トピックス 「2020年度 製品情報概要管理責任者・実務責任者研修会」を開催

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2021年3月19日に「2020年度 製品情報概要管理責任者・実務責任者研修会」を初めてオンライン形式で開催しました。当日は、会員会社の製品情報概要管理責任者・実務責任者をはじめ、各社で資材審査を担当している方を中心として約550名の参加がありました。以下、本研修会の概要について報告します。

「2020年度 製品情報概要管理責任者・実務責任者研修会」プログラム

1. 開会挨拶

はじめに、製薬協の田中徳雄常務理事より、製薬協の活動に関する、会員会社の理解・協力に対する感謝の言葉が述べられました。

「製品情報概要審査会としては、東京都病院薬剤師会に資材のモニターを依頼しており、不適切な資材、不適切な活動があれば指導いただいている。本日の特別講演の杏林大学医学部付属病院薬剤部の若林進先生からは、医療関係者、薬剤師の視点からご指導いただけるものと思っている。販売情報提供活動監視事業の中でも、不適切な資材の作成は少なくなってきているが、医療情報担当者(MR)による不適切な活動や言い回しが問題となっているのが現状とのイメージが強いものの、注意すべきは、われわれが適切な資材を使っても医療関係者が不適切と感じるものであれば、われわれとしてしっかりと耳を傾け、正すものは正していくべきと考えている。常々機会があるごとに紹介している「3ない運動(不適切な資材を創らない、不適切な資材を社内審査で通さない、社内審査で通過した資材を不適切に使用しない)の推進」のうち、「不適切に使用しない」に関しては本日の聴衆者(製品情報概要管理責任者・実務責任者)には直接関係ないかもしれない。コードは製薬協コードを基に自社コードを策定し、自社コードを遵守いただくのに対して、作成要領はマストである。厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課と密に連携を取りながら指導をいただいているので、作成要領自体を遵守いただく必要がある。このことを理解したうえで「3ない運動の推進」に邁進していただきたい。本日は最後までしっかりと聴講いただきたい」

2. 審査会レポートに関するご質問から

2020年10月1日以降は、既存の資材も含めて、すべての資材について、2019年4月改定の「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領(略称:作成要領)」に則って作成するようお願いしています。これまでも、作成要領上の解釈について誤解を招くおそれがあるものに関しては、製品情報概要審査会での指摘事例を参考に、事例紹介や、審査会からのお知らせとして審査会レポートを通じて周知を図ってきました。

今回、審査会レポートの記載事項だけでは解決できなかった作成要領上の解釈に関する疑問点について、事前に募集を行い、その疑問点に対する審査会としての見解を回答として共有しました。

なお、今回紹介できなかった回答の一部は、今後、審査会レポート等で周知を図っていく予定です。

説明(1)有効性について

製薬協 製品情報概要審査会 浦辻 友博 委員
「薬効薬理、非臨床、作用機序の特徴(性)での記載・評価項目の記載・科学的根拠の考え方について」

説明(2)安全性について

製薬協 製品情報概要審査会 巽 浩幸 委員
「臨床成績における安全性記載の留意事項・安全性情報のグラフ化・安全性情報の文字サイズについて」

説明(3)その他

製薬協 製品情報概要審査会井上 智浩 委員
「誤解を招くおそれのある表現・参考情報である結果に関する記載・統計解析結果の記載について」

3. 特別講演 「製薬企業から提供される情報の適正化に向けて」

杏林大学医学部付属病院薬剤部 若林 進

講演の冒頭、若林氏がこれまでに携わった活動内容が紹介され、その中の一つである「東京都病院薬剤師会第4小委員会」の活動として、製薬企業から提供されたさまざまな資材を調査・評価し、製品情報概要の不適切事例を製薬協へ指摘として報告していることが紹介されました。

さまざまなチーム医療が行われている中、病棟での薬剤業務として薬剤の情報提供を行うために業務に求められているのは、その情報を収集し、発信し、周知させること(情報収集と情報提供)であり、これは製薬協コードにも明記され、薬剤師の国家試験でも出題されたことがある通り、MRの業務と同じであると述べました。

「厚生労働省による「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」発出後、情報提供活動が一部制限されているようなことを聞いているが、医療関係者からの求めに応じて適切に情報を提供していただきたい。医療機関への訪問規制の強化や、ウェブ面談の機会増加に伴い、必要な資材が届きにくくなった。医薬品は情報があってこそだと考えており、医療現場としてはまだまだMRによる情報提供に期待している。製薬企業は敵ではないと考えている。ただ、医療現場と対面することが難しい今こそ、IT活用等、あらゆる手段を用いて情報を提供してほしい」との話で締めくくられました。

4. 閉会挨拶

閉会にあたり、製品情報概要審査会の中谷知弘委員長は、今回の研修会に多くの方に参加していただき、長時間最後まで聴講いただいたことに対する感謝の言葉を述べました。また、大変ご多用の中ご講演いただいた杏林大学医学部付属病院薬剤部の若林進氏への感謝の言葉を述べました。

「若林先生のご講演の際にも触れられた「製薬協コード」でも、医療関係者から要望された情報を適切な方法であれば提供可能であるので、一部の「スキルの足りない」MRが情報提供を断る言い訳として使用しないよう、会社としてMRの教育も充実させていかなければならないと思う。本日紹介した審査会レポートは、ぜひみなさんに読んでいただきたい内容として紹介しているので、日々の審査の参考にしていただきたい。作成要領は、必ず守っていただきたい内容ではあるが、固定したものではなく、新しい考え方も登場するため、定期的に見直しを図り、充実したものを作ろうとしているので、そのことも認識して参考にしてほしい」といった旨の言葉で締めくくられました。

(製品情報概要審査会 皆本 義基

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