせて盛り込まれています。

そのほか、製薬協がこれまで指摘し、要望してきたさまざまな課題への取り組みを推進するとされていますが、この項目の最後に「医薬品産業のエコシステムを確立するため、政府の司令塔機能の確立を図る」とされている点も非常に重要だと思います。近年、新薬開発は新しいモダリティーとテクノロジーを積極的に取り入れ、さまざまな特色ある多様な企業集団の水平分業によって行われるようになっており、これを自然界の生態系になぞらえてエコシステムと呼んでいます。活力あるエコシステムを形成し、確立していくためには、未来を見通し、デザインする司令塔が重要と政府も認識していることが明らかになりました。今後、この司令塔機能をどのように実現していくのかが注目されます。

2)統合イノベーション戦略2021

内閣総理大臣が議長を務める総合科学技術・イノベーション会議がとりまとめた第6期科学技術・イノベーション基本計画(2021年3月26日閣議決定)の実行計画として、内閣官房長官が議長を務める統合イノベーション戦略推進会議が取りまとめた戦略です。

本文のP17から「(4)官民連携による分野別戦略の推進」が記載されており、P19からの「(戦略的に取り組むべき応用分野)」として最初に「健康・医療」が掲げられています。すでに2020年3月に策定した第2期の「健康・医療戦略」および「医療分野研究開発推進計画」に基づく取り組みを強力に推進するとされています。

製薬協とのかかわりが深い具体的内容としては、以下の取り組みが挙げられています。

・国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による支援を中核として医療分野の研究開発を推進する
・ムーンショット型研究開発制度において、挑戦的な研究開発を推進する
・医療分野の研究開発の環境整備として、生物統計家などの専門人材およびレギュラトリーサイエンスの専門家の育成・確保
・「全ゲノム解析等実行計画」およびロードマップ2021を着実に推進する
・アジア健康構想およびアフリカ健康構想のもと、我が国の健康・医療関連産業の国際展開を推進する

さらに、これに加えて2021年6月に閣議決定した「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を着実に推進することが明記されています。新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえて次のパンデミックに備えるためにも重要な戦略であり、ここでも着実に推進することが明記されています。

5. おわりに

本稿では「骨太方針2021」の位置づけと内容を紹介しました。今後も、我が国において画期的な新薬が世界中の患者さんのために生み出され、安定的に供給されるようにするためには、国の科学技術や医療に関する政策、戦略に盛り込まれる内容はとても重要です。

製薬協としても2021年3月に「製薬協 政策提言2021」を公表し、5月には「製薬協 産業ビジョン2025追補版」も公表し、国民・患者さんやメディアも含めたさまざまなステークホルダーに向けたアドボカシー活動を充実させています。こうした日頃からの地道な活動により、国の政策や国家戦略にイノベーションの実現に向けた要望が適切に反映されることで、より優れた医薬品をより早期に世界中の患者さんに届ける創薬エコシステムが実現しやすくなると期待されます。

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