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CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より

「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第3回〈最終回〉
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そのような事象をプロトコルや施設に対して実施手順を説明した資材の中で、事象の診断基準とともに特定することは有用である。たとえば、CIOMSが作成した薬剤性肝障害や血液系の障害の定義は有用な基準を提供し得る([1] を参照)。
 さらに、医薬品の安全性プロファイルについて一貫した解析・検討・評価を行うために、「特に注目すべき有害事象」を定義することも極めて重要である。これらの定義や特定の報告語を用いるための基準は、詳細にプロトコルを含め当該医薬品の安全性にかかわるあらゆる計画で説明されるべきである。
 DCSIや最終的にはCCSIの中に、(本質的に同一の事象に対して)複数の事象名が使用されることは、医学的にほとんど、あるいはまったく有用でない情報となる。これを避けるために、個別の症状・兆候(発熱、発疹、悪心など)は、それらが別の事象として報告され、明確に特定の診断が下せない場合にのみ、集計目的で(別々に)コード化するべきである。
 集積されたデータに対する解析では、個別にコード化された症状・兆候が別々に起こったものなのか、あるいは知られている臨床的症候群の一部をなすとは当初は考えられていなくても、一緒に報告されることが多い症状・兆候の組み合わせであるのか、の確認を試みるべきである。このような確認は、複数の無関係な原因があるかもしれない比較的非特異的な症状・兆候を不適切に分類することを避けるために、特に重要である。

[訳者注]

たとえば発熱は複数の無関係な原因をもつかもしれない。


[訳者注]

被験者に発現した事象をほかの事象と切り離してみていると問題を見逃してしまう可能性がある。複数の事象を関連する事象とまとめてみたり、時系列の中で1つの物語(ストーリー)として捉えられないかと考えてみたりすることは重要である。データの収集段階においては可能な場合に適切な診断名や症候群として報告すること、データの集計段階では関連する可能性がある事象を後述の標準MedDRA検索式(Standardized MedDRA Queries、SMQ)や組み合わせ用語(Combined Term)を用いてまとめてみることが、不適切に分類することを避けるために必要である。


企業や規制当局によっては、規制上(緊急報告が必要な場合など)重篤性の基準に合致しない症例であっても、医学的に重篤で重要であると常に認識される事象名の一覧を維持している場合がある。そのような「常に重篤と考える(always serious)」有害事象の一覧は、特別に注意し評価するというアクションを取るための基準として日常的に用いられる。そのような一覧は、もともと市販後、特に自発報告を受け取った時に用いるよう作成されたものであるが、承認前の臨床試験においても有用である可能性がある[3]。だが、治療が何であるか、研究対象の患者集団がどうであるかによって状況は大きく異なるし、完全な一覧はあり得ないのでわれわれは特定の一覧を承認することはしない。ただし、そのような一覧を正式に準備していなくとも、ある種の医学的に重要な事象が発生したときに注意喚起する必要はあり、被験者を保護し将来の害を防ぐために重要な考え方である。

2. コード化の手順

スポンサーは、あらゆる製品やプロジェクトに適用可能な、データの標準的なコード化の手順を実装しているべきである。データ入力にかかわるすべての担当者はその手順を行う前に十分教育されているべきである。
 コード化を目的に、ICH M1のもとで開発され国際的に合意された医学用語辞書、MedDRAがある。本ワーキング・グループは、MedDRAの利用を推奨し、コード化の議論において一貫してこれを参照する。スポンサーの手順は、MedDRAによるコード化の原則が書かれた「用語選択:考慮事項(Term Selection:Points to Consider)」[4]に従ったものであるべきである。
 しかし、本節で述べる原則は辞書に何を用いるかにはよらない。診断の根拠となった症状・兆候や検査結果を、特に重篤な有害事象の場合には医師からもれなく収集するべきであるし、そのようなデータは試験のデータベースに格納されるべきではあるが、MedDRAの考慮事項にも概説があるように、このような詳細な情報に含まれる個々の事象は通常コード化するべきではない。臨床的な評価を行うために最終的な図表においてコード化されていることの意義を、データ入力の段階で考えるべきである。
 辞書の用語と正確に一致しない有害事象の報告語を扱う場合が特にそうである。非特異的な「症候群」の用語、たとえばMedDRAの基本語(Preferred Terms, PTs) の「血液障害NOS(Not otherwise specified)」、「大脳障害」などは、検索・評価・提示のいずれにおいても有用でないので使用を避けるべきである。非特異的な用語を必要とするような病態を特定できていない報告語については、報告した医師に問い合わせるべきである。
 MedDRAを用いる際には、「SOC:社会的環境(Social Circumstances)」の用語は病歴にのみ用い、有害事象の報告語がたとえ正確にそのSOCの下層語(Lowest Level Term, LLT)に正確に一致したとしてもコード化には用いないことが一般に推奨される[5]
 スポンサーは、重篤な有害事象を発現した症例において報告された事象の「過剰なコード化」を避けるべきである。

[訳者注]

随伴するあらゆる症状・兆候を並列にコード化することは避けるべきだと述べている。




mark [3]
そのような一覧の候補として、この考え方に関する詳細な議論や、MedDRA、WHO-ARTの広範囲な一覧が提供されている。以下を参照のこと:Current Challenges in Pharmacovigilance: Pragmaric Approaches, Report of CIOMS Working Group V, pp. 107- 108 and Appendix 5, CIOMS, Geneva, 2001
[訳者注]
現在はPDFファイルが公表されている。

mark [4]
最新版は以下のURLを参照。
http://www.meddra.org/how-to-use/support-documentation


mark [5]
CIOMS ワーキング・グループ VIは、「SOC:社会的環境」は有害事象の報告語がたとえ正確にそのSOCのLLTに正確に一致したとしても、一般に副作用/有害事象のコード化には用いないとするMedDRA考慮事項バージョン3.3(2004年6月9日)の推奨に同意する。検索・分析・報告に影響を及ぼす可能性があるからである。「SOC:社会的環境」は、社会的要因を記述するものであり、社会環境歴のコード化に利用することを意図しているので、障害のSOCにみられるような多軸は設定されていない。障害のSOCに含まれる用語のほうが適切に医学的概念を表現できる場合に、コード化に「SOC:社会的環境」を用いることは、不適切な標準業務手順書(Standard Operating Procedures、SOP)へのマッピングであり、検索やシグナル検出に悪い影響を及ぼし得る。たとえば、「SOC:社会的環境」に含まれる「妊娠流産(Aborted pregnancy)」は、「SOC:妊娠、産褥および周産期の状態」に含まれるさまざまなタイプの堕胎を反映する複数の臨床的用語とともにグループ化されることも検索されることもない。したがって、「妊娠流産(Aborted pregnancy)」とコード化された場合、流産や自然流産の分析から不適切に除かれてしまう恐れがある。
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