第41回「PPIをもっと身近に ~明日から取り組める医療への患者・市民参画~」

セミナー開催日:2024年3月5日(火)

動画配信期間 :2024年9月30日(月) ~2025年9月30日(火)【1年間】

開会挨拶

近年、さまざまな関係者や関係団体でPPI(Patient and Public Involvement:医療への患者・市民参画)推進のための活動を行ない、最近では研究分野だけではなく医療政策などあらゆる場面で患者さんの参画が必要だとされてきています。製薬企業においても、医薬品の研究段階から市販後に至る各段階で患者さんの声を取り入れて、患者さんと共に、よりよい医療を実現するための活動を推進しています。PPIについて一緒に考える時間となり、一歩を踏み出されるきっかけにしていただければ幸いです。

講演

演題① PPI の最新動向~PPIの更なる促進に向けて~
医薬産業政策研究所 主任研究員 吉田 晃子 氏

PPIは、英国で最初に取り入れられた考え方です。患者市民参画と日本語では訳されることが多くなっており、患者・市民と共に、または、患者・市民によって研究が行われるという、もともとは研究分野に寄った定義があったとの事ですが、近年では研究分野に限らず医療政策など全般において、その意思決定の場に患者・市民の参画を求めるという考え方に発展しており、患者さんは、確立された医療を享受するだけでなく、よい医療を作り上げるパートナーであるとの認識が広がりつつあります。
製薬企業では、PPIによって患者・家族にとって最良の結果を出すことが基本原則になりつつあります。なぜ製薬企業にとってPPIが必要かということですが、製薬企業と患者や家族の考え・ニーズにギャップがあることに気づいたからこそ、早期に真の患者さんのニーズを把握しないと、患者さんにとって価値のある医薬品は創出できないというのが、製薬業界における共通認識ではないかと考えております。

調査結果では、患者さんの9割強がPPIの活動は意義があると回答している。しかしながら認知は6割程度、参画は1割程度にとどまっており、今後の更なる認知、参画が期待されるところであります。

世界の医薬品の創出においてPPIは急成長し、注目度が高まる分野であり、諸外国では行政によって患者さんの声を聞いたり、患者参画を推進する体制が整っているという状況にあります。日本でもそういったところが望まれると考えております。わが国の患者さんにとってPPIは認知度としてはまだまだですが、製薬産業だけでなく、患者団体主催のものや学会等、PPIの取り組み、参加できる場というのが非常に増えておりますので、ますます参加しやすくなっているかと思います。ぜひとも積極的に参加をしていただければと思います。
製薬産業においては、真の患者・家族のニーズを把握し、患者・家族にとって価値ある医薬品をより早期に創出し、よりよい医療環境の実現に向けて取り組んでいきたいと考えます。

演題② “参画”への期待‐当事者の思い
公益社団法人 認知症の人と家族の会代表理事 鎌田 松代 氏

家族の会には1990年、認知症のことを学びたくて入会しました。2023年から代表理事を務めております。もともと私は看護師で、大学病院で働いておりましたが、義父が脳内出血で倒れて、左半身麻痺の高次脳機能障害となり、介護離職をいたしました。その時に在宅で介護していくことの大変さを実感して、子育てが終わった後は、在宅看護の分野、デイサービスや特養で働いてきました。
2004年に、佐賀の実家の父がアルツハイマー型認知症の診断を受け、その4年後には母も同じ病に倒れました。父の診断と共に、毎月遠距離介護で11年間通いました。その間に、京都の義母もアルツハイマー型認知症の診断で在宅介護をしており、介護家族でもあり、専門職でもあるという私です。

家族の会は1980年1月に結成された今年で44年目の公益社団法人です。会員は9,400名で、本人や家族を中心ですけれども、認知症にご関心を持っていただけるようでしたら、どなたでも入会できます。

