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「製薬協メディアフォーラム」を開催
テーマは「危機管理としての感染症対策」
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院内感染の事例と対策

耐性菌が広がって、死亡例が出たりすると記者会見を開かねばならないような事態を招きます。2010年9月には帝京大学医学部附属病院で、多剤耐性菌により少なくとも9名が死亡しました。この事件をきっかけに、それまで私立大学医学部附属病院にはなかった「私立医科大学病院感染対策協議会」が設けられ、私立大学医学部附属病院に対する感染対策のレベル標準化が図られるようになり、それから約7年が経過しました。2015年2月には長崎大学病院で、新生児からCREが検出され、病院側が集中治療室と治療回復室への受け入れを一時中止する事態となり、地域の新生児医療に大きな影響を与えました。こういったアウトブレイク(集団発生)が起きてしまうと、入院制限等の措置を取らなければならなくなるので、耐性菌が院内で、広がらないように注意していくことが非常に重要です。私が居りました慶應義塾大学病院でも乳児72名が病原大腸菌に感染し、死亡例はゼロでしたが重症例が出て記者会見したケース、外科系病棟でCREがアウトブレイクしたために入院制限を行ったケース、内科系病棟において海外で治療を受けた患者さんからトイレ等を介してVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)が病棟内に広がったケース等があり、細心の注意を払う必要があります。
 外科系病棟の事例での実際の対策としては、手洗い場と洗浄流し場を完全分離して水はねにも強い構造にすることや、経管栄養資材のディスポ(使い捨て)化をすることによって改善を図りました。

薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン

国を挙げて取り組もうというのが、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランです。以前からWHO(世界保健機関)が各国にプラン作成を呼びかけていたところ、日本は先進国で最後となりましたが、厚生労働大臣の後押しにより2016年4月に決定されました。基本的な考え方としては、関係省庁・機関の壁をなくして、「ワンヘルス・アプローチ」で対応しようというのが眼目です(図3)。意味合いとしては、ヒト・動物・環境を全体としてまとめて健康を考えようというものです。三者のうちどれに耐性菌が発生しても、お互いにほかの二者に影響を与えることになるからです。動物の便から分離された腸内細菌のセファロスポリン(抗生物質の一種)耐性率を調べたところ、トリ・ウシ・ブタのうちトリが圧倒的に多いことがわかりました。よく調べてみると、病気感染を防ぐ理由で受精卵にワクチンを打つ際に、セファロスポリンを一緒に混ぜたために急激に耐性菌が増えたということがわかりました。現在この手法は自主規制され、耐性菌は減少してきました。このように、動物に対して適切でない抗菌薬の使い方をすると、ヒトにも悪影響をおよぼすという例です。

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