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CIOMSワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より
「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第1回〈全3回〉
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報告書としての最終結果や公表の取り扱いも研究者と製造者の合意事項に含めるべきである。承認され市販されている医薬品に関する動物試験も製造者から独立した研究者によって実施される場合がある。ここでも、支援が行われた場合(通常、製品あるいは活性成分の供給)、結果が確実に入手できるようにすることは製造者の責務である。詳細は第7章のd.節を参照されたい。

c. 何を?

1. 一般的な原則
 安全性目的で収集し評価すべきデータは、臨床試験のデザインに依存するが、次の項目を含めることが検討される。その項目は、有害事象、臨床検査値、薬物動態のデータ、精神状態の検査や身体所見、試験特有のデータ(ホルター心電図、脳波検査、心電図検査、聴覚検査、妊娠検査など)、薬理遺伝学的データ、QOLデータである。これらとは別に人口統計学的データ、被験薬の用量や投与期間、服薬遵守状況、合併症、併用治療も安全性データの解釈の際に極めて重要である。運動歴のような追加的なデータ項目はクレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)や肝臓酵素などの値の変化(の原因)を理解するために役立つ場合がある。しかし、治験担当医師たちは決して使われることのないデータの収集を頻繁に求められ、治験担当医師とスポンサーの双方の時間とリソースを浪費している。

[訳者注]

後で説明があるが、被験薬との因果関係が確立している有害事象について、個別症例の因果関係判定結果を収集し続けることもこれに含まれる。また、安全性プロファイルがかなり描けている開発後期以降にすべての症例で収集され続ける併用治療や病歴は、”決して使われることのないデータ”(新たな知見の提供に役立つことのないデータ)の典型である。これらの情報が使われる可能性が高いのは、組み入れ基準にかかわる場合と、臨床的に重要な安全性情報(SAEや治療の中止に至る有害事象など)にかかわる場合であろう。

そうならないために、スポンサーは、被験薬の安全性(そして有効性)を解析するために必要なデータを事前に注意深く選択したうえで、プロトコルやCRFを作成しなければならない。SAEの報告には、非重篤な有害事象よりも詳細な情報が求められる(連載第2回のc. 7. 節と原書の別添6を参照)。開発初期の段階では、市販後の研究よりも広範囲の安全性データを収集することが一般に必要である。ワクチンや免疫療法、生物製剤のように薬剤の種類によっては、比較的長い期間の追跡が必要になる場合がある。
 第Ⅰ相試験のデータの収集、モニタリング、評価では、次に挙げる2つの理由から、特別な注意を払う価値がある。

(a) 例外はあるが(抗がん剤の試験、臓器の障害をもつ部分集団における薬物動態試験など)、第Ⅰ相試験は治療の必要がない健康な被験者を対象として実施されること。
(b) 試験結果は製品の開発を続けるかどうかを左右するため、注意深く精査し解釈しなければならないこと。

予防薬や予防ワクチンに対しては、後期の臨床試験であっても、同じ配慮が適用される。
 Salsburg[11]が説明しているように、起こり得るあらゆる安全性の問題を評価するために必要なデータの記入欄がCRFにあるなどということは、まずあり得ない。彼はまた「過剰な」データの収集に関連する問題やデータの質への悪影響についても論じている。したがって、CRFの記入欄は、解析が行われるデータ、試験結果の集計表の中で提示される典型的なデータかを考えたうえで選択されるべきである。

[訳者注]

Salsburg論文より関連する箇所を引用する:医師に有害事象であると認識されていないが、ある種の情報をCRF上に含めることによって示唆されるような非常に例外的な有害事象が起こるかもしれないという類の危惧(有害事象記入欄以外の箇所に記入された情報が、報告されていない有害事象の発見に役立つという危惧など)をもつメンバーが大抵いる。想像力は際限なく広がり、そのような危惧は常に存在する。そのような情報をすべて含んだCRFを作るという試みは、不可能に近い。「最終的な結論に使われることのない情報」をCRFから排除する提案がされるといつも、反対派は「そういう考え方は、被験者を統計家の視点でのみみようとしているものだ」と不平を漏らす。反対派はこうもいうだろう。「安全性情報にはきちんと構造化できない種類の情報があって、それは予見することもできないのだが、記録の一部ではあるべきだ」と。問題は、ある特定の質問や観測をCRFに挿入することがある種の構造(データ間の関係)を与えてしまうことにある。このような構造は、情報の性質に制限を加えることになるし、この構造の中にあるすべてのデータ項目が表示される集計表が想定されるはずである。もし、反対派がそのような集計表を提案することができないならば、彼らの主張には重大な混乱と不一致があり、情報の解釈を不可能にしてしまう。どんなCRFにも医師のコメント欄があり、コメント欄こそが、最も制約のない、反対派が危惧する予見できないイベントの情報を集めることができる場所である。

mark [11]
Salsburg、 D. Deming Principles Applied to Processing Data from Case Report Forms. Drug Information Journal 2002; 36: 135-141.
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