家族の会の活動の一番の原点は、つどいです。介護者同士が自分の介護の状況を発表するほか、介護家族の工夫や、医師やその他専門職の情報を頂いて、少しでも自分の介護が楽に、本人が過ごしやすい環境を整えるように情報交換の場となる場を開催しております。これは44年たった今も開催を続けています。同じような介護をしている人に出会い、自分よりもっと大変な人がいることを知り、気持ちが楽になった、勇気が出たと当時の会報では報告しています。今も認知症のことや介護サービスについて、情報が溢れる時代ですが、家族が認知症となったつらさは、やはり同じ思いをしている人達でなければわかりません。ほかにも会報発行や電話相談、認知症啓発なども行なっています。

また、私たちの活動の一環として、厚生労働大臣に要望書を出しております。これはPPIの原点かなと思います。国への要望書はもう70回以上になっております。この要望書を出した後には、国の代表の方々とか、厚生労働省の担当官と一緒に懇談をして、私たちの実情というのをお話しする。ただ、一方通行というか、ご要望を承りました、というところがずっと続いておりました。

今年の1月1日に共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行されました。その第3条の3項には、「自己に直接関係する事項に関して意見を表明する機会および社会のあらゆる分野における活動に参画する機会の確保」と記載されております。参画、PPIへの期待とイコールで結んでもいいと思います。家族の会の当事者の声を届ける活動に企業や行政がこれまで一方通行的な「お聞きしました」という状態から、双方向に向き合う場ができたということに期待しています。

しかしながら、参画での不安もあります。まず、PPIという、このローマ字表記がそれだけで抵抗感がとてもあります。難しいことを言われているのかと感じてしまいます。それと、参画とはどのようなことなのか、どんなことをしたらいいのか、分からない不安があります。参加と参画の違いは何かが分からないし、分かっていない参画を求められることへの不安があります。病理の作用や病気の発生機序などへの専門性がなく、たとえ事前説明があっても、果たして理解できるまでになるのかといった不安もあります。

私たちは参画への期待をとても大きく持っております。当事者、や未来の当事者のよりよい生活への導きがある参画だと思っています。当事者も学習が必要なことは理解しておりますが、専門用語や病理が分からないままでは参画はできないので、専門家や企業の皆さまからのサポートを期待しています。学習内容を自身の体験に重ね合わせることで、参画がよりよくなり、当事者と考えくすりが生まれ進化し続ける“ともに”に期待しています。参画により、当事者としての体験が社会貢献や生きがいにつながり、対話によって関係者相互の理解と相乗効果が生まれ、患者や家族の生活がよりよくなることに期待しています。

演題③ 小さな患者会の希望、PPIについて思うこと
MLC患者の会 廣石 綾子 氏

普段は会社員として働き、患者会は主に主人と運営しております。小学校1年生の娘と5歳の息子がおりまして、3年前、息子が2歳の時に皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症、MLCと診断されて患者会を立ち上げました。疾患の影響で頭が大きく、ふらつくことと、頭部への外傷が進行を進めてしまうこともあると言われているので、ヘッドガードをしていますが、元気に楽しく暮らしており、保育園にも通っています。よく笑うごく普通の5歳の男の子です。

MLCの大きな特徴としては、大頭症、頭が大きいこと。発達遅延、知的障害が入ってくること、てんかんなどが挙げられます。10代で車椅子になる疾患といわれておりますが、症状、進行スピードには個人差があります。息子は発達が遅くて療育センターにも通っておりましたが、2歳になってやっと歩き出した頃に、10代で車椅子になる病気ですよと主治医の先生に言われた時には、ほんとに受け入れられなくて、当時は現実を見ることができませんでした。それでも前を向いていかなければいけない地獄のような日々でした。

MLCは国指定難病、進行性白質脳症の中の一つで、小児慢性特定疾病にも指定されています。患者会顧問は東京女子医大の山本俊至先生にお願いしています。今MLCと診断された方は国内で20名ほどと言われています。

4年前にバルセロナ大学がMLCの遺伝子治療について出した論文が患者会活動の原点になっています。この論文で、もしかしたら治る疾患かもしれないのに、今は知られておらず研究されていないだけなのかもしれないという希望を持ち、とにかく多くの研究者に病気を知ってもらいたいという想いを持ちました。

