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「第3回 コード・コンプライアンス管理責任者/実務担当者会」を開催
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表6 被験者保護のための研究倫理原則
表6 被験者保護のための研究倫理原則

日本の医療の中で、研究倫理は特に意識されてこなかったのですが、その理由は社会的背景にあります。日本ではもともと、研究の倫理と医療における倫理は明確に区別されてきませんでした。医者は自分が診療しかつ研究もしている、自分は診療をやっている人間だから研究も当然できるといったことで医療活動に臨んできました。原理的に研究倫理と医療倫理は大きく原則の解釈や考え方が異なりますが、しかし、その区別がなされてこなかった結果、日本では研究倫理と臨床倫理が漠然と一体化し、結局のところ双方ともがいずれも尊重されないという状況を生んできました。
 研究倫理と医療倫理を比較すると、研究倫理においては、その第一原則である人格尊重は、研究参加・不参加について、被験者の熟慮したうえでの意思決定は尊重されなければならず、また、自律性の不十分な者(小児やなんらかの障害によって自ら意思決定できない者等)は保護されなければならない、という解釈となります。一方、医療倫理における自律尊重では、患者さんは自らの治療について自律的な決定が促進され、その意思決定・価値観は尊重されなければなりません。また、必要なとき、必要な人には、医療者は患者さんの自己決定を助けなければならない、という解釈になります。
 同様に、研究倫理の第二原則である与益が要請することは、研究がもたらし得る潜在的利益を最大化し、潜在的な危害を最小化することです。ここで言う利益とは社会的利益が大部分を占めます。もちろん被験者の直接的利益、たとえば第III相試験であれば、治療的な直接的利益は第I相よりは多少可能性として多くあると思いますが、そうした直接的利益のことよりも、ここでいう与益が主として求めることは、まず社会的利益を最大化することです。被験者のことを考えると、被験者を研究に用いてよいのは、相対としての潜在的利益と潜在的危害とが見合う場合が正しいあり方です。一方、医療倫理における善行では、患者に利益・善をもたらし、促進しなければなりません。無危害は患者に害悪や危害を及ぼさない、あるいは回避しなければならない、ということを求めます。
 最後の正義は、研究倫理では研究からもたらされる利益と研究に伴う負担は等しく分配されなければならないということで分配の正義を意味します。また、被験者の選択は公正になされなければならない、ということを意味します。一方、医療倫理では、等しいものは等しく、等しくないものは等しくないよう、平等に扱うことを求めます。

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