「ICHリオデジャネイロ会合」が開催されました ~初の南米開催となったICH会合~
医薬品規制調和国際会議(ICH: The International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)の会合が、2026年5月30日から6月3日まで、ブラジル・リオデジャネイロで開催されました。会期中は、ICHの全メンバーおよびオブザーバーで構成される総会(Assembly)と、総会への付議事項を審議する管理委員会(Management Committee)が開催されました。あわせて、MedDRA(国際医薬用語集)運営委員会および12の技術トピックに関する作業部会も開催され、各ガイドラインの策定に向けた議論が進められました。また、E6(R3) Annex 2がステップ4に到達するなど、主要なマイルストンも達成されました。
今回の会合は、ICHとして初の南米開催となりました。開催国のブラジルからは、ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)がICHメンバーとして国際的な規制調和活動に積極的に参画しており、本会合は南米地域における規制調和のさらなる進展を象徴するものとなりました。
ICH会合は原則として対面で開催されており、今回も世界各国・地域から約500名の委員・専門家がリオデジャネイロに集まりました。創設メンバーである日米EUの産官6団体に加え、常任規制当局メンバー2団体、その他のメンバー17団体、常任オブザーバー2団体およびその他のオブザーバー25団体が参集し、活発な議論が行われました。製薬協からは、総会・管理委員会関係者および作業部会の専門家など26名が現地参加しました。
ICH総会・管理委員会の主な成果
新規メンバー・オブザーバーの加盟
今回の総会では、パキスタン医薬品規制局(DRAP)およびニュージーランド医薬品・医療機器安全承認局(Medsafe)のICHオブザーバー申請が新たに承認されました。なお、新たなメンバーへの昇格申請はありませんでした。
この結果、ICHはメンバー25団体、オブザーバー43団体の計68団体となりました。
ICH戦略ビジョンの策定
本会合では、ICHの使命、公衆衛生への貢献、医薬品への迅速なアクセス促進に関する考え方を示した「ICH戦略ビジョン」が承認されました。今後5年間(2026~2030年)に注力する5つの戦略的優先課題が盛り込まれており、ICHの今後の活動方針を示す重要な文書です。「ICH戦略ビジョン」は、ICH公式ウェブサイトで公開されています。
テクノロジータスクフォース最終報告書の公表
テクノロジータスクフォースは、ICHガイドラインの調和の取れた策定および一貫した実装を支援する安全な情報共有プラットフォームの構築を検討してきました。本会合では、スイス法に準拠する単一の商用クラウドベース・プラットフォームの構築に関する最終提言が総会に報告され、最終報告書のICH公式ウェブサイトでの公表が了承されました。最終報告書は、ICH公式ウェブサイトで公開されています。
Technology Task Force Final Report:ICH Technology Platform Technical Capabilities and Requirements
技術トピックの進展
12の作業部会が対面会議を実施
ICHリオデジャネイロ会合には、12の技術トピックに関する作業部会が参集しました。各グループは通常、定期的なウェブ会議を中心に活動していますが、本会合では4~5日間にわたって対面で集中的に討議し、ガイドライン策定作業を進めました。
特にQ5E Annex EWGは、前身のICH細胞・遺伝子治療ディスカッショングループ(CGTDG)での議論を踏まえ、2026年2月に設立された新たな作業部会です。今回、初めて対面会議を開催し、コンセプトペーパー案の作成を進めるなど、ガイドライン策定に向けた検討を本格化させました。
会合を開催した作業部会一覧
横スクロールが可能です
| Q1 EWG | 原薬および製剤の安定性試験 |
|---|---|
| Q3E EWG | 医薬品の抽出物および溶出物ガイドライン |
| Q5E Annex EWG | 先端医療製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価 |
| Q6(R1) EWG | 「医薬品の規格および試験方法の設定」の改定 |
| S13 EWG
|
核酸医薬品の非臨床安全性試験 |
| E21 EWG | 妊婦および授乳婦の臨床試験への組み入れ |
| E22 EWG | 患者選好研究に関する一般指針 |
| E23 EWG | 医薬品の有効性に関する規制上の意思決定におけるリアルワールドエビデンス(RWE)の使用に関する考察 |
| M4Q(R2) EWG | 「CTD-品質に関する文書の作成要領に関するガイドライン」の改定 |
| M7 Sub-group | 潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価および管理 -ニトロソアミン不純物管理- |
| M13 EWG | 即放性経口固形製剤の生物学的同等性 |
| M18 EWG | バイオシミラー開発プログラムにおける有効性比較試験の有用性決定の枠組み |
E6(R3) Annex 2がステップ4に到達
本会合では、E6(R3) Annex2「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」ガイドライン付属文書2(Annex 2)が総会の規制当局メンバーにより採択され、ICHにおける重要なマイルストンであるステップ4に到達しました。これにより、E6(R3)の一連の改定が完了しました。
また、2025年11月のICHシンガポール会合以降に主要なマイルストンへ到達したトピックについても確認されました。
主なマイルストン到達トピック
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E6(R3) Annex 2
「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」ガイドライン付属文書2(2026年6月、ICH総会)
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M15
Model-Informed Drug Development(MIDD)に関する一般原則(2026年1月)
次回会合
次回のICH会合は、2026年11月14日から18日まで、チェコ共和国プラハで開催される予定です。
おわりに
ICHでは、会合の成果や各技術トピックの進捗状況を積極的に公開しています。今回のICHリオデジャネイロ会合の成果を含め、各トピックのコンセプトペーパーや作業計画などの詳細については、ICH公式ウェブサイトをご参照ください。
参考資料:ICHメンバー、オブザーバー一覧(2026年6月現在)
表1:メンバー(25団体)一覧
表2:オブザーバー(43団体)一覧
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※水色の網掛けは、ICHリオデジャネイロ会合で追加された団体を示します。
(国際規制調整部長 加藤 真理子)