私たちのこれまでの経験から患者サイドで感じた課題をいくつか挙げます。
私たちは、診断された時に患者会がなかったパターンでした。既に立ち上がっているほかの希少疾患の患者会の代表の方にコンタクトしてお話を聞かせていただき、そこからご紹介いただくなど、少しずつ活動の輪を広げてきました。その中で、ある患者会の方にご紹介いただいたNPO法人AASJの西川先生がMLC勉強会を開催してくれることとなり、そこに患者会顧問の東京女子医大の山本先生にもご参加いただきました。診断当時、一緒に情報収集くださるような団体がいてくれるとよかったなと思っています。ただ、まだまだ現実を受け入れられてないような、ピリピリした状況での情報収集だったので、私たちと同じテンションで必死に情報収集していただけないと意味がないというふうにも思っています。今も情報収集は続けています。
患者会を立ち上げた際の課題は、何が揃っていれば患者会として認められるのか、今後の治験やPPI活動等も視野に入れてどういう情報を収集すればよいかなどについて、製薬会社から助言をいただければと思います。
また、疾患研究と研究者のマッチングができる仕組みがあればよいとも思います。

つぎに、現在感じている課題としては、1つ目は、患者のレジストリに関してです。疾患それぞれにも、どんなレジストリにするのかは異なると思うのですが、これこそ研究者、お医者さん、製薬会社との連携が必要なのではと感じています。患者会が持っているデータは自由度が高くて利用しやすいというのも聞いたことがあります。また、患者会として、治験までにどんなステップを踏んでいく必要があるのか、学んでいかなければいけないなと思っております。
2つ目の課題としては、啓発です。MLCだけを啓発していても、少なすぎて啓発にならないなというのも事実です。またMLCだけではなくて、白質ジストロフィー、MLC類似の希少疾患についても、それぞれ啓発していきたいという気持ちがあります。数時間ごとに医療ケアをしなければならないお母さんたちのために何とかしたいという思いです。また、欧米には大きな財団がありますが、日本における研究への資金提供はどうすればいいのかなとも思っています。

さらにこれから科学技術・医療技術が進むことによって、今まで分からなかったことが明確になっていく中で、これからも希少疾患患者さんというのは増えていくのではないかなと思います。そのような方々がこの国で絶望されることのないように、小さな患者会の立場としてPPIに一石を投じることができたらいいなと思います。吉田さんの講演でPPIを通して出会いが広がっていくとおっしゃっていましたが、私もそう思います。ほんとに悪いことばかりじゃないなと思います。

演題④ PPIにどう取り組みますか?
~患者団体の声を届けてみよう~
NPO法人CNSネットワーク協議会代表理事 後藤 美穂 氏

CNS(セントラル・ナーバス・システム)ネットワーク協議会で精神・神経領域に関する患者団体、家族会を運営しています。
私自身、精神科に特化した家族会・患者会を運営している背景としては、私が10代の時に、身近な同世代の親族を、精神的な病で亡くしてしまったことがあり、最も身近にいながら心の病に気づくことができなかったところに衝撃を受け、自分の中でもやもやしていたものがあり、大学は看護学科に進みました。
 看護学科では家族会の活動に自らが参加する形で関わり、大学の卒業テーマも家族会に関する内容でした。その後、精神病院で看護師として勤務した後、薬の開発をする側の医療機関側での臨床試験コーディネーター、治験コーディネーターの仕事に2007年から従事しています。ボランティアで続けていた当事者会や患者会、家族会の活動を、2014年にCNSネットワーク協議会という組織にしました。現在は、医療開発機関基盤研究所の理事、臨床試験支援財団の評議員、日本SMO協会(治験実施を医療機関で支援)の会長職を務めています。
 PPIってなに?、実際に患者・市民参画って何をするのだろう?についてですが、私たちの団体はPPIに特化して何かを行っているというわけではなく、普段の活動をしている中で、これってPPIなのかなっていうところを含めてお話しできればなと思っています。
患者・市民参画って、いきなり大きな動きをしなくても、まずは自分たちが行っていることを、自分たちの組織内だけじゃなくて、組織外にも声を出していくことを伝えていきたいと思います。その一つとして、組織として行政とか製薬会社に働きかけてみることもあるのではないかと思います。例えば、一般の商品とかサービスには、消費者の視点とか意見が取り入れられるというところは結構メジャーなことだと思いますが、薬の開発にはどうだろうか。もう少し私たちの意見を伝えても良いのではと思っています。
 PPIに取り組むにあたっては、まずは学んで、その後声を発信するという流れで良いと思います。
 まず学ぶところですが、組織として行政や製薬企業に働きかけるためのTipsとして、患者団体などの組織運営とか、活動を持続化していくためにも、何もPPIに特化して学ぶというよりは、組織を持続可能なものとして、どうやって発展させていくか、継続していくかなども学んでいく必要があるかなと思っています。リテラシーの一つとして、自分たちや家族の持っている疾患などに関して、健康や医療について学んでみることも大事だと思います。ネットでもいろいろな情報を簡単に得ることができる世の中なので、どれが本当の情報で自分にとって有益なのか、見極められる力をつけていく必要があるのではないかと感じています。

