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Personal Health Recordの活用
─「医療健康分野のビッグデータ活用研究会」レポート─
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医薬品企業の取り組みとして、このような疾患アプリを活用する動きは徐々に出てきていますが、PHRデータを使って、エビデンスの解析等につなげるという動きはまだあまり目立ってはいません。これらのアプリを通して取得されるデータは、通常PHRサービス事業者に蓄積されているケースが多いようです。 製薬企業が直接PHRを取得するアプリを提供しているような場合であっても、製薬企業は患者さんのデータにアクセスしていないケースも多いのが現状のようです。

臨床現場以外でのPHRの活用

特定健診後の保健指導に、一般企業や健康保険組合がPHRアプリを用いる取り組みも始まっています。
 経済産業省の健康寿命延伸産業創出推進事業では、健康保険組合から、特定健診でハイリスク判定された300名に対して、アプリと今までの「対面/電話」の指導効果の比較試験を行っています。その結果、体重を減らすという目標設定に対して、アプリを使うと「対面/電話」より効果が上がることが報告されています[11]。これは、アプリ利用群のほうは毎日データ入力するため、医療者とのコミュニケーションや動機づけの頻度が多くなり、行動変容しやすいと考えられるためです。
 また、健康医療の範囲にとどまらず、スポーツ、フィットネス、美容、食事といった幅広い分野でPHRサービスは始まっています。医療機関以外のPHRアプリの利用も広がりつつある状況です。

PHRの継続的な利用の課題

PHRアプリを長く継続的に利用してもらうことは、これからの究極的なライフコース・ヘルスケアの体制を作っていくためにも重要なテーマです。そのために特定の疾患専用ではなく、健康医療のための一般的なPHRを作って、広く使えるようにするという視点は大事です。しかしユーザーサイドに立ってみると、自分の関心のない疾患のために、多くの入力項目や管理項目の記載をすることは煩雑で、継続を妨げることにつながります。
 実際、記載内容をシンプルにするほどユーザーのアクティブ率(月に1回以上なんらかのアプリ操作をした割合)が上がるという報告があります。そのため疾患別アプリが主流のトレンドとなっています。
 PHRに電子カルテやEHRを統合して、患者さんの疾患別アプリの記載内容を診療に活用している医療機関においては、データベース上は同じIDでつながるため、複数の疾患別アプリがあったとしても、患者データは一元的に見ることができます。
 そういうシステムと連携していくという観点では、ユーザー(患者さん)は疾患ごとのPHRアプリを使う(入力する)形式を残しつつ、別途標準的な汎用PHRフォームを設け、疾患ごとのPHRアプリに記載された内容の共通項目は自動的に汎用PHRにも入力されるというようなシステム構築が望まれます。そうすることによって、疾患ごとのPHR間の連携が可能となり、ライフコース・ヘルスケアに利用できるPHRシステムにつながると考えられます。
 また、現段階でPHRの継続的な活用を進めるためには、疾患アプリ等に入力したことが、医療担当者とのコミュニケーションに使われる等活用されていること、そしてそれによって病気の軽減等のアウトカムが具体的に実感できることも重要と考えられます。
 PHRアプリは、医療機関や薬局で、医師や薬剤師からの紹介を契機に使われることが多かったのですが、最近では、個人がPHRアプリを自ら検索してダウンロードし、医師と共有せずに、完全に自己管理、セルフメディケーションで使うケースも出てきているようです。
 しかし、医療機関でアプリを勧められて使用している人のほうが、継続的にアプリを使用し続けているという報告データもあります。動機づけや利用シーンによって、アクティブ率が変わりますが、一般に自身でアプリを探して使い始める人のアクティブ率は、医療機関から勧められて使用している人に比較して、短期間に低下することが示されています。アクティブ率は全ユーザーで徐々に減衰していきます。およそ3ヵ月後が1つのポイントとなっていて、3ヵ月続けた人は習慣化する傾向が高いようです。医療機関から動機づけされてデータを入力するユーザーを増やし、3ヵ月継続率をキープすることがPHRアプリを広めていくためには重要と考えられています。

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