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「第3回 コード・コンプライアンス管理責任者/実務担当者会」を開催
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研究倫理と医療倫理の視点の違い

このように、研究倫理と医療倫理はよって立つところが異なっています(図2)。研究倫理では、集団(社会)と個々の被験者の対比において、被験者をどう守るかというのが根本的発想となります。つまり、マジョリティーと個の対比の中で価値の衝突が起こります。創薬で言えば、社会は良い薬が欲しいし、社会全体の健康が増進していくことを望んでいるのですが、その際になんらかの形で被験者が使われます。そこにマジョリティーとしての社会と被験者の間で価値の衝突が起き、そうしたジレンマの中で被験者をどう守りながら社会の利益を最大化するか、この被験者の守り方を考えるのが研究倫理の主眼です。

図2 研究倫理と医療倫理の視点の違い
図2 研究倫理と医療倫理の視点の違い

一方医療倫理は、社会にはいろいろな人がいますが、その一人ひとりにとって、なにが最善かを考えて行動することを求めます。社会として、医療者として、創薬にかかわる者として、この1人の人を救うためになにができるのか、なにをすべきかを問うのが医療倫理です。この場合、目の前の患者さんにとっての最善の利益をどう確保するか、促進するかということに焦点があるので、利益を受けるのも副作用を被るのもその患者さん本人であるということで、倫理的な意味での緊張感は存在せず、価値の対立は起こりません。他人のためにリスクを引き受けるのと、自らのために自らがリスクを負うのとではまったく倫理的な緊張感は異なっています。
 後者の、1人の最善の利益を目指す医療活動では、医療倫理の原則で言うと本人の自律尊重、自己決定に重きが置かれることになります。一方、研究倫理は集団・社会が個を搾取するのをどう回避するのか、その搾取を許容できる範囲にどう収めていくのか、どう被験者を保護するのかに重きが置かれるので、研究倫理においては自律の問題よりも正義の問題が最大の焦点となります。

研究倫理から見た最近の医療政策と創薬の構造

わが国の健康・医療戦略

日本の健康・医療戦略が打ち出され、大きく9つくらいの課題に国費が投入されています。重点プロジェクトで言うと、「革新的医薬品・希少疾患治療薬等の開発」、「医療機器開発(特に致死的な疾患に対するデバイスの開発等)」、「再生医療実現化」、「ゲノム医療実現化(ゲノムリサーチセンターあるいはゲノム医療拠点の構築)」、「がん医療実用化」、「精神科領域」、温暖化に伴う「新興・再興感染症の制御」、「難病の克服」に政策の重点が置かれ、約31億円の予算が付けられています。これら政策の焦点は、特に希少・難治性疾患やゲノム医療に代表されるように、これまでの政策からは変わってきていることがわかります。

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