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「第38回環境安全講演会」を開催
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齋藤 みのり 氏


自然を守れば自然が守ってくれる

東京都市大学  環境情報学部 教授 涌井 雅之

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自然を守れば自然が守ってくれる
 このスローガンは、2012年にインドのハイデラバードで開催された生物多様性条約第11回締約国会議のスローガン 「Nature Protects if She is Protected」 としてインド政府が掲げたものです。
 われわれは今、人間の欲望の集積に原因した地球温暖化問題などにより、持続的未来を確実にできるか否かの大きな岐路に立たされています。地球の環境容量の臨界点は目の前にあります。さらに、地震などの自然災害が加わるため、自然との付き合い方が大いに問われることになります。
 温暖化問題が気候変動、さらには生物多様性を滅失させるという深刻な事態を引き起こしています。この現象を引き起こしている原因を一言で言えば、われわれの世界認識の薄さだともいえます。われわれはこの地球の支配者であるかのような顔をしていますが、このことが大きな問題であることに気がつかなければなりません。
 とりわけわが国は、陸地面積が地球上の0.25%でしかないにもかかわらず、世界で起きているマグニチュード6以上の地震の約2割が発生しているなど、世界の中でも特筆すべき自然災害多発の国土条件を有しています。


レジリエンスあるいは「いなし」
 このような特異性をもつ日本であればこそ、災害と地域社会の関係は独特のハード・ソフト両面の英知を進化させてきました。
 東日本大震災が起きた2011年の秋、東京でGEA(地球環境行動会議)が開催されました。その目的は「復興を通じた持続可能な社会づくり〜日本の再生を世界と共に〜」であり、私は「日本の国土が自然の恩恵とその応力つまり災害が背中合わせである国土ゆえに、自然に逆らうという発想は少なく、常に自然と共生する発想が前提となり、力には力をではなく、常に柳に風という方向、つまり『いなし(レジリエンス)』の知恵があった」という主旨で講演を行いました。


結び
 わが国は、世界に冠たる伝統「自然と共生する社会」を当然とした歴史を誇ってきました。しかし、最近の風潮は、このような歴史・文化に背を向け、産業革命の延長線上で考え、相変わらず、多大な資金と科学技術を前面に押し出した装置や構築物で自然に対抗しようとする施策や政策(グレーインフラ)が講じられようとしています。
 しかし、環境悪化の最大の要因である地球人口の膨張の大半が最貧国・途上国であることを考えると、このような対応策が不可能であることが容易に想定されます。従って、自然の力を借りるわが国を支えてきた「いなしの思想」、つまり持続的未来を希求する環境革命を念頭に置いた「自然を守れば、自然が守ってくれる」という思想に基づき、自然と共生する知恵と対応策(グリーンインフラ)を随所に具現化する以外に策はないでしょう。

環境安全委員会 副委員長 小林 智

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