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臨床試験の個別被験者データの共有にあたって
最近の動向も交えて
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規制当局以外のCTDSに関する動向として、TransCelerate BioPharma Inc.[21]とPhUSE[22]の活動を紹介します。TransCelerate BioPharma Inc. からは、De - Identification and Anonymization of IPD in Clinical Studies - A Model Approach V2.0[23]が2016年末にリリースされており、個別被験者データ共有時の匿名化方法について述べられています。V1.0では米国のHIPAA Privacy Rule[24]を中心に解説していたのに比べて、V2.0ではEUのGDPRやPolicy 0070を強く意識しており、残存リスク評価の必要性をV1.0よりも強調しています。また、The Placebo and Standard of Care(PSoC)イニシアティブ[25]が設立され、プラセボ群および標準治療群データを加盟企業間で共有する試みが始まっています。TransCelerate BioPharma Inc. 傘下の組織であるBioCelerate[26]と協同で、2018年7月にリポジトリをリリースし、2018年末時点で119試験、8万2500例以上のデータが格納されました。これにより、臨床試験のデザインの改良、治験実施の迅速化、疾患のさらなる理解促進等の効果が期待されており、ヒストリカルPSoCデータを対照群として活用することも視野に入っています。加盟企業でのデータ利用がすでに開始されています。
 PhUSEが2015年5月にリリースしたStudy Data Tabulation Model(SDTM)データの非特定化標準:De - Identification Standard for CDISC SDTM 3.2 v1.01[27]は、今も個別被験者データの非特定化標準として広く活用されています。そのAppendix 1:Date Offsettingについては更新版が2017年5月19日にリリースされました[28]。データの非特定化作業時に日付のOffset[29]を部分日付[30]に対して実施した際は、最後のステップで、再度部分日付に戻すことが強調されました。これは、部分日付のoffsetされた日付から、適用された差分(delta)が類推されやすいためです。また、Analysis Data Model(ADaM)の場合の日付のOffsetに関する記述も追記されました。なお、ADaM自体のDe - Identification Standardは2019年5月17日現在、リリースには至っていません。
 CTDSのプラットフォームの動向として、複数の団体・企業が参加しているClinicalStudyDataRequest.com(CSDR)[31]とVivli[32]の最新状況を紹介します。なお、製薬協として特定のCTDSプラットフォームを推奨するわけではありません。
 CSDRは2019年5月17日時点で19団体・企業が参加しており、日本の製薬企業も複数参加している代表的なCTDSプラットフォームです。データ利用を希望する研究者とデータ提供者間でデータ共有合意が締結されると、研究者はアクセスコントロールされたセキュアな解析環境下で該当試験の非特定化されたデータを無償で利用できます。すでに約6年間の運用実績があり、共有対象リストに掲載されている試験の数は3344にまで達しました(2019年5月17日付)。2019年3月31日までに提出された研究企画書の数は494にのぼり[33]、うち、80以上が複数企業の臨床試験データを使っての研究企画となっています。公表された研究結果は2019年3月31日時点で42件です。

















mark [29]
日付を特定の起点をもとにスライドさせるデータ処理を、PhUSEのデータ非特定化標準ではoffsetと呼ぶ。
mark [30]
部分日付とは、年のみ(例:2019年)、もしくは年月のみ(例:2019年5月)等、日付情報が部分的にしかないことを意味する。
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