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CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より

「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第2回〈全3回〉
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試験によっては、投与開始前の安全性データを収集する必要がある場合がある。ウォッシュアウト期が投与計画に含まれている試験では、プラセボがこの期間で用いられるかによらず、この期間の安全性データを収集するべきである。こうすることで、試験治療下で発現した事象が投与前から悪化したのかを評価できる。また、試験組み入れ前のスクリーニング検査に侵襲的な手技(生検など)が含まれることがあり、この手技が有害事象のリスクとなる場合がある。そのようなデータは、収集されるべきであり、試験の被験者集団が経験した安全性関連所見としてまとめられるべきである。安全性データの収集開始時点はプロトコルで明確に説明されるべきである。ひとたびデータが記録されたら、安全性モニタリングに利用できるようにプロトコルの要求に従い、スポンサーに提出されるべきである。
 プロトコルは、試験治療の最終投与、あるいはプロトコルが定めた最終来院以降の観察期間を特定するべきである。アンケート結果は、この観察期間が会社ごとにかなり異なっていることを示している(原書の別添3第5項参照)。プロトコルは、試験終了後の観察期間において、安全性データの収集をどのように、いつまで行うかを明確にするべきである。追加の来院が設定されたり、電話で確認されたりする場合もある。

CIOMSワーキング・グループ Ⅵ の推奨:
  一般に、安全性データの収集は、最終投与の後、少なくとも半減期の5倍の期間は続けるべきである。

この追跡期間は被験薬の種類や、被験薬特有の性質によって変わるものである。この一般的な指針は多くの被験薬に適用可能であるが、開発品の多様性、患者特有の状態の多様性があるので、どんな場合にも適切なルールを設定することは困難である。たとえば、細胞毒性のある薬剤では毒性発現が遅発性である場合があり、より長期間のモニターが必要となる。一方、極端に長い生物学的半減期をもつ化合物(たとえば、ビスフォスフォネートの半減期は数年に及ぶ)では、試験終了後のモニタリングは半減期に比べてかなり短期間であることがあり得る。臓器障害は医薬品の半減期よりも遅れて発現することがある。

[訳者注]

遅発性の有害事象を発見したり、その有害事象と被験薬の因果関係を見極めたりすることは困難な場合が多い。被験薬の投与から時間が経過すればするほど、事象を引き起こし得るほかの原因が増えていくからである。交絡するリスク因子が増えていく中で、それでもなお被験薬が原因であるという疑いを医療従事者がもった時に有害事象として報告される(自発報告の考え方)。一方、細胞毒性、特定の臓器(肝臓など)の臓器障害など、それを引き起こし得るというエビデンスが得られている場合には、モニタリングの対象を特定の臨床検査値などに絞り込める場合もあるだろう。


薬の生物学的効果が半減期の5倍を超えて続く場合がある。この点においても、収集を行う期間と、何を収集すべきかの説明をプロトコルに規定しなければならないし、臨床開発プログラムで期待されているタイムラインに落とし込む必要がある。

[訳者注]

この問題はJohn Talbot, Patrick Waller. Stephens' Detection of New Adverse Drug Reactions, 5th Edition. WILEY. December 2003 第4章 P172〜が参考になる。

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