トピックス 「やまぐち!ブチ元気!~もっと知りたいくすりの話~」公開収録を開催

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2020年2月1日にKRY山口放送大ホール(山口県周南市)において、製薬協特別番組「やまぐち!ブチ元気!~もっと知りたいくすりの話~」の公開収録が行われました。今回は「骨粗しょう症」を疾患のテーマとして採り上げ、当日は142名の観覧者が参加しました。骨粗しょう症に対する治療と新薬の情報を伝えるとともに、山口県の地域医療構想の具現化に向けた萩市の取り組みや、くすりの製造現場、そして治験の重要性等、新薬の価値と医薬品の適正使用について出演者のみなさんと一緒に楽しく学ぶ機会となりました。なお、収録された番組は2020年3月21日にKRY山口放送で放送され、この内容は製薬協のウェブサイトからもご覧いただけます。

スタンド看板(会場入口)

やまぐち!ブチ元気!~もっと知りたいくすりの話~

製薬協広報委員会コミュニケーション推進部会は、研究開発志向型の製薬企業および新薬が果たす社会的役割の重要性について、広く一般のみなさんに理解してもらうことを目的とし、地方テレビ局とタイアップして公開収録とテレビ放送を実施しています。

2019年度の公開収録は、KRY山口放送とタイアップして、2020年2月1日に山口放送館内の大ホールで行われました。当日は、山口県立総合医療センター副院長の田中浩先生、山口県薬剤師会常務理事の小屋敷淳子先生に加え、山口県出身で全国的に活躍されているタレントの西村知美さん、俳優の川野太郎さんをゲストに迎え、製薬協からは、広報委員会の大沼純一委員長が参加しました。

番組の収録冒頭で大沼委員長は、「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の違いや、「医療用医薬品」が「新薬」と「ジェネリック医薬品」の2つに分類され、製薬協は新薬を創る研究開発志向型の製薬会社が加盟する団体であることを説明しました。

出演者のみなさん

山口県の現状

日本では少子高齢化が進む中、山口県は65歳以上の高齢者率が全国第4位と他県より10年早いスピードで進み、加齢が要因となる病気の一つ、骨粗しょう症の検診率が全国28位と低いことが紹介されました。

今回、会場に骨密度計を設置しました。希望する観覧者の方が実際に測定することで、骨粗しょう症への関心をより深めてもらい、健康寿命延伸に向けた検診の重要性を伝えるためです。

骨粗しょう症の治療と新薬

山口県立総合医療センターのVTRを交え、骨粗しょう症や骨粗しょう症の新薬、チーム医療についての詳しい紹介がありました。

骨粗しょう症は、加齢、女性ホルモンの一つエストロゲンの欠乏、運動不足等が原因で骨密度が低下し骨折しやすくなる病気です。60歳代になると、背骨の骨が押しつぶされて骨折しやすくなり、そして脊椎の変形が起こると、首や肩、腕、腰、さらに呼吸器や消化器まで多様な症状が現れます。70歳代後半になると大腿骨頚部の骨折が増え、手術での回復に時間を要することから、全身機能の低下による寝たきりになるリスクも発生します。骨粗しょう症により、連続して起こる骨折を「骨折の連鎖」と呼び、この連鎖を止めることが非常に重要であることが紹介されました。

また、連鎖を止めるためには転倒しない体づくりが大切で、食事療法や運動療法を行いながらの薬物療法が中心となり、骨粗しょう症の治療薬が次々と開発され、治療に大きく貢献していることも紹介されました。

田中先生は、「最近では多くの薬が開発され、骨粗しょう症の治療は大きく変化しましたが、患者さんの判断で薬を途中でやめてしまうという課題もあります。薬の効果発現までには時間を要することから、気長に病気と向き合うことが大切です」と述べ、骨密度検査により骨の状況を1度はチェックすることを推奨しました。

VTR後、大沼委員長は、「多くの薬剤が開発されたことにより個々の症状の進行具合に応じた使い分けが可能になりましたが、薬は適正な管理下で効果を発揮しますので、医師や薬剤師の指導を守って服薬していただきたいです」と強調しました。

山口県での医療の取り組み

山口県萩市の地域医療の取り組みについてVTRで紹介がありました。

萩市の65歳以上の高齢者率は39.6%と全国平均を大きく上回り、訪問診療を待つ高齢者が増加している中、わたぬきクリニックの地域医療に対する取り組みが紹介されました。

同クリニックの綿貫篤志院長は、「治療を待つ後期高齢者が減らない状況下では、介護・医療のマンパワーに限界があり、ほかの地域と連携していくことが必要不可欠になります。また、クリニックで処方する薬剤による治療においては、日常的に患者さんと直接会話している院外薬局の薬剤師からの情報やサポートもとても重要になります。将来は、駐在所、小学校、消防団とも連携し、地域全体で支えあう地域医療を目指したいです」とコメントしました。

くすりの製造

今回は、2019年7月に竣工した小野薬品工業の山口工場を取材し、注射剤の製造現場について、徹底した衛生管理のもとで製造されていることがVTRで紹介されました。また、山口工場は生産能力の増強に加え、事業継続性も考慮して作られ、日本はもちろんのことグローバルに安定供給できる工場として重要な役割を担うことも紹介されました。

おくすりQ&A

今回もゲストのお2人、会場のみなさんと一緒に「くすり」の適正使用に関するクイズが実施されました。その中で、薬の飲み方等といった身近でためになるくすりとの正しい付き合い方について、薬剤師の小屋敷先生から解説がありました。

収録の様子

治験について

国立大学法人山口大学医学部附属病院の協力のもと作成した、新薬の開発に必要不可欠な「治験」についての内容を紹介するVTRが上映されました。同病院薬剤部長の北原隆志先生が、治験とはどのようなものであるかを解説し、実際に治験に参加した患者さんも出演しました。また、治験コーディネーターの仕事についても紹介があり、治験は多くの人々の協力があってこそ成り立つものであることが示されました。

製薬産業を広く理解していただくための「製薬協の広報活動」

製薬協では、一般のみなさんの製薬産業理解のために、毎年、広報キャンペーンを行い、製薬業界や医薬品に関する情報を発信しています。大沼委員長より、2019年度は製薬協ウェブサイト内に鈴木福さんをアンバサダーに起用した特設サイトを開設し、製薬業界で働く人たちへのインタビュー記事や新薬開発のイノベーションに関する情報を発信しているとの紹介がありました。

最後に

最後に、ゲストの西村さんから「以前から病気については関心があったが、今回はその治療に大切なくすりについて、多くのことを学ぶことができました」、川野さんから「くすりは病気になって服用するものなので、用法用量はしっかりと守りたい」との感想がありました。

大沼委員長からの「くすりは、さまざまな病気の治療に大きな役割を果たし、人々の健康と幸福に寄与してきました。特に、これまでに治療法がなかった病気に対する新薬の開発は、患者さんとそのご家族に対して大きな希望を与えることになりました。まだまだ未開拓の疾患領域は存在しており、製薬業界はAIやビッグデータなど、新たな技術も積極的に取り込み、社会的に価値のある新薬の開発にこれからも邁進していきます」との挨拶で、「やまぐち!ブチ元気!~もっと知りたいくすりの話~」の公開収録は盛大な拍手の中、終了しました。

(広報委員会 コミュニケーション推進部会 毛塚 光雄

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