学んだあとは、自分の考えや意見を伝えられるように声を発信し、共有することが大事だと思っています。当事者・家族同士で悩みや不安を共有したり、薬について語り合ってみたり、行政に対して求めることを伝えたり、製薬会社に対してこんなのがあったらいいなや治験に対する想いを届けたりすることです。また、オンライン開催は当事者/家族にとって本当に良いのかどうかも考えていかないといけないと思います。

PPIにどう取り組むか、当事者も家族も、私もOK、あなたもOKな関係で開かれた対話をしたらいいよねっていうお話をよくしています。自分自身を素直に表現して、相手にきちんと耳を傾けて、自分と相手を大切に表現して伝え合うこと、これがすごく大事だし、開かれた対話をしていくことが当事者会・家族会含めて大事っていうお話をしています。
PPIって聞くと何からどう取り組んでいいんだろうって難しさも感じるところもあるかもしれませんが、まずは難しく考えすぎず、できることから行ってみる、まずは動いてみる、そこが大事かなと思っています。

パネルディスカッション

進行
一般社団法人ピーペック事務局 池崎 悠 氏
パネラー

医薬産業政策研究所 主任研究員 吉田 晃子 氏

公益社団法人認知症の人と家族の会 代表理事 鎌田 松代 氏

MLC患者の会 廣石 綾子 氏

NPO法人CNSネットワーク協議会 代表理事 後藤 美穂 氏

池崎(以下:敬称略)

私自身は神経難病の当事者で、現在はPPeCC(ピーペック)で事務局をしていますが、これまで難病分野で活動してきました。PPeCCは、難病や慢性疾患の方や患者会の支援、社会に向けた働きかけなどをしています。
PPIをもっと身近にということで皆さんにお話をいただきましたが、ここからは、もう少し具体的にお話を伺いたいと思います。吉田さんには日本の現状と海外の例ということでいろいろお話を頂きましたけれども、PPIは患者・市民参画で、ようやくがんの先行事例もあってPPIの土壌ができてきて、一般の方の関心も高まってきたかなというところで、市民をもっとPPIに巻き込んでいくために必要なことというのをどういうふうにお感じになっていますか。

吉田

製薬企業で働く私自身も家に帰れば市民です。まずは皆さんが、いろんな機会に興味を持って参加するということが大事で、その先に立場というのがあるのかなと思っていて。そこで感じたことを家族に話してみたり、友達に話してみたり、そしてその人たちが参加するようになってくると、その輪が広がっていくのかなと思っています。今日、皆さんの言葉からも双方の理解とか連携とか出会いとか、たくさん広がりのある言葉が出てきたんですけど、それがPPIかなと思ってますし、特に市民の方を巻き込むという意味では、やはりたくさん参加して欲しいですし、それが人の輪になって広がっていくことを期待したいなと思っています。

池崎

対話や連携と聞くと仰々しいかもしれませんが、身近な人に疾患や薬の話を伝えていくこともPPIかなと思いました。鎌田さんは、既に団体では政策提言等を実行されていて、医薬品の開発への参画について、期待とか不安があるとお話されていましたが、もう少し具体的にこういうことがあれば、もっと身近になる、こういうことが必要なのではというご意見があればお聞かせいただければと思います。

鎌田

薬の場面に患者が参加していいのか?という気持ちがありました。治験については医師の方から声掛けがありましたが、それ以外の情報についてはやはり届いていないと感じています。自ら情報は獲得していかなければいけないと思いますが、認知症で精一杯生きてる本人や家族にとっては、その情報を得ることができないので、その情報の距離をもっと短くするような、そういう届ける場っていうのがあればいいなと思います。患者本人や家族が非常に目を通しやすいところにその情報を届けていくことで、距離を縮めることから始めていただくことが必要かなと思います。

池崎

病気と共に生きていく中で自分で情報を取りに行くことはほんとうにたいへんだと思います。身近に情報を得られるようになるとPPIが近くなると思います。廣石さんは、ご自身の経験から、いろいろなことが手探りだったかとは思うんですが、道を切り開いていかれるご様子をお話しいただき、ありがとうございました。さまざまな先輩の団体の方ともコンタクトを取られてというお話もありましたが、研究者とのマッチングっていうのが今後必要になっていくのではというお話もあり、その辺りを具体的にお話いただけますか。

廣石

疾患のある患者さんとそのご家族を助けるんだと覚悟を決めてくれるような先生がいたら、それだけでそのご家族ってすごく救われると思います。そんな存在が出てきてくださるだけでもきっと患者さんは元気になるなと思っていて、ほんとうに難しいと思うんですけれども、何かそういったところで政策とか、組織とか機能とかができてきたらいいなというのが私の想いです。

池崎

明日以降の生活が変わるかもしれないという希望のためにマッチングは大切だと思います。後藤さんは、組織内でのさまざまな知見とか経験というのをたくさんお持ちで、それをいきなり大きくなくてもいいから組織外にも発信していこうというメッセージが、今日参加いただいた皆さんにも身近に感じられることだったかなと思います。開かれた対話について、鎌田さんのお話の中でも専門職と話すのにちょっと気が引ける、知識もないしというお話もあったと思うんですけど、フラットな対話に必要なこと、これからPPIを推進していく中で出てくる課題だと思うんですけど、ご意見があればお伺いしたいです。

後藤

当事者の会とか家族会を運営していて、医療者とか他の関係者と対等にお話しできるために、まずは自分の疾患を学んで、飲んでいる薬などの情報をしっかり学んで、自分の症状を的確に、診察という限られた時間の中で先生に的確に伝えられるようになろうっていうことを言っています。自分ノートとしてまとめてみるということを実際行っています。患者会や家族会などに参加していろんな人の意見を聴くなかで、情報が入り、理解し、学ぶことができると思います。

池崎

今日の副題でもある、明日から取り組める医療への患者・市民参画ということで、今日、聞いてる皆さんも、明日からすぐ何か取り組みを始めるのは難しいかもしれないですが、何か実践できることのヒントが持ち帰られればなと思ってらっしゃる方も多いと思います。こういうことを実践したいなと思っていること、実践してみたらどうですかっていうご意見を、実際にできること、実践という観点から、皆さんより頂ければなと思います。

吉田

製薬産業という立場では、こういう機会はとても大事だと思っています。私も含め皆さまが経験したPPIについて話をする、外部に発信することも大事だなと思っています。皆さんの経験を聞くことも大事だと思っています。

池崎

廣石さんのお話にありましたが、皆さんがそれぞれの経験を通して、それぞれの立場から情報発信していくことがPPIの実践に繋がるのではないかと思いました。鎌田さんはいかがでしょうか。

鎌田

まず私たちは当事者の会なので、本人や家族にそういう場が設けられるんだよということを情報として伝える、これからはそういう時代になってくるんだよ、ということだったら、すぐに伝えられるっていうことです。もう一つは、ファーストタッチの場はお医者さんであり薬局なので、そういう場の人たちが私たち本人や家族に、そういう場があるんだよっていうことを教えてくださる、一番身近なところから情報が近づいてきてくれたら、私たちも、あ、そうなんだと、時代は変わったんだと、お薬は専門家が作るんではなくて、患者も一緒に作るんだっていうのを、何か知ることができればいいなと思いました。そのためにはお医者さま、製薬会社、それで私たちは自分の会員さんとか、そういうところに、そういう場が、時代が変わったんだよっていうことを伝えていくことかなと思いました。

池崎

廣石さん、いかがですか。

廣石

自分の周りの方々、大きい団体とか製薬会社とかに自分の思いを聞いて欲しいと思う気持ちがやはり強いんですけれども、自分の周りの方々に知っていただくこと、話せる人には話すことって大事だなって思っていて、SNSで自分の思いを発信したら、手を差し伸べてくださる方々っていうのはやっぱりたくさんいらっしゃったんですね。出会いもすごい大事だなって思ってます。

池崎

まさに明日からではなく今日からでも実践できることですね。後藤さんにも、お尋ねしてみたいんですけれども、既にスライドの中でたくさん実践の例をお話しいただきましたので、ぜひ、聞いてらっしゃる皆さんが明日からできるようなこととか、アイデアがあれば、ぜひお伺いしたいです。

後藤

私は学ぶ、そして伝えるというところ、お話ししてきたんですけど、発信するって大事だなと思っていまず。自分たちの団体で、こんなことをやってますっていうのを、自分たちの中で完結させずにSNSでも何でも外に出していかないと、何をやってるか分からないっていう事になってしまいます。あわせて、製薬会社側でも好事例についての情報発信をしていただき、お互いにキャッチアップしていけると良いと思います。

池崎

患者会だけでなく製薬会社やいろいろなステークホルダーが経験知を発信できればいいなと思います。皆さまから、PPIをもっと身近に、そして明日から取り組めることというテーマでお話を頂きました。PPIへの取り組みについては皆さんそれぞれ異なると思いますが、今日の講演、パネルディスカッションを通じて、PPIについて少しでも身近に感じていただき、何か取り組んでみようと思っていただければすごくうれしいと思っています。

情報提供

「臨床試験にみんながアクセスしやすい社会を創る会」の概要ご紹介について

2023年6月に発足した「臨床試験にみんながアクセスしやすい社会を創る会」(以下:「創る会」と表記)について、共同発起人、オブザーバーの紹介のほか、発足から今日までの活動内容について紹介しました。具体的には臨床試験情報のデータベースであるjRCT*について、情報を検索する側、情報を入力する側双方から課題が指摘されており、あらゆるステークホルダーの方々にとって使いやすいシステムに改修することを厚生労働省に働きかけることが創る会の設立の背景になっています。2023年12月にはシステム改修についての要望書を厚生労働省に提出しており、2024年1月の改修にあたっては創る会から提出した要望の一部を反映する形で既に実装されています。
今後も創る会としての会議およびシステム改修に向けた要望は継続していくこととしており、臨床試験情報の啓発・周知活動についても検討を重ねていくこととしています。
*Japan Registry of Clinical Trials

閉会挨拶

日本製薬工業協会 石田佳之常務理事より「医療環境の改善に向けて多くの課題があるなかで、患者団体の皆さんや医療関係者、製薬企業が協働して一つひとつの課題を解決していくアプローチも大切で、そのためにも、このような場で相互の理解を深めていくことができればよいと思う」と謝辞が述べられました。

自由歓談

メインプログラム終了後に、ご登壇者と聴講された患者団体の方、そして製薬協医薬品評価委員会メンバーがWeb上で自由に語り合える時間を設けました。語りきれなかったこと、もっと聞きたかったことなどについて活発な意見交換がなされました。

(患者団体連携推進委員会 相互理解TFリーダー 丸本 康博)

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