非感染性疾患 Non-Communicable Diseases, NCDs

世界の死因第1位のNCDs(循環器疾患・がん・糖尿病・慢性呼吸器疾患)対策には、予防と管理の活動を体系的に進めていく必要があります。

WHOの定義では、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて「非感染性疾患(NCDs)」として位置づけています。狭義ではがん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患が含まれ、これに加え精神疾患や外傷を加えるという意見もありますが、正式な合意はありません。NCDsは、既に死亡原因の第1位を占め、2012年の全世界の死亡者数5,600万人の68%に当たる3,800万人が、NCDsを原因として亡くなっています。そのうちの80%は発展途上国における死亡者数です。(※1,※2)2018年6月WHOのファクトシートによれば、全世界の全ての死亡者数の71%に相当する4100万人がNCDsにより毎年亡くなっています。また、1500万人が30歳から69歳の間にNCDsで亡くなっており、その「早すぎる」死亡の85%以上が低中所得国における死亡者数となっています。(※3)

70歳以上の死因割合(※4)

このような状況をふまえ、2011年9月には国連ハイレベル会合においてNCDsに対して国際社会が協力して取り組むべきだとする政治宣言が採択されました。2013年5月には世界保健機関(WHO)によって国際的なNCDsの目標と指標を含む枠組みである「NCDsの予防と管理に関するグローバル戦略の2013年~2020年行動計画」が策定されました。2013年~2020年行動計画は、4つのNCDs(循環器疾患・がん・糖尿病・慢性呼吸器疾患)および4つの行動リスク要因(煙草・不健康な食生活・運動不足・過度の飲酒)を取り上げています。「NCDsの予防と管理」の重要性を強調するために、2013年~2020年行動計画は、「25 by 25」目標(2025年までにNCDsによる30歳から70歳までの死亡率を25%削減すること)を設定し、国・地域・グローバルレベルでの、分野部門を超えたマルチセクターによる協力に基づく、6つの政策(※註)の実現に向けて取り組みが進められています。国連総会は、2018年にNCDに関する3回目のハイレベル会議を招集し、各国のリーダーは、NCDの予防と治療に向けた各国の取り組みに責任を負うことが同意されました。
なお、2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択されている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)のターゲット3.4においては、2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健および福祉を促進すると定められています。
IFPMAでも、2011年6月に、「NCDsの予防と管理のための活動枠組み」を定め、行動計画の上位に位置付け、発展途上国におけるNCDs予防やNCDs治療薬のアクセス問題改善を目的とした複数のパートナーシップを構築しています。また、産業界によるNCDsへの貢献を集約し、特設のウェブサイトに掲載しています。製薬協は、IFPMA策定の「NCDsの予防と管理のための活動枠組み」を支持し、NCDsの予防と管理の課題解決に向け、様々なステークホルダーとの連携等の可能性を模索していきます。
製薬協会員企業は、これまで、現在世界各国で販売されているNCDsを対象とした数多くの新薬を創出してきました。今日でも、自社内のみでなく他のステークホルダーとの提携も含めNCDs分野の新薬創出に向けた研究開発に引き続き注力しています。さらに、自社のプレゼンスを世界各国に拡充し、公衆衛生や疾患の啓発活動、および創出された新薬を、広く世界に供給していくべく努力を継続しています。

  • 註)WHOの提唱する6つの政策

    1. 国際協力および政策提言:国際協力および政策提言を通じ、国・地域・グローバルレベルでの行動計画、および国際的に合意される開発目標において、NCDsの予防と管理の優先順位を引き上げる。
    2. 国主導によるマルチセクターでの対応:各国のNCDsの予防と管理への対応を加速するため、各国の指導力・対応能力、実行力とともに分野部門を超えた行動と連携を強化する。
    3. リスク要因および決定因子:健康を増進する環境を整備し、NCDsのリスク因子(喫煙、不健康な食生活、運動不足、過度の飲酒)とその背景にある社会的要因を減少させる。
    4. 保健医療制度およびユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:患者中心のプライマリー・ヘルスケアおよびユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現により、NCDsとその社会的要因の予防と管理のために保健医療制度を適合させ、強化する。
    5. 研究開発・イノベーション:NCDsの予防と管理のための各国の高品質な研究開発力を強化し、サポートする。
    6. 調査およびモニタリング:NCDsの傾向とその要因をモニタリングし、予防と管理の進捗状況を評価する。

会員企業の取り組み事例

Access Accelerated Access Acceleratedは、低・中所得国における非感染性疾患の疾病負荷の増加に対応するために2017年に設立された官民連携の取組みで、日本企業7社を含む20社以上の製薬企業が参画しています。世界銀行や国際NGO等との協働により、予防、治療、ケアへのアクセス改善を通じて、2030年までにNCDsに起因する早期死亡を3分の1減らすというSDGs目標(3.4)の達成に向けて取り組んでいます。
※アステラス製薬、エーザイ、塩野義製薬、第一三共、大日本住友製薬、武田薬品工業、中外製薬

このページをシェア

TOP