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「第22回 環境安全セミナー」を開催
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もう1つの課題はメンタルの問題です。自殺者総数では1997年以降2011年までは年間3万人を超えていましたが、2015年は2.4万人台まで下がりました。しかし、「働く人」の自殺者数は高止まりとなっています。
 背景には、過重労働の問題などあり、自殺者対策が課題となっています。この問題に関して、改正労働安全衛生法により2015年12月からストレスチェックが義務付けられましたが、それだけで自殺やうつ病がなくなるわけではありません。若い人の働き方に対する理解も重要で、単純にストレスチェックの結果でリスクが高い、低いを判断する問題ではないと思います。

2.企業経営における安全第一

「安全第一」はみなわかっていますが、そこへの登り方は違います。“第二”、“第三”を明示することが重要です。100年前、米国・USスチール(United States Steel Corporation)のエルバート・H・ゲイリー会長は経営方針に「安全第一、品質第二、生産第三」を掲げました。企業の安全衛生の取り組みは、まさに企業統制、ガバナンスの重要な柱の1つです。
 中災防の月刊誌「安全と健康」のトップインタビューでは、いろいろな方々に登場していただき、業界団体のトップそれぞれの言葉で語っていただいていますが、重要なポイントは単に準備された原稿を読むのではなく、いかにご自分の言葉で発しているかです。たとえば、日本自動車工業協会豊田章男会長(当時:トヨタ自動車社長)は、「安全を文化としたい」と語っていました。トヨタの安全にかけるエネルギーは世界でもトップレベルにあると思います。
 安全衛生は、企業の基盤であると考えています。情報、カネ、モノ、ヒトという企業の構成要素の中で、ヒトをさらに分解してみると、内部資源(個性、才能、適正、人脈)と外部資源(資格、学歴)とに分けることができます。しかしその根幹となる資源も、安全と健康が支えているということを忘れないでほしいと思います。すなわち、安全管理、健康管理、メンタル対策が企業の基礎を作っているといえるのです。

3.労働災害の実態

まず、製薬業界の業務区分別による特性を見てみました。
 「営業部門」でみなさんが一番頭を悩ませているのは、交通事故の問題であろうと思います。2015年名古屋で開催された全国産業安全衛生大会で、製薬業界の交通事故防止に関する研究発表があり、共通の悩みなのかなと思いました。
 「研究開発部門」では扱っている化学物質が大量ではなく、業務上のリスクは小さいのですが、事故は頻繁に起こっています。ある大学で安全衛生についての認識を安全衛生担当の教授に聞いたところ、「研究とは危険だとわかっていてもやるもの」という意識を持っている研究者が多いとのことでした。しかし、高度な専門知識を持った方々が、化学物質や機械設備による事故でなく、むしろ単なる転倒による骨折事故などを起こしています。
 「製造部門」では、安全衛生面での改善が十分になされていますが、清掃業者などの外部協力業者による事故例が多くあります。それらを含めて考えると、工場全体の安全衛生管理をするうえで難しい面もあるようです。
 2015年の事故の型別死傷災害発生状況を見てみますと、転倒、転落・墜落だけで全体の約40%に達し、この傾向は過去数年間変わっていません。特に転倒は、高齢者や第3次産業で多発していて第1位となっています。中でも高齢者の災害発生率は、若年層の1.8倍となっています。ただし、この統計をとった時点での「60歳以上」は現在では70歳に近づいており、この倍率は2〜2.5倍に広がっている可能性があります。
 たとえば、階段での転落事故の例を考えると、一番発生する可能性の高い所に「階段注意」などの表示を見かけます。下り階段で目線を足元に落としたいのに、高い位置に表示があると、どちらを見てよいかわからなくなり、注意力が散漫になります。そのため、表示する位置に工夫が必要です。階段では、下り階段の最初の3段と最後の3段での事故が多いため、それらの色を変えたりする工夫も必要かと思います。
 転落・墜落災害では、工事現場の20m、30mの高さから転落、墜落する事故は、そう多くはありません。多いのは、「高所作業」には入らない2m未満のはしご、脚立、トラックの荷台からの転落・墜落です。昔から「1メートルは、1命(めい)とる」という標語もあります。

4.労働災害を防止するには

事故はどうして起こるのか? 不安全な状態(物の危ない状態)と不安全な行動(人の危ない行動)、それらが作業中のケガを起こすと考えられます。事故防止には、それぞれに対策を立てていけばよいわけで、つまりハード対策、ソフト対策、そして、ヒューマン対策の3つの対策を考えればよいことになります。当然、ハード対策が最優先で、ヒューマン対策は最後の対策となります。安全への対策は改善にもつながり、ハード対策はムリを、ソフト対策はムダを、ヒューマン対策はムラをなくします。

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