製薬協について 製薬協について

政策研のページ

最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前 pdf
179号タイトル
政策研のページカテゴリ画像
前へ1234567次へ
Personal Health Recordの活用
─「医療健康分野のビッグデータ活用研究会」レポート[1]
line03 line03 line03

2015年7月より2017年3月まで、約2年にわたって、「研究会」によるこの分野のビッグデータ活用の調査研究を行ってきました。1年目は創薬研究に関係の深いビッグデータを中心に、Precision MedicineやAI活用、創薬のパラダイムシフト等に焦点をあて、2年目はパーソナルゲノムやICTを活用するヘルスケアと医療の進展における基盤整備に関係して、IoT活用やEHR、PHRのシステムについて焦点をあてました。
このレポートは政策研ニュースに掲載された「研究会」の7報目のレポートで、「Personal Health Record」について現状や課題を取り上げています。この2年間の調査研究活動については、別途「報告書vol.1(2016年7月)」、「報告書vol.2(2017年4月)」を発刊し、年度ごとの研究会活動の報告を行っています[2]
さらに2017年4月より「研究会」を刷新して、関係委員会と連携をより強くして、継続的にビッグデータ活用に関する政策研究を続けています。

mark [1]
医薬産業政策研究所ではビッグデータの医薬産業に係る課題を研究するために、所内に『医療健康分野のビッグデータ活用・研究会』を2015年7月発足させました。今回の報告は、株式会社ウェルビー代表取締役比木武氏の講演「Personal Health Recordの活用事例」を参考にしてまとめたものです。文中の図1は、比木氏より提供されました。

Personal Health Record(PHR)

PHRの定義としてはまだ定まったものはありませんが、一般的には、個人によって電子的に管理される自らの医療・健康情報を総じてPHRと称しています。
 バイタル情報や生活情報といった健康情報に特化して、スマートフォン等の「健康アプリ」や「疾患別アプリ」等によって個人情報を収集するシステムが近年日本では増えてきています。これらのシステムで集められる情報もPHRと呼んでいます。一方で、欧州を中心にEHR(Electronic Health Record)システムにより、医療情報の一元化、ネットワーク化の整備が進められていますが、その拡張として、個々人に対する医療情報と健康情報を統合化して、個人用アカウントとして生涯を通じた情報の管理・活用を行うことが目指されています。このシステムもPHRと呼ばれています。このようにかなり異なる目的や概念をもつシステムも含めて、一括してPHRと表現しているのが現状です。
 近年ICT技術の進歩によって、個人の健康に関する情報が、医療機関のみならず、家庭等でも簡単に計測、記録可能になったことから、膨大な情報がPHRに収集できるようになっています。また、スマートフォン等のインターフェースの革新やクラウド化によるストレージ(データ保存)の革新、測定デバイスの利便性の向上等により、データの取得、蓄積、共有化等も容易になっています。
 一方で、その情報をどう活用するかに注目が集まっています。現在のPHRの目的は種々異なりますが、個人の健康管理、医療現場での疾患管理等を目的とするものが多いという状況です。将来的に目指されるPHRは、個人の生活や健康情報、医療・介護・検診といった情報を経年把握、蓄積するとともに、適宜必要な介入をすることにより、本人の健康意識の向上や行動変容による生活習慣病や発症リスクのある疾患の予防、日常生活の健全化、医療・介護の効率化等につなげることが目的とされるものです。さらには、集積されたPHRデータの2次利用として、医療・健康に関するエビデンスの創出や革新、医薬品・医療機器等の研究開発、健康サービスの高付加価値化、医療政策等、多岐にわたる活用が期待されています。
 PHRの活用を考えると、活用主体を踏まえて、目的による分類ができます(表1)。リアルタイムの情報を健康管理や疾病管理にそのまま活用することが主目的であるもの(表1の1~3)と、ビッグデータとしての健康医療情報の解析により、現状分析や新たなエビデンスを活用することを目的とするもの(表1の4~6)に大別されます。

前へ1234567次へ
最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前

このページのトップへ