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「第22回 環境安全セミナー」を開催
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地球温暖化は、気温を上昇させる大気中のCO2濃度を下げない限り、止められません。CO2は樹木が吸収し、最終的には海水と地表のある種の岩石が吸収します。その海水を除くと、だいたい半減期が3万年くらいであり、なかなか減りません。化石燃料を作るのに地球は3億年くらいかけていますが、それをわれわれは1850年頃から約300年で使ってしまいます。
 2℃という目標でみるとCO2の排出限界があるので、サウジアラビア等の産油国は、石油という形では売れません。現在、日本は石炭、石油として輸入していますが、2035〜2040年頃には水素として輸入せざるを得ないでしょう。水素は液体水素としてではなく、アンモニアなどの化合物として運ぶことが考えられており、そのままで火力発電の燃料にします。
 以上がパリ協定の中身ですが、結構大変なことです。それでも、「気候正義」というものが強制してくるので、やらざるを得ません。

2.「気候正義」が強制する! 長期視点(2050年)&グローバル視点

ICEF(Innovation for Cool Earth Forum)という国際会議において、石油会社シェルの役員がスピーチしました。同社の重要な役割は石油の売買ではなく、人々にCO2排出量の少ないエネルギーをより多く供給するための新たな方法を見出すこと、これにチャレンジすることが同社の役割だと語りました。一方、ある日本企業は途上国のインドネシアに石炭発電を売り込もうとしています。そのときの言い分は、高効率の発電所を作り、安価な電力を供給し、それによってCO2排出量を減らすことができるというものです。しかし、この話しからはチャレンジする姿勢が全く伝わらず、今持っている技術をそのまま使い続けたいというメッセージでしかありません。外から見える姿勢が理解されるか、されないかが問題です。みなさんのような企業に対して申し上げたいのは、環境問題の場合には、既得権益を守る姿勢を示すのではなく、シェルのように一歩前に出た姿勢をいかに早く示すかが大事なのです。環境対応には先行者利益があります。
 先進国の1つノルウェーの政府は、北海油田からの利益を未来世代のために年金基金として貯めています。同政府や米国・カリフォルニア州政府は、投資対象企業に「気候変動対策に有能な役員がいるか」をチェックし始めています。機関投資家関係の非営利団体CDPを通して企業姿勢を注視していて、業界団体への関与、R&D等から、気候変動に対する一貫性を見ています。ノルウェー政府は日本企業のうち電力3社から年金基金による投資を引き揚げたため、衝撃が走りました。
 日本では、持続可能な開発のためのゴール(Sustainable Development Goals、SDGs)が日本語訳された瞬間に「目標」になります。諸外国では「ゴール」と「目標」は違う言葉ですが、日本では、同じ意味となってしまいました。外国の場合、2℃というのは「目標」ではなく「ゴール」です。国際社会における「ゴール」とは、「そこに到達するということ」ではなく、「そこに向かってずっと進むという姿勢」を示します。「ゴール」は設定そのものに意味があるのです。いずれにしても、正義に向かう姿勢こそ重要で、すなわち、2℃を「ゴール」に持つことが意味を持ちます。ところが日本だと、「目標」と捉えるため必達と考え、達成が困難な2℃に疑問を持つことになります。

3.CO2 NZEのために必要なイノベーション、その現状と未来

(1)原理と日本の状況を知る

NZEを実現するエネルギーは限られています。イノベーションを起こすにしても、この宇宙で元として使えるエネルギーは核エネルギーしかありません。太陽が核融合によるエネルギーを放出しているおかげで、熱エネルギーとして地球に届き、さらに風を吹かせて風力発電を可能にし、蓄えられた化石燃料も大昔に届いた太陽エネルギーが置き換わったものです。地上で利用されている核エネルギーは核分裂による原子力エネルギーですが、将来は核融合になるかもしれません。
 化石燃料を使う場合、発生するCO2を処理するためにCO2の回収・貯蔵(Carbon Capture & Storage、CCS)によってCO2を分離して、どこかに埋めることが不可欠です。どこに埋めるかなどは調査されていて、実質的な貯蔵可能量は100億t以上あり、1億tずつ貯めても100年間は対応可能です。ただし、海底への貯蔵には問題点があります。海には漁業権などの利権があるためです。また、100年後にも海底や地底からCO2が漏れ出さないことを民間が保証できるのかという指摘があります。すると、政府系が対応するしかないでしょう。

(2)なんとなく奇妙(本当に必要なことが行われず、不思議なことに予算が使われている)

イノベーションがカギであることは間違いありません。その中で人工光合成は、本当に重要です。しかし、人工光合成の日本での成功例としては、東芝が水とCO2からエチレングリコールを合成したのみです。今の時点で人工光合成の本来の対象は何かといいますと、太陽エネルギーを太陽電池で電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーによって電極に荷電し、有機電解合成を行う方法です。最新情報の1つに、米国・テネシー州のオークリッジ国立研究所が、2016年9月に、炭酸水の電気分解によって、エタノールを生成したと発表したことがあります。これが本当であれば、究極のクリーン・エネルギーかもしれません。

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