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「第39回 環境安全講演会」を開催
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日本独自の問題として里山に人の手が入らなくなったことで、逆に生物多様性が奪われるという世界的に珍しい問題があります。アメリカ・ヨーロッパで生物多様性のために人の手を入れないようにするのとは逆に、日本では人が使うことも生態系維持のための大切な要素となっています。
 農村の環境を考えるうえで、里山や里海での営みを担ってきた農村部の高齢化や都市部への労働力の流出による「担い手」の不足という深刻な問題が根幹にあり、それが防災、耕作放棄地、山林の荒廃、獣害、土砂崩れ災害といったハード面の現象と表裏一体の関係となっていることです。
 このような状況に対する危機感を背景として、国連大学と環境省が中心となって2007年から2011年に「日本における里山・里海のサブ・グローバル評価」(里山里海SGA) が実施されました(UNU-IAS and JSSA, 2011)[2] 。このSGAでは、里山・里海が提供する生態系サービスを特定し、その現状と傾向の分析、将来の予測を行うために、持続可能な管理に向けた対策の選択肢を示したうえで、技術や経済のほかに、知識に基づく対策・対応として、公的機能を持続的に維持していくための社会的制度として「新たなコモンズの構築」や「コモンズによる地域共同体の再構築」などが提唱されています。
 地域の防災との関連において、担い手の育成や存続、地域の経済的な循環、ブランドを軸とした地域社会の結び付きなどテーマは多岐にわたります。




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UNU-IAS and Japan Satoyama Satoumi Assessment (UNU-IAS & JSSA: 2011) Satoyama-Satoumi Ecosystems and Human Well-Being: Socio-Ecological Production Landscapes of Japan UNU Press 518pp

担い手としての企業

企業経営者は事業継続性リスクや評判リスク(Reputation Risk)に関心が高い一方で、企業活動が生物多様性に与える影響に対する関心は、さほどではないようでした。この影響は、工場などの土地開発時における生息地の破壊や操業による汚水・排ガスなどによる環境汚染といった直接的影響にとどまらず、原材料調達のための採掘や採取による生息地の破壊といった間接的影響まで及びます。その意味で生物多様性は持続的な企業活動の基盤として考えることができます。
 製薬業界も気候変動だけではなく、国土のデザインやその担い手の問題として、国内の都市と農村のバランス、先進国と発展途上国の国際協調を考えることが必要です。

CDP事務局 ジャパンディレクター 森澤 みちよ 氏

投資家の活用する環境情報開示
〜生物多様性条約愛知目標の国際情勢と国内での取組み事例から〜

CDP事務局 ジャパンディレクター 森澤 みちよ

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CDPの概要

CDPは2000年に設立した国際的な非営利団体で、気候変動、水、森林に関する主要な情報データを集め、投資家や企業、政府の事業・投資・政策判断において必要な情報を提供することをミッションとしています。このミッションを通じ、危険な気候変動を防ぎ、天然資源を守り、資源の効率的な配分を通じて長期的な繁栄を創造するグローバルなエコノミック・システムへ移行することを目指しています。
 CDPの活動は、当初、気候変動リスクを対象に開始しました。2010年に水リスクを、2013年に森林伐採リスクを対象に追加し、名称をCarbon Disclosure Project(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)からCDPに変更しました。そのほか、2008年からサプライチェーンの情報開示要請、2011年から自治体の気候変動・水の情報開示要請も行っています。
 CDPの本部はロンドンですが、世界中に拠点があります。世界の上位企業に対し、気候変動・水・森林に関する標準化された質問書を送付し回答を要請しています。2015年はCDP気候変動の情報開示要請に全世界822社から賛同があり、70ヵ国以上の企業に投資家質問書を送付しました。
 日本企業に対しては、時価総額上位企業を基本に500社、水は水リスクの低いセクターを除く150社、森林はグローバルサンプルで88社に質問書を送付しています。
 CDP賛同機関投資家数は年々増加し、2015年はCDP気候変動で822社(運用資産額95兆ドル)、CDPウォーターで617社(同63兆ドル)、CDPフォレストでは298社(同19兆ドル)に上っています。

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