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臨床試験の被験者レベルデータの共有
-現代的製薬企業であること- それには臨床試験の情報公開プログラムを欠かすことができない
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CSDRにおけるデータをシェアするまでの手順

以下、CSDRにおいてデータをシェアするまでの過程について紹介します。
1. 臨床試験データの利用を希望する研究者は、解析計画書を含む研究計画とともにデータアクセスの申請を行います。研究者から提出された申請内容は、要件に合致しているかチェックされます。
2. 要件審査を通過した案件は独立審査委員会(Independent Review Panel、IRP)で審議されます。
3. IRP審査を通過した後、合意書への署名が行われます。署名後、企業側で非特定化(De-identification)データを用意し、研究者へ共有され、研究が開始されます。
 なお、研究リクエスト要件の審査体制、独立審査委員会メンバーと趣意書、合意書の主旨とそのテンプレートなどについては、CSDRのWebサイト[12]で確認することが可能です。法的文書である合意書には、たとえば、研究目的以外のデータの使用禁止およびダウンロードの禁止、被験者のプライバシー保護、被験者特定を試みることの禁止、解析の結果得られた安全性上の懸念をスポンサーや規制当局へ即時報告すること、研究結果の公表の義務化などの内容が含まれます。特に被験者のプライバシー保護の問題は、CTDSにおいて極めて重大な課題となっており、非特定化処理のためのさまざまな技術が実装されています。



CTDSでは誰がどのような試験データを使って何を研究しているのか?

前述のCSDRに申請された研究プロジェクトは、合意書への署名が完了するとCSDRのMetrics[13]で研究の詳細(研究タイトル、Lead researcherおよび所属研究機関、データ提供された試験の情報、研究目的と内容など)を確認することができ、2016年1月時点で89件の研究プロジェクトが公開されています。Lead researcherの所属研究機関での内訳は、北アメリカから44件、ヨーロッパから33件、それ以外の地域から12件となっていますが、このうちLead researcherが日本の研究機関に所属しているものは0件でした。
 CSDRのWebサイトで公開されている各製薬企業の臨床試験データの共有基準を満たし、公開の対象となっている試験は、第I相臨床試験から製造販売後臨床試験まで幅広く存在しますが、実際に研究の対象となっている試験は第II相や第III相の群間比較試験が多くを占めています。研究目的・内容を参照してみると、単一の薬剤に着目した部分集団解析の実施や薬剤特有の有害事象の発現の予測など探索的な検討を目的とした研究が多く、複数の薬剤間での比較(ネットワークメタアナリシスを含む)を主たる目的とした研究はあまり多くありません。そのほかに疾患そのものに注目し、疾患特性の把握やエンドポイントの開発を目的とするなど、CTDSを用いた研究は多岐にわたります。


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International Committee of Medical Journal Editors: http://www.icmje.org/

IOM/EMAのリーダーシップ

ここからは、CTDSを取り巻く環境の変化および世界の取り組み状況について紹介します。臨床試験の透明性に関するマイルストーンの一部を図2にまとめました。2012年はCTDSにとって画期的な年です。この年、アメリカでは米国医学研究所(Institute of Medicine、IOM)、ヨーロッパでは欧州医薬品庁(European Medicines Agency、EMA)がそれぞれ主導して、複数の関連団体参加のもと、CTDSのワークショップを開催しました。強いリーダーシップのもとで、立場の違う人々に議論の場を提供し、両者はCTDSの普及に大きな役割を果たしています。

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