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本邦における医療データベースを用いた薬剤疫学研究の環境整備
ナショナルデータベースの試行的民間提供を終えて
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今後について

本試行のような民間(産業界)からの提供申し出は今回の試行限りとされ、今後の民間によるNDBの利用はNDBオープンデータによって行われることとなり、第1回集計が公開されています[15]。第2回集計について意見募集が行われJPMAからも意見を提出しましたが、患者数の集計は名寄せが煩雑であること等から採り上げられませんでした[16][17]。このたびのJPMAの申し出の集計は、プログラム開発はJPMAが開発・テスト環境のない状況で行ったため時間を要しましたが、集計作業自体は1日でおよそ10件程度の医薬品(一般名単位)の処理が可能でした。集計に必要な医薬品や傷病名、診療行為、年齢区分等のコード、グループ化の条件、集計対象の診療年月はすべて外部のテーブルを参照しますので、プログラムをまったく修正することなく集計対象医薬品、肝疾患とする傷病名等を変更して集計することが可能です。また、今回は単月の集計ですが、プログラムは複数月の集計にも対応しています。このように柔軟性がありますので再利用あるいは流用が可能です。NDBは公共のものであるため提供にあたっては公益性を確保する必要があり、今回の集計結果も申し出者のJPMAにではなく、一般に公開される形式が取られています。仮に今後NDBオープンデータあるいは今回の試行の継続として今回の集計プログラムを利用できるとしても、特定の一企業の医薬品を対象にすることは難しいでしょう。もし安全監視に必要ということであれば、1つのアイデアとして、提供申し出資格のある医薬品医療機器総合機構(PMDA)を通じて提供を受けることは可能かもしれません。
 また、このようなシステムは通常5〜6年で更新されますので、NDBは2020年頃に更新になると思われます。AMEDの2016年度「臨床研究等ICT基盤構築研究事業」として2件のNDBシステム基盤に関する研究が採択されています[18]。NDBは原則として月1回のデータ読み込み(追加)のみで、多くのアクセスからレコード単位の更新が生じることはありませんので、リレーショナルデータベースよりもNoSQL(Not Only SQL)等による並列処理や非順序型実行の高速データベースのほうが適していると思われます。今回の試行的申し出の実現にもシステムが更新されたことが大きく影響していますので、次回の更新にも期待しています。
 2016年12月には「官民データ活用推進基本法」が施行され、2017年5月には「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(「次世代医療基盤法」)が公布されているように、データの利活用により社会の課題を解決しようという大きな流れがあります。このような流れを受けて、NDBをはじめ国が有する医療情報が少なくとも医療用医薬品の市販後安全監視のような公衆衛生の向上の意味合いが強い目的においては、民間においても利用可能となることが期待されます。



mark [15]
厚生労働省 第1回NDBオープンデータ http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html
mark [16]
第34回レセプト情報等の提供に関する有識者会議資料1-2「第2回NDBオープンデータに対する個別要望一覧」 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000145144.html
mark [17]
第34回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 議事録 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000148898.html
mark [18]
2016(平成28)年度「医療のデジタル革命実現プロジェクト」【「臨床研究等ICT 基盤構築研究事業」(2次公募)、「難治性疾患実用化研究事業」(3次公募)】の採択課題について http://www.amed.go.jp/koubo/050120161115_kettei.html

終わりに

今回の提供には模擬申し出から3年を要しました。再審査申請のための製造販売後調査であれば、このような時間感覚でも問題はありませんが、急を要する安全監視に用いることは現実的ではありません。しかし、悉皆性が高くそれほど使用患者数の多くない医薬品であっても把握可能なNDBは安全監視に有用な場合が少なくないでしょう。NDBはサーバーが増強され、2017年4月から第三者提供環境は本来目的と分けられましたので、提供期間の短縮が期待されます[2]。今回提供された集計方法を、対象とする薬剤と診療年月のみ変更して実施するのであれば、また、そのような申し出の受け付けが行われるのであれば、1ヵ月以内での実現も不可能ではないでしょう。そうなれば、医薬品の安全監視における医療情報データベースの位置付け、実績は大きく進歩するでしょう。そのためにはこれからも利活用を求める声を上げ続けること、今回の試行的に提供された情報を有効に活用しその有用性を示すこと、そしてなによりわれわれ製薬業界が不適切な利用をしないことが重要です。

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