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「第28回 製薬協政策セミナー」を開催
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図2 研究開発開始時点の不確実性の大きさ
図2 研究開発開始時点の不確実性の大きさ

サイエンスが未完の段階で創薬が開始されれば、予想外の困難に直面する可能性も高まります。12の事例研究では、6事例が探索プロジェクトの開始困難や中断の危機に直面し、3事例では実際に中止、長期中断に至っていました。サーベイの結果からも、承認・上市に至った52プロジェクトのうち、67%から想定外の困難があったとの回答が得られたため、危機はどのように解消されたかを明らかにする目的で「研究プロジェクトを継続できた、あるいは中断したプロジェクトを再始動するようになったきっかけ、または理由」について質問しました。
 その回答では、「大学や国公立研究機関などにおけるメカニズムについての新しい科学的知見」、「大学や国公立研究機関などにおける臨床研究からの新しい知見」、「競争企業による補完的な技術の開発」、「社内の自主研究(「闇」研究など)による研究の進展」、「社内における研究資源の拡大」などが、開発再始動のきっかけ、または理由として挙げられていました。特に、承認・上市に至ったプロジェクトの24%で、自主研究や「闇」研究が貢献したとの回答が得られたことは注目に値します。
 サーベイを通してわかったことは、個人の自由研究では独自性が高く、かなりリスクの大きいテーマに取り組んでいる傾向がある一方で、組織的に開始された研究ではコンセンサスが重視され、時流を追う傾向があることがわかりました。これらの結果から、医薬のイノベーション・プロセスにおける不確実性の高い研究では、セレンディピティーや幸運の捕捉とともに、個人の強いイニシアチブの活用が重要になることが示唆されました。

創薬の競争は3段階で構成される

最後に、創薬の競争の意味合いについて述べます。創薬の競争は、(1)新作用機序による医薬品の発明(「作用機序間競争」)、(2)同じ作用機序による医薬品の上市競争(「作用機序内競争」)、(3)特許切れ後の後発品との競争の3段階で構成されます。
 (1)「作用機序間競争」は、企業間ではそれほど見られず、12の事例研究でも3分の2は探索探究の独自性が非常に高く、直接的な競争相手は存在しなかったことが確認されています。特に、先端的で非常にリスクが高い研究は、企業内でもあまり評価されず、学会でもなかなか評価されないことが多く、その研究者自身が極めて孤独な挑戦者となるケースが多いことが示唆されました。つまり、パイオニアの創薬の多くは、孤独な努力の結晶であると言えるかもしれません。
 一方、作用機序が確定すると、(2)「作用機序内競争」が始まります。作用機序が認識され、重大な副作用も少ないことがわかると、最初にそれを見つけた企業ではなく、2番目の企業がファースト・イン・クラスになることも少なくなく、これは作用機序内競争がし烈であることの表れではないかと思われます。

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