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市民・患者とむすぶ

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第3回 患者団体アドバイザリーボード」を開催
「製薬協 産業ビジョン2025」などについて意見を交換
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ヨーロッパにおける費用対効果評価の活用法

ヨーロッパにおいても費用対効果評価を活用している国はあります。イギリスでは、費用対効果は主に財政インパクトの強い医療技術(治療・薬)を対象に償還の可否に利用され、1999年から英国国立医療技術評価機構(NICE)と呼ばれる評価機関が国民医療サービスに推奨を行うか否かの評価決定をしています。
 費用対効果評価が諸外国で導入されたことにより、患者さんにとって医薬品アクセスが問題化した事例もあると聞いています。具体的には、革新的な新薬が償還されないことで、患者さんへのアクセスの制限が生じたケースがあるということです。また、医療保険制度やガイダンス等は各国間で違いがありますが、評価結果についても国ごとの評価機関が異なった結果を出すこともあり、この点についてヨーロッパでは解決に向けた方策が検討されています。
 一方、日本の現行制度は、薬事承認から保険償還までにかかる時間が最も短く、承認後のアクセスは確保されていることが海外でも高い評価を得ています。

費用対効果評価制度に対する製薬協の考え方

日本では費用対効果分析を実施する際に必須となる医療費や疫学に関するデータベースが整備されておらず、客観的・科学的な評価に使用できる環境にありません。新たな制度の拙速な導入は、患者さんが必要とする医薬品を的確に医療の場に届けることができないという結果を生み、革新的新薬の臨床現場における貢献を著しく阻害することが予想されます。製薬協は、これらの課題が存在したまま、かつ、費用対効果を勘案した医療技術等の評価そのものの共通認識が当事者において醸成されないまま、性急に導入することには反対する立場をとってきました。
 費用対効果評価の試行的導入において、製薬協の考え方は次の2つに示すことができます(図2)。1つは、現行の薬価基準制度において評価されている医薬品の価値が、費用対効果評価の導入によって損なわれないこと、もう1つは、次の点が維持・確保されることです。まず、国民皆保険・保険償還制度および薬価基準制度といった現行制度の基本的考え方・骨格が維持されること、次に3大前提、すなわちイノベーションの阻害、患者のアクセス制限、ドラッグ・ラグの助長が生じないこと、そして本議論に対し当事者のひとりである製薬業界が意見・要望を反映しえる機会を十分確保することです。

図2 試行的導入に係る議論における原則的な考え方
図2 試行的導入に係る議論における原則的な考え方

そのうえで、試行的導入の意義については、現行の薬価基準制度の中ですでに医療技術評価の概念が反映されていることから、最初から本格的な導入を前提とするのではなく、現行薬価基準制度における医療技術評価のあり方を総合的に検討する中で、費用対効果評価を実施する目的と意義を検証すべきというスタンスをとっています。さらに、国内のデータ等の整備状況が不十分であること、また企業側、当局側ともに再分析や総合評価等の基盤整備が不十分な段階にあることから、試行的導入における選定対象の範囲は最小限にとどめるべきであり、客観性、公平性を確保したうえで関係者の納得が得られるものとすべきと考えます。

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