From JPMA 2020年の年頭にあたって

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2020年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2019年、私たち日本製薬工業協会は、「政策提言2019 —イノベーションの追求と社会課題の解決に向けて—」を発表し、あらゆる機会を捉えて多くの方々にこの提言へのご理解を得るべく活動をしてまいりました。

2020年は、全世代型社会保障検討会議の取りまとめ、健康・医療戦略の見直し等、製薬業界にとって重要な政策論議が予定されています。私たちはこれらの議論を通じて社会の諸課題と向き合い、また行動することで提言の実現に向けて取り組んでまいります。

日本の経済・社会は、これまでの時代の中でさまざまな課題が生まれ、それらを一つひとつ克服して今日に至っています。とりわけ、公衆衛生の改善、医療技術の進歩によって、我が国が世界でトップクラスの健康長寿国となったことは、大変喜ばしいことであり、誇りとするところであるはずです。ところが、寿命が延びたことで新たな課題が顕在化してまいりました。

日本製薬工業協会
会長 中山 讓治

医療・年金・介護、すなわち社会保障の問題がその典型です。加えて、少子化による就労人口の減少は、社会保障制度の基盤をゆるがしかねない重大な課題となっています。全世代型社会保障検討会議をはじめとする議論を通じて政府がこれらの問題にどのように向き合い、対策を打ち出していくか、重大な関心をもって注視しています。

少子・高齢化社会の本質的な課題を、私たちは社会保障制度の支え手不足と捉えています。製薬産業に求められている社会的な存在意義は、革新的な新薬の創出による国民医療への貢献です。今後、私たちは疾病治療におけるイノベーションにとどまらず、予防・先制医療の実現による健康寿命の延伸によって、従来の「支えられる側」を「支える側」に転換し、就労人口を増やすことで少子・高齢化社会の課題解決の一翼を担ってまいりたいと考えています。

また、このように経済や社会の「支える側」を増やす、あるいは医療資源消費の効率化につながることで、社会保障の持続性に寄与することができる医薬品について、このような価値をもつ医薬品は一定の評価がされるべきであるとも考えています。革新的新薬の恩恵を広く日本にもたらし、健康寿命のさらなる延伸を実現するためには、『イノベーションの創出に向けた環境整備』と『イノベーションの適切な評価』が両輪として強力に推進されることが必要です。

私たちは、イノベーションの追求と社会課題の解決に向けて全力で取り組んでまいる所存です。みなさんのご理解、ご支援をお願いし、年頭のご挨拶といたします。

(本町記者会 新年・年頭寄稿文より)

日本製薬工業協会(製薬協)
Japan Pharmaceutical Manufacturers Association (JPMA)

製薬協は、病院、診療所などの医療機関で使われる医療用医薬品の研究・開発を通じて世界の人々の健康と福祉の向上に貢献することをめざす、研究開発志向型の製薬会社が加盟する団体で、1968年に設立されました。

製薬協は、「患者参加型の医療の実現」に向けて、医薬品に対する理解を深めていただくための活動、ならびに製薬産業の健全な発展のための政策提言などをおこなっています。

製薬協は、国際製薬団体連合会(IFPMA)の加盟団体として世界の医療・医薬に関わる諸問題に対応し、各団体と連携を図りながら、グローバルな活動を展開しています。

新薬の開発を通じて社会への貢献をめざす 日本製薬工業協会

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