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「第22回 環境安全セミナー」を開催
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安全パトロールについては、なぜそういう作業をしているのか、という指摘ではなく、どうしてそういう作業をしなければならないのか、を問いかけることが重要です。原因を聞き、原因を正してから、お互いに納得する必要があります。
 ほめる文化が安全を高めます。相手を理解し、相手の行動を認めることが、ほめることにつながり、話しやすい環境が生み出されます。安全文化の要素として、ジェームズ・リーズンという人が、4項目「報告、正義、学習、柔軟」を挙げています。その中でも、重点を「報告」に置き、「事実を隠さない」ということが安全文化のスタートになります。
 さて、「人」の問題ですが、不安全行動についても、ヒューマンエラーとリスクテイキングな行動の2つに分けて考えます。ヒューマンエラーは、人間特性による誤りで、見間違い、聞き違いなど人間が元々持っている特性で、なかなか治すことができません。一方、リスクテイキングな行動とは、悪いこととわかっていてもついやってしまう行動です。繰り返しの教育や指導などで改善が可能と考えられます。

5.コミュニケーションエラーの連鎖を断つ

教育をしても、なかなか事故はなくなりません。指示がしっかり伝わらず、災害が繰り返されます。千葉で発生した労働災害事例で、メンテナンス業者の作業者2人が塩酸タンクに転落して死亡しました。工場の管理者が「タンクの上に登ってはいけない」と事前に口頭で伝えましたが、なかなか伝わらないことがあります。タンクに登ってはいけないのなら、鎖などで封鎖して登れないようにすることが重要です。伝達を「伝」と「達」に分けて考えます。伝えたことが相手に達したのか、それを確認できるシステムをしっかり作ることが必要です。
 最後に、安全衛生に関してのトップの姿勢、役割が重要です。中災防が主唱するゼロ災運動では、トップの経営姿勢(トップダウン)、ライン化の徹底、職場の自主活動(ボトムアップ)の三位一体で進めていくことが重要としております。
 ご安全に!

安井 至 氏
■ 特別講演2

「日本企業はなぜ世界標準になれないか
〜環境問題に見る日本企業の特性〜」
一般財団法人 持続性推進機構 理事長、東京大学 名誉教授
安井 至
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1.日本人が理解できないパリ協定の真意〜なぜ「気候正義」なのか?〜

2015年12月に開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約 第21回 締約国会議)で採択されたパリ協定の序文にある「気候正義(Climate Justice)」というコンセプトほど重要なものはありません。どのような行動をとるかを考えるときに、これに基づいてやろうという文章で、「何が正義か?」という話になります。その中で、今世紀の後半のどこかで「完全な排出量ゼロ(Net Zero Emission、NZE)」を実現しなければなりません。持続可能な開発のコンセプトや貧困の撲滅とも整合性をとらなければなりません。
 パリ協定で一番大きかったのは、2℃という目標(世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える)をどうするか、という話でした。なぜ2℃が必須かというと、特に海面上昇の影響が非常に大きな国、たとえばバングラデシュで、もし1.5m海面が上がってしまうと、海岸線が大きく変化して陸地が減ることにより、1700万人が環境難民になります。主として先進国が排出している温室効果ガスが原因ですが、最終的に責任をとるのは誰かという話、これが「気候正義」の中身です。
 2050年にCO2の80%削減というのは大変な目標で、パリ協定での2030年度に2013年度比で26%削減から見ると、同じくらいの量の削減を2050年までの20年間に4.3回やらなくてはなりません。富士山を登るように、だんだん厳しくなり、削減の可能性も薄くなっていきます。2050年の先にNZEがあり、今世紀の後半のどこかで、産業革命を逆に戻せといわれていることに等しく、その「逆産業革命」を「化石燃料からの離脱」と考えます。

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