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CIOMSワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より
「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第1回〈全3回〉
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診断名が特定されているときの症状・兆候の収集に関して、どのようなデータ要素を収集するか、いつからいつまで収集するか、スポンサーへの報告の時間枠はどのくらいか、医師はどのように因果関係評価を行うべきかなど、参加施設に対する要求がスポンサーごとに異なっている。スポンサーごとにデータ収集にどれほどのばらつきがあるかについては、原書の別添3のアンケート結果の第3項から第8項を参照されたい。安全性データの項目、定義、収集方法がスポンサーによって異なることが、医師たちに混乱や非効率をもたらす可能性がある。あまり取り上げられることがない最も重要な問題の1つに、来院時や別の機会に医師やスタッフが患者と話す間に安全性情報を実際に聞き出す方法がある。
 安全性データ収集や情報の取り扱い方が一貫していることは、臨床試験の効率化に非常に役立つ可能性がある。このことが、解析に利用されるデータに、より大きな信頼性をもたらし、医師、スポンサー、規制当局がデータのレビューに時間を使えるようにさせ、ひいては、試験に参加する被験者のみならず、その治療の恩恵を享受するであろう将来の患者の健康や福祉にも貢献することになる。
 本章では、データの収集に誰が責任を負うのか、何を収集するべきなのか、どのように、そしていつデータを集積すべきなのか、ひとたび収集されたデータを管理するための技術的な留意点を考察することにより、上述したさまざまな問題に対するアプローチを議論する。

b. 誰が?

収集されるデータの起源は、患者/被験者、医療関係者、患者の代諾者にある。しかし、患者からデータを収集し情報を適切に記録し最終的にスポンサーに報告する責任は、通常は参加施設(医師やスタッフ)にある。患者が患者日誌やePRO(electronic Patient-Reported Outcome)に記録する場合も、われわれの焦点は主に施設でのデータ収集に当てられる。患者のデータが適切に収集されスポンサーに報告されているかを確認することは、治験担当医師の責任である。第Ⅰ相試験では、スポンサーが治験担当医師の役割を担い、これらの責任を負う場合もある。

[訳者注]

スポンサー企業がPhaseⅠUni(t 第Ⅰ相試験を専門に行う組織)を有する場合がある。

一般に、治験の実施中は施設の治験担当者が患者にとっての窓口となる。施設の治験担当者は、安全性データが適切に収集され、スポンサーに送られていることを確認しなければならない。医師以外の治験担当者が(来院時あるいは来院と来院の間に)患者と対話をする中で有害事象の情報を(偶然に)得る場合もあるが、情報がプロトコルを遵守して集められているかを確認することは最終的に医師の責任である。スポンサーの代理人であるモニターは、データの記録の正確性、完全性、プロトコルの遵守を確認するために、CRFに記録されたデータと原資料を照合する。スポンサーは、収集されるべきデータと、これらのデータを収集する際に医師が従うべきプロセスを、明確に規定するという非常に重要な役割を担う。しかし、安全性上重要であると考えられる情報に治験担当医師が気づいた場合は、プロトコルでその情報を報告することが明記されていなくても、その情報はスポンサーに報告されるべきである(非常に重要であると判断された場合は速やかに)。このような情報に対する医師の感受性を確実なものにするために、データ収集と報告について治験参加施設の担当者を適切にトレーニングすることが、スポンサーの重要な責務の1つである。
 多くの試験が医薬品開発受託機関(Contract Research Organization、CRO)や、公的・私的な研究機関、ほかの協働グループ、共同開発パートナーなどの協力のもとで実施されている。どのような体制であれ、データ収集は治験担当医師の責務である。協力者間で、明確な合意形成が行われ、試験のモニタリング、データの獲得や処理の責任を誰が担うのかが文書化されなければならない。データ処理を含むスポンサーの責務の多くはCROに委託される場合がある[8]
 医薬品の承認取得者がスポンサーでない試験は、製造者とは独立した研究者やその研究者が所属する研究機関(公的、私的)によって実施され、彼らが安全性データの処理や解析のスポンサーとしての役割や責務を担う。しかし、そのような製薬会社とは独立した試験に対して会社がなんらかの支援(薬の供給、研究資金など)を行う場合には、その企業は少なくとも因果関係が疑われる重篤な有害事象(Serious Adverse Event、SAE)のすべての報告を試験参加施設から入手するべきである[9]。すべてのSAEの報告を要求する会社もある。要求される義務を確実に果たすように、関係機関で調整されるべきである。治験担当医師は、試験実施中に発生した有害事象の報告に関する各国の規制を遵守することが期待されている。しかし、会社が重要な情報を入手したときには、その情報を自らのデータベースに格納し、会社が継続的に行っている安全性評価の際や、適切な定期的安全性報告(Periodic Safety Update Report、PSURなど)を作成する際に考慮に入れるべきである[10]

mark [8]
たとえば、アメリカFDAの規則21CFR312.52を参照。
mark [9]
何が企業による「支援」に含まれるかについて標準的な定義はない。たとえば、独立した研究者からの要請により医学的あるいは規制の観点からプロトコルをレビューすることは含まれるのだろうか。支援となり得るこの種のやり取りに注意している企業があることが知られており、そのような企業は、安全性情報を研究者から入手できるよう同意を取り付ける。
mark [10]
日本の厚生労働省は、承認された医薬品の製造者が実施したがらない新しい使用法(適応症など)に関する研究を独立した研究者が実施することを奨励している。企業に対して医薬品の供給や重要な安全性所見を監視することを求めるという提案が検討されている。
[訳者注]
「医師主導治験」(「自ら治験を実施した者による治験副作用等報告について」参照)。
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