第38回 患者団体セミナー

コロナ禍での過ごし方は?

松本氏

  • プライベートも仕事も大きく変化を余儀なくされたことで、非常にストレスを感じたが、専門家の講演で規則正しい生活をすることが何より大事と聞き、意識して実践することで徐々に取り戻した

池崎氏

  • 生活が大きく変わりストレスを感じていたが、毎日ラジオ体操をして自分の体調を確認した
  • コロナ前からつながっていたSNSでのつながりがとても大きかった(心の支え)

使用しているオンラインツールは?

松本氏

  • Zoomを使用

池崎氏

  • 会議はZoomを使用、日頃の軽いやりとりはLINEを使用
  • 書類はGoogleドキュメントやGoogleドライブを活用
  • 慣れていない方でZoomが難しいと感じる場合、LINEやFacebookのメッセンジャーのビデオ通話の利用でも、複数人でのビデオ通話を体験できる

実際のオンライン活動のご紹介

松本氏

  • 交流会やセミナーを実施
  • Zoom利用が不安な方に対して、オリジナルのZoom初心者マニュアルを提供した
  • オンライン交流会に医師を招待し、得意のギターを弾いていただいた

池崎氏

  • 当事者のプレゼンテーションだけでなく、難病に関する情報や、お勧めの本の紹介などの気軽な内容をYouTubeで配信した。YouTubeの配信だと、双方向性などの交流会における良さは失われるが、いつでもどこでも見られる良さがある
  • SpatialChat(スペイシャルチャット)というアプリを使った交流会を実施。自分のアイコンを動かすことができ、近づいた場所で話している人の声が聞こえ、離れると聞こえなくなる。本当のカフェにいるような良さが感じられる

オンラインイベント参加者からの声

松本氏

  • 孤独を感じていた方から、オンライン交流会でつながりが実感できたと言ってもらえた
  • 80歳以上の方からも「初めてオンラインをやってみたが、やってみるととても良かった」というお声もいただいた

池崎氏

  • 外出できない方からの声「部屋の椅子やベッドの中からでもつながりを実感できて、うれしかった」
  • 講演会や交流会に距離や体力的な制約で今まで参加できなかった方が、オンライン交流会ならば参加することができたといわれた

オンライン活動に活かせるヒント

松本氏

  • おれんじの会が所属している全国がん患者団体連合会で、「オンラインでのピア・サポート留意事項の手引き(2020年7月23日版)」を作成し、ホームページに掲載をしている

池崎氏

  • 時間や曜日、使用するオンラインツールを固定しないなど、柔軟な対応をすることでより多くの方が参加しやすい状況を作る

オンラインイベントに参加する方への配慮

池崎氏

  • セキュリティに気を付けている。Zoomなどに入るときは必ずパスワードをかける
  • Zoomの参加に必要な入り口(URL)をホームページなどで公開せずに、申し込んだ方にだけ限定で送る
  • インターネット接続が切断された時は、心理的に遮断されたような気持ちになる。そんな時は電話やメールなど、すぐに連絡できる別の手段を確保するようにしている。
  • 発言しにくい方や、声が出しづらい方もいるので、チャット(文字入力機能)で質問を受け付ける

松本氏

  • セキュリティの重要性は全く同じ考え
  • 参加者同士が安心して語り合うために、顔が写る状態をお願いしている
  • 顔を写さない設定では名前やニックネームだけの表示になり、対話の相手が誰か分からず不安になる。ただし、病気等の事情で顔を写したくないというときもあるので、事前に連絡をしてもらっている
  • 画面の撮影、録音、話の内容をSNSに投稿することはお断りすることを事前に案内。そうしないと、画面をスクリーンショットで撮り、すぐにSNSに投稿することも起こり得るので、きちんとお願いをしてからイベントをスタートしている
  • オンラインのやりとりは間の取り方が難しく、発言がかぶってしまうことがある。また、1人が長くしゃべってしまうこともあるので、進行役が上手に場を調整することは、とても大事である

オンラインイベントに参加できない方への配慮

松本氏

  • 特にオンラインが苦手な方に対しては、例会の案内などを送るときに、少しでも興味を持ってもらえるよう、状況や体調を伺う手紙を添えるようにした。つながりが見えるように心がけている

コロナ禍での患者団体運営の課題

松本氏

  • 今後、会費を納めることが難しい方も増えてくるかもしれない
  • いろいろな企業、団体からの寄付も大きな収入源になっているが、各企業、団体の経営状況によっては難しくなるのではと危惧している
  • 一方、自治体でNPO法人に対しての助成制度もあるので、私たちの活動を続けていくために様々な取組みをしている最中

池崎氏

  • 法人格がない任意団体なので、そもそも応募できる助成金が少なく、今後の活動は手探り状態
  • オンライン機材(配信用のカメラやマイクなど)に特化した助成金も最近出てきているようなので、お困りの団体の方は利用してみてはどうか

リアルの場の大切さ

松本氏

  • 私たちは患者団体活動を始めるとき、「1人じゃないよ」というメッセージを掲げてきた。オンラインでつながりを実感できたという声は多いが、やはりリアルで、体温を感じる、隣に人がいる、1人じゃないと感じることは、オンラインではなかなか叶えられないと思う
  • もう一つ、言葉にならない思いを受け止めることが、私たちの活動の基本にある。オンラインでは、悲しいといって泣いている方がいても、声はかけることができても、画面越しなので伝えたい気持ちも伝えられない、伝わっているかがわからないところに難しさを感じる
  • 言葉にならない思いを伝える。それを私たちが一緒に聞かせていただく、そばにいるということは、リアルでこそ実現できることだと思っている

池崎氏

  • オンラインでのつながりは予定調和的だと感じる。私たちは、福岡の街なかのレンタルスペースを貸切りで難病カフェなどを開催しているが、通りかかった方が「あ、何だろう」と入って来て、「難病の人たち、すごく楽しそうに話している」、「自分の思っていたイメージと違う」と感じてもらうだけで、共生社会を体現しているし、分け隔てない新しいつながりを獲得できる。そのつながりがオンラインではできないので、これからの課題だと思う

みなさんへのメッセージ ~私たちに今できること~

池崎氏

  • 手探り状態で頑張っていらっしゃるということにまず敬意を表したい。コロナ禍における患者団体活動の経験値がたまってきているので、それを共有して、誰一人置いてけぼりにしないように、これからも一緒に頑張っていけたらいいなと思う

松本氏

  • 患者会活動の本当の目的は「1人じゃない」ということを実感してもらうことだと考えている。それぞれの団体の活動の原点は何なのか。最終的に達成したい目的は何だったのか。このような状況だからこそ、手段を考えることに振り回されて、一番大事な目的を見失わないことが重要だと、自分にも言い聞かせている。一緒に頑張っていきましょう

参照資料

このページをシェア

TOP