企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン
策定にあたって
2022年5月25日
日本製薬工業協会
研究開発型製薬企業の使命は、革新的な新薬の継続的な創出と安定的な供給を通じて、世界の人々の健康と医療の向上に貢献し、健康で暮らしやすい社会の実現に寄与することです。
近年「患者参加型医療」の重要性が認識され、その実現に向けた取り組みが各方面で検討・実施されてきています。製薬企業としても、上記の使命を果たすために、創薬段階から市販後における医薬品の適正使用推進や安全対策に至るまで、医薬品と患者さんが関わるあらゆる場面において、患者さんやそのご家族のニーズや悩みを理解して対応することの必要性を認識し、患者団体と積極的かつ継続的に協働する機会が増えてきています。また、行政、医療界ともに、「患者さんの声」をより重視するようになり、行政当局の委員会や検討会に患者団体の代表者が委員として参画することも増えてきました。
このように患者団体の発言力・影響力が高まるなか、製薬企業は、患者団体との協働について、一般社会から正しい理解を得るために誠実な行動を続けるとともに透明性を確保する必要性が増しています。海外では、2007 年に欧州団体製薬連合会が、製薬企業と患者団体との関係が倫理的かつ透明であるよう、「製薬業界と患者団体との関係に関する行動規範」を採択しています。
こうしたなかで、日本製薬工業協会は、会員企業が患者団体に提供している金銭的支援等について、一定のルールの下に情報を開示することにより、一層の透明性を確保し、その活動が高い倫理性を担保したうえで患者団体の活動・発展に寄与する誠実な活動であることについて広く理解を得ることが重要であると考え、2012 年に「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」を策定しました。
その後、2018 年に日本(東京)で開催された APEC ビジネス・エシックス・フォーラムで、患者団体、政府、医療界、製薬産業および医療機器産業の団体で設立した「日本における倫理的提携のためのコンセンサス・フレームワーク」のなかで、透明性の確保と説明責任を推進することを宣言しました。
日本製薬工業協会は、本ガイドラインをよりわかりやすく時代に沿った内容とするために継続的に見直すとともに、会員会社は引き続き本ガイドラインを参考に自社における患者団体との透明性に関する指針を策定し誠実に運用します。