「フランス製薬工業協会(Leem)との定期会合」を開催
2025年04月24日
製薬協国際委員会欧米部会では、欧米の政府・製薬団体と協調し、国際的課題の解決を図る活動の一環として、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、英国製薬工業協会(ABPI)、フランス製薬工業協会(Leem)、ドイツ研究開発型製薬工業協会(vfa)との定期会合を毎年実施しています。今般、フランス製薬工業協会(Leem)との定期会合が2025年3月13日にオンライン形式で開催されました。フランスで2024年に政権交代があった影響で半年ほど開催が遅れましたが、例年にも増して活発な意見交換を行いました。
オンライン会議の様子
Opening Remarks
製薬協 国際委員会 中川 祥子 常務理事
General Director, Leem Laurence Peyraut 氏
冒頭、製薬協の中川祥子常務理事より、Leemとの定期会合は今回で30回目を迎え、今後もこの定期会合において両団体の協力関係がより強化されることへの期待が述べられました。
Leem General DirectorのLaurence Peyraut氏より、長年にわたる製薬協との協力関係について感謝の意を伝えるとともに、昨今各国で地政学的な問題を抱える中、日仏が継続して親交を深めていくことが非常に重要であると述べられました。
Impact on healthcare policy in France after new government
Public Affairs Director, Leem Laurent Gainza 氏
フランスの半大統領制、二院制などの政治システム、2024年は保健大臣が4人交代したこと、絶対多数を獲得した政党がないなどの政治情勢、フランソワ・バイル政権の主な課題について紹介がありました。この状況に対するLeemの優先的な取り組み事項も共有されました。
質疑応答では、急な政権交代でどんなロビーイングをしたか質問があり、Leemからは政権が変わる度に、ロードマップを作成してレジリエントな組織として提案してきたと回答がありました。
PLFSS for 2025
General Director, Leem Laurence Peyraut 氏
2025年の社会保障財政法案について説明があり、法案概要や法案の制定に向けたLeemの取り組みが紹介されました。ディスカッションでは、企業の収益に対する影響を最小限に抑えるために、クローバックシステムの改革の必要性や昨今のフランスの政治不安によって今後の政策の予測が難しいため、企業と政府が協力して医薬品規制システムの見直しが必要である旨が議論されました。
Sharing experiences on the preparation of the G7
製薬協 国際委員会 グローバルヘルス部会 丸山 潤美 委員
2023年に日本で開催されたG7広島サミットに向けた製薬協の取り組みについて紹介がありました。日本政府の優先事項、時代背景も考慮に入れ、UHC、パンデミックへの備え、薬剤耐性(AMR)対策を3本柱とした提言を行い、保健大臣コミュニケにも提言内容が反映されたことが報告されました。準備にあたり、IFPMAとの連携、日本政府との対話を保健アジェンダが決定される前までに行うことの重要性が強調されました。2026年G7の議長国がフランスであることからLeemの関心も高く、有意義なディスカッションとなりました。
Geopolitical context and the position of Leem & JPMA, particularly on US announcements on tariffs
International Affairs Manager, Leem Caroline Allheily 氏
European International Public Affairs Manager, Leem Fabrice Meillier 氏
製薬協 国際委員会 欧米部会 北米グループ 粟村 眞一朗 グループリーダー
Fabrice Meillier氏とCaroline Allheily氏から、トランプ政権誕生に伴う地政学的リスクおよび関税賦課政策に対する懸念が示されたのち、粟村眞一朗グループリーダーから、米国訪問で得た情報等を踏まえた現状認識の説明がありました。ディスカッションでは、実際に医薬品に関税が課せられた場合に生じる具体的な課題や考え得る対応等について意見交換が行われました。
Recent movement to promote innovation in Japan
Discussion on Price & Reimbursement
日本製薬団体連合会 保険薬価研究委員会 草開 義隆 氏
日本におけるイノベーションの推進に関する動向や課題認識、「骨太方針2024」およびPhRMA、EFPIAと連携した製薬協のアドボカシー活動、創薬エコシステムサミットの中で公表された政府の公約などを紹介しました。製薬協として、製薬業界が日本の基幹産業として成長を続けていくための国の政策の前向きな変化を歓迎し、日本への投資を増加させるための確実な施策を引き続き提案していくことを確認しました。
Closing Remarks
General Director, Leem Laurence Peyraut氏
製薬協 国際委員会 村上 伸夫 委員長
Leem General DirectorのLaurence Peyraut氏より、重要度の高いアジェンダに対して質の高い意見交換ができたことに感謝の意が述べられました。また、次回は対面で実施したいことや、ジュネーブやIFPMAでのディスカッションの機会への期待についても触れられました。国際委員会の村上伸夫委員長からは、今回の定期会合で非常に価値のある洞察が得られたことへの感謝を伝えるとともに、他業界の団体とのコラボレーションは地政学的な問題など多くの問題を解決する糸口になることが述べられました。
最後に
Leemの意向に同調し、次回は対面でじっくり話し合う機会を持つ意向で一致して、和やかな雰囲気で一年半ぶりの会合を終えました。
(国際委員会 欧米部会 欧州グループ ドイツフランスチームリーダー 長井 政人 )