医薬品評価委員会 2023-33 モニタリング報告書の作成

関連分類:その他

初回公開年月:2024年03月

質問

 モニタリング報告書の作成に関しては、GCP第22条第2項に、「モニターは、モニタリングの実施の際、実施医療機関において実地に行い、又はこれと連絡を取ったときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を治験依頼者に提出しなければならない。(以下省略)」と記載があります。
 一方で、色々な治験の依頼者側の記録の残し方をみますと、それは依頼者毎に異なり、
統一書式は、文書そのものがTrial Master Fileに保管されるため、それが授受の記録になり、別途モニタリング報告書を作成することは不要
資料を送付した際のメールや送付状があれば、それをTMFに保管することで、授受の記録になり、別途モニタリング報告書を作成することは不要
施設との重要なやり取りや、見解をメールで得た場合は、そのメールを保管することによって、それらの経緯・協議の記録になるため、別途モニタリング報告書を作成することは不要
といったルールのもと、治験が進められている例も多くみられます。

 これらは、GCP上は、実施医療機関と連絡を取ったときには、その都度モニタリング報告書を作成しなければならない旨、記載されているが、その細かい範囲や運用は、依頼者毎にモニタリング計画書やその他の手順書等で取り決めることで良く、必ずしも、GCP第21条第1項9で規定されるような全てのモニタリング活動についてモニタリング報告書を作成しなければならない訳ではない(別で経緯等が読み取れれば、それに代えることができる)、という理解でよろしいでしょうか。また、その場合、依頼者側で、ルールや運用を決めるにあたり、留意すべき点やポイントがありましたら、ご教示いただきたく存じます。

 昨今、治験全体的な流れとして、リスクに基づいたモニタリング、メリハリづけが必要になっておりますので、治験計画を検討するうえで、考え方について整理させていただきたく存じます。 

製薬協見解

 GCP第22条第2項に、「モニターは、モニタリングの実施の際、実施医療機関において実地に行い、又はこれと連絡を取ったときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を治験依頼者に提出しなければならない。」と記載があるため、これに該当する場合は、モニタリング報告書の作成が必要です。

 一方“モニタリング”とは、GCP第2