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イギリスにおける医療技術評価(HTA)に関する議論の動向
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イギリスではここ数年間で、医薬品の価格制度を含めた医療技術の評価制度をめぐる議論が活発になっています。今回は、国際委員会 欧米部会 英国ワーキンググループとしてこれまで追ってきたイギリスにおける医療技術評価に関する議論の動向を紹介します。

国際委員会 欧米部会 英国ワーキンググループは、製薬協とイギリス政府間の2国間定期協議に向けた対応を中心に、イギリスの動向把握などを行っています。
 この日英定期協議は2014年で19回目を迎えました。2013年まではイギリス政府の保健省が主催していましたが、今回からは、2014年4月にその役割が拡大したOffice for Life Sciences(OLS)が主催者となりました。再スタートしたOLSは、イギリスのライフサイエンスにおける長期的に持続可能な成長・国際競争力を促進していくための省庁間連携を図るため、ビジネス・イノベーション・技能省(Department for Business, Innovation and Skills)と保健省のジョイント・ユニットとして、英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence、NICE)のリフォームも含め、イギリスのイノベーションと予算統制のバランスをとる重要な役割を期待されています。
 OLSのディレクターであるニコル・メイザー(Nicole Mather)氏と国際委員会 委員長の平手晴彦氏が会議の共同司会者を務めました。会議の中では医療技術評価(Health Technology Assessment、HTA)やNICEについての講演と討議もありました。
 前日のレセプションには、OLS大臣のジョージ・フリーマン(George Freeman)氏も出席し、「業界をパートナーとして、新薬のアクセス改善をはじめとする政策を推進していく」というメッセージを伝えました。

イギリスの医療制度概要と医療技術評価機関

イギリスは、わが国の医療制度とは異なり、税金による国営保健サービス(National Health Services、NHS)が運営され、厳しい予算管理のもとで医療が行われています。そのため、イギリスの医師は、予め配分された予算を圧迫するような高価な新薬の処方には慎重です。その環境下において、その新薬が医療技術評価機関により「費用対効果に優れる」という評価結果が出され、使用が推奨(これは通常の薬事承認とは別に行われるもの)されれば、NHSの予算が確保されるという安心感から、医師はその新薬を積極的に処方する傾向があります。逆に推奨されなかった新薬は、限られたNHS予算の中では優先順位が低くなり、処方されにくくなることから、実質的には患者さんにとってアクセスが困難な状況となります。そのため、イギリスにおける医療技術評価に関する動向は、製薬企業にとっても非常に大きなインパクトをもつものとなっています。
 イギリスでは、その医療技術を評価する3つの公的機関が存在し、イングランドにはNICE、スコットランドにはスコットランド医薬品コンソーシアム(Scottish Medicines Consortium、SMC)、ウェールズには全ウェールズ医薬品戦略グループ(All Wales Medicines Strategy Group、AWMSG)が設置されていますが、中でもNICEがよく知られています。NICEの評価結果はイングランドおよびウェールズに適用されています。スコットランドのSMCは独自のアプローチで、NICEに比べより多くの新薬の償還を行う傾向があります。
 NICEは1999年に設立されて以降、標準的な治療法や処方を提言するガイダンスを発行する役割を担ってきました。特に臨床効果および費用対効果評価に基づくガイダンスは「医療技術評価(Technology Appraisal、TA)」と呼ばれ、医薬品を含む当該医療技術に関しNHSで支払うべきかを提言します。医師は、このNICEガイダンスの提言を遵守する義務はないものの、前述の通りNICEの評価結果は医師の処方や患者さんの医薬品へのアクセスに大きな影響を及ぼしています。加えて、イギリスにはNHSから予算を配分され、地域医療を運営する臨床委託グループ(Clinical Commissioning Groups、CCGs)が211[1]グループ存在し、独自に予算管理を行っています。NICE、NHS、CCGsがそれぞれ運営されているため、プロセスが複雑化し、新薬への患者アクセスをさらに難しくしていると考えられています。

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2015年1月時点



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