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「2015 ライフサイエンス知財フォーラム」を開催
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さらに、特許法の改正も必要になるでしょう。特許の定義規定で「自然法則を利用して」という文言はバイオ医薬品や、iPS細胞には適さず、遺伝子配列のどこが自然法則を利用しているかを議論しても意味がありません。特許法の目的も国内産業の発展だけでなく、世界文明の発展に寄与するように拡大しなければなりません。
 このように、国際化、多様化、競争力強化と多くの変革が医療知財には必要になるのだから、官民の幅広い医療関係者からなる「医療知財戦略センター」を設置し、医療にかかわる知財の戦略を総合的に設定する必要があります。これからの日本、特に日本の医療産業は知財戦略なしには国際的な発展は望めません。

〈第1部〉

宮下 知子 氏

■ 講演1|標準化について

~情報通信・エレクトロニクス分野における最近の動向

元日本ヒューレット・パッカード株式会社
法務コンプライアンス統括本部 知的財産部 部長
(昭和電工株式会社 法務・知的財産部 企画管理グループ 企画リーダー)

宮下 知子

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情報通信・エレクトロニクス分野では、異なった機器の相互接続、相互動作性を確保するために、技術の標準化が必要な状況にあります。たとえば、デジタルカメラとプリンタを直接ケーブルで接続し、その場でダイレクトプリントを可能にした「PictBridge」という標準規格があり、メーカーを問わず、デジタルカメラからダイレクトプリントができる市場形成に貢献しています。このような標準技術によるユーザーの利便性は、市場の急速な拡大、大量生産、コストダウンにつながります。
 しかし一方で、振興国からの安価な製品供給をもたらし、価格競争に見舞われています。標準化技術だけでビジネスを維持することは厳しく、各社は、独自の差別化戦略により付加価値を付ける必要があります。このような技術の特許は、囲い込み、また、ブラックボックス化するために出願しないこともあります(クローズド戦略)。
 ここで、標準化に必要な特許の数は、製薬産業で1つの商品・技術に使われる特許の数とは桁違いに膨大です。例として、通信規格に関する必須特許の数は、4G規格に至っては、1万件以上に増えています。
 標準化の重大リスクに、1つの特許でも差止請求権が行使されると、標準化された技術を利用できなくなり、標準化技術を実現した製品を使用できなくなるという問題があります。標準化団体では知的財産権(Intellectual Property Rights、IPR)ポリシーを定め、特許宣言などでライセンスをする用意があることを宣言させていますが、公的機関である標準化団体では通常、個別の標準技術必須特許のライセンス交渉や紛争解決には関与しません。
 ここでのライセンスポリシーの代表的なものとして、公正で合理的かつ非差別的な条件でライセンスする用意があることなどを宣言(Fair & Reasonable & Non-Discriminatory、FRAND宣言)する場合があります。
 アップル・サムスン事件は、FRAND宣言した特許について、差止め請求が可能か、損害賠償請求が可能かを争った裁判例として注目されます。FRAND宣言に関連した特許の差止めについて、日本ではじめての高裁判断でした。本事件では、地裁・高裁とも差止め請求を認めませんでした。一方、損害賠償請求について、高裁は地裁の判断と異なり、損害賠償請求について認め、また、具体的な損害賠償額についても個別事案に応じるべきものとしたうえで、算定されました。
 最後に、標準化を考慮したビジネスとは、市場拡大のために標準技術を利用すべきであり、その知財戦略として、標準規格をリードする技術と差別化のための自社技術開発との両面を考える必要があります。そして、標準技術に係る必須特許をもつことは、相互ライセンス交渉に有効であることも重要です。

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