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「第8回 環境技術研修会」を開催
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水資源の保全の取り組み

持続的な事業活動に欠かせない重要な自然資本である水資源については、取水量の削減はもちろん、事業継続に影響する水リスクや、排水が生物多様性に与える影響についても、調査してきました。

1)水リスク調査の実施

国内外のすべての生産事業所と研究所において、事業継続に影響する水リスク調査を実施しました。水リスクにおける危機感の大きさは、事業所の立地や水使用量、さらには、排水の排出先等の状況により大きく異なります。回答者に水リスクについて知見がないことを前提として調査票を作成し、すべての事業所に対して独自のアンケート調査を行いました。「取水」、「排水」、「立地」に関して、日常の管理業務の範囲で回答できる、もしくは、簡単な調査で回答できるように設問や回答の選択肢を用意しました。たとえば、「取水」のリスクについては、上水道、工業用水、地下水といった取水源ごとにくみ上げる水量やその増減傾向、それらの料金の増減傾向、取水制限の有無や頻度等を調査しました。また、「排水」のリスクについては、排水の水質や河川、農業用水路、下水道といった排出先ごとの排出水量、ならびに、排出先の水源としての利用状況等を評価しました。アンケートの結果からリスクが大きいと評価された事業所については、個別に訪問し、現状を直接ヒアリングして再確認を行っています。
 水リスク調査の結果からは、設備投資や移転が早急に必要とされるような重大リスクを抱えた事業所がないこと、さらに、地下水を取水源としている事業所が多いことや、流域の水源(飲用水、農業用水等)である水域に排水を排出している事業所が多いことを、確認しました。

2)生物応答を利用した水環境管理手法(WET)による排水評価

生物多様性の保全の観点から水による環境負荷を評価する指標として、生物の応答反応で評価するWETは、直接的で非常にわかりやすい方法といえます。積水化学グループの国内の生産事業所の排水の96%は、河川や海域、農業用水路のような公共用水域に排出しており、水源となっている水域に排出している事業所も多いという結果から、さらに企業の社会的責任(CSR)の観点からも排水をWETで評価する意義は大きいと考えます。
 評価する事業所の選定は、特定施設や有害物質の使用の有無、および、水質規制の有無に関係なく、公共用水域へ排水している排水量が多い順に抽出しました。2015年度までに10事業所で実施しており、生産事業所全体から公共用水域に排出される水の95%を評価しました。
 魚類では、ほとんどの事業所で最大無影響濃度(NOEC)が80%であり、影響が小さいという結果が得られました。しかし、ミジンコと藻類は、排水の性状に比較的敏感に反応するため、事業所ごとに差異が認められました。また、生産設備や製品の冷却が主な用途となっている樹脂加工工場に、藻類のNOECが低くなっている事業所がありました。これは冷却水を事業所内で循環利用する際に、藻やスライムが発生しないように殺菌剤を添加していることが影響しているからと判明しました。このように排水が水質汚濁防止法の排水基準を十分に遵守できている水質であっても、WETの評価基準を用いることで、生物多様性の保全という観点からは、検討すべき余地のある水質ということが確認できました。
 一方、排水の汚濁負荷が高く、排水処理施設で生物処理を行っている化学品工場では、3種の生物のNOECがいずれも10%以上で、生物への影響が小さいという結果が得られました。このような結果は、WET評価を実施する前の予想とは正反対の結果です。このことから、冷却水へ添加する化学物質については、微量であっても未処理で直接排出される可能性があるので、生物多様性の保全という観点で選定し、添加量を最適化する必要があることを再認識しました。

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