アジアでの臨床試験環境改善の為に「医薬品医療機器総合機構(PMDA)、国立がん研究センター(NCC)、国立健康危機管理研究機構(JIHS)との会合」を開催
製薬協医薬品評価委員会、国際委員会アジア部会では、アジアでの臨床試験の円滑な実施や規制調和の障害となる課題を抽出し、厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)および研究機関等との連携を通じて解決策を図っております。この活動の一環として、PMDA、国立研究開発法人 国立がん研究センター(NCC)、国立健康危機管理研究機構(JIHS)と2025年4月17日に対面・オンラインのハイブリッド形式にて活発な意見交換を行いました。本会議は、2025年1月17日に初めての産学官合同の会議をPMDAアジア事務所で行い、今回が2回目の開催になります。

JIHS
インターナショナルトライアル部 部長 時田 大輔 氏
プロジェクト企画運営室長 友次 直輝 氏
プロジェクト管理室長 市川 雅人 氏
2025年4月1日より、国立国際医療研究センター(NCGM)、国立感染研究所(NIID)の統合にて発足したJIHSの役割の紹介がありました。具体的には、国内外の感染状況の収集・評価機能の強化、研究開発を促進する基盤、臨床試験ネットワークの中核について話がありました。また、東南アジア・東アジア国際共同臨床研究アライアンス(ARISE)について、設立後3年が経過し、感染症に関する臨床研究/試験の実施経験を積み重ね、この経験をふまえて、各国メンバーとの連携体制、各国との架け橋となるリエゾン・オフィサーの存在、サーベイランス研究の展開、さらに各国保健省、規制当局、研究支援団体との良好な関係という、ネットワークの強みについて話がありました。
国立がん研究センター
国際開発部門 部門長 中村 健一氏
研究企画室 室長代理 溝口 千春 氏
アジア連携推進室 室長 寺田 参省 氏
アジア連携推進室 アジア連携推進タイ事務所 所長 関野 雄太 氏
NCCが主導するアジアがん臨床試験ネットワーク構築に関する事業(ATLASプロジェクト)について、ATLASプロジェクトの意義、過去の国際共同試験、拠点整備・ネットワークについて話がありました。
アジア特有の臨床的課題、企業ニーズを解決・充足するための臨床開発基盤構築、国際共同試験のノウハウが蓄積し、アジアのみならず米国・欧州との連携も視野に入れている等の将来への展望についても話がありました。
PMDAアジア事務所 所長 北原 淳 氏
2024年8月にPMDA初の海外事務所であるPMDAアジア事務所が設立され、当事務所設立の目的、設立以来の活動として主なアジア各当局へ訪問した内容について共有がありました。今後も、産官学 からの臨床試験改善の要望を確認するとともに、アジア地域における革新的な医薬品等へのアクセスの改善に向けて、アジア各国において臨床開発が円滑に進められるよう薬事規制環境の整備支援を行う旨の話がありました。
製薬協 医薬品評価委員会・国際委員会アジア部会
製薬協から、アジアで臨床試験を実施する上での課題およびそれに対する取り組み、さらにはアジアでの臨床試験効率化に対する産官学での議論に対する期待について共有しました。特に、効率的かつ質の高い国際共同試験実施については規制当局および医療機関との協力、および多国間・他施設間での臨床試験実施面での調和が重要であるため、規制当局および臨床試験ネットワークとの協力関係構築を元にした調和活動に対する要望を行いました。
最後に、それぞれの要望について、産学官で意見交換を行い、今後の活動について話し合いを行いました。今後も定期的に意見交換を行うとともに、産学官で連携していくことを確認しました。
医薬品評価委員会:中路 茂 、岡安 綾子
国際委員会 アジア部会:香川 治、藤井 範幸、今井 亮翔、村林 宏美、近藤 恵一郎、刀根 拓也、佐藤 慶子