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「第27回製薬協政策セミナー」を開催
日本経済再生に向けたイノベーションの創出
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製薬企業のみなさんにとっては知財の排他性、治験成功の確実性、市場性、商品力などが重要ですが、アカデミアの研究者にとって、そのようなことに思いをはせることはまず稀でした。しかし、2001年に小泉内閣が発足する前後からさまざまな点で環境が整備され、1998年に大学等技術移転促進法(TLO法)が成立、大学へのTLO設置が促進され、99年には日本版バイドール法[1]ができ、教員による発明知財の環境が整備されました。2001年には大学発ベンチャーを推奨した平沼プランを契機として、大学発のバイオベンチャーも生まれました。その後現在まで、政府も製薬企業もダイナミックに動きはじめたのですが、一方でバイオベンチャーだけが進歩から取り残されてしまった、というのが今の状況です。

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日本版バイドール法:アメリカでは1980年に、政府資金による研究開発から生じた特許権等を受託企業等に帰属させるバイドール法が制定され、企業等による技術開発が加速された。これに倣って日本でも1999年に、政府資金による委託研究開発から派生した特許権等を民間企業等に帰属させ得るとした措置法(日本版バイドール法)が施行された。

バイオベンチャーは新陳代謝で機能アップを

バイオベンチャーを取り巻く問題には資金調達、規制・制度、人材などがありますが、特に問題は資金調達でしょう。2003年から04年はバイオバブルで、多くのベンチャーが上場しました。ところが、06年のバイオバブル崩壊以降、さらにそれに追い打ちをかけたリーマンショック以降は、上場バイオベンチャーの時価総額が大幅に減り、治験を遂行するだけの資金調達がなかなか難しい状況になりました。日本は上場バイオベンチャーの数が少ないだけでなく、1社当たりの時価総額はアメリカの10分の1以下、EUの5分の1以下です。これでは強力な創薬力は期待できないでしょう。
 規制・制度については政府が動き出し、法整備が進むとともに日本医療研究開発機構(AMED)が発足するなど、大きな制度改革が進んでいます。製薬企業も、欧米のメガファーマに対峙すべく再編や統合が進められてきました。大学もようやく文部科学省や厚生労働省のプログラムによってレベルアップしつつあり、大学内にアカデミック臨床研究機関(Academic Research Organization:ARO)[2]を設置、専門家など人材が流入し始めている状況です。このような状況の中、ベンチャー企業だけが保守的であり、十分な開発資金を集められないままジリ貧になりつつあります。特に再生医療領域では、薬事法が改正され薬機法となり「早期・条件付承認制度」が再生医療等製品に適応されてからは、むしろ欧米のバイオベンチャーの目は日本に向きつつあります。再生医療の主戦場は、これからこの日本になるということです。欧米における創薬の強力なドライビングフォースであるバイオベンチャーと伍していくためには、日本のバイオベンチャーはイグジットの多様化を進めるとともに、M&Aなどを効率的に活用して資本とシーズの選択と集中を進めて行く必要があるでしょう。
 最後に私からの提言として、AMEDには再生医療推進のために、日本版PACT(Production Assistance for Cellular Therapies)・GTRP(Gene Therapy Resource Program)をぜひ設立していただきたい。これは、細胞治療、遺伝子治療において研究機関や企業をサポートする米国の公的機関であり、産学連携による再生医療・遺伝子治療の開発促進には不可欠です。
 ベンチャー企業には吸収・合併による資本とシーズの選択と集中により開発をスピードアップするか、そうでなければ、別のイグジットとしてシーズの知財期間が短くなり陳腐化する前に、製薬企業への買収を促進させるなど、積極的な新陳代謝を進めてほしいと思います。バイオベンチャーは欧米では創薬力の主力ですが、日本ではまだ十分に機能していません。日本の創薬力を国際レベルにアップするために、いまバイオベンチャーの機能の底上げを行うことが急務ではないでしょうか(図5)。

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アカデミック臨床研究機関(Academic Research Organization、ARO):大学等で研究開発を進めるために人材、機能をそろえて研究全体を支援する学内の組織。CROに近い機能をもつこともある。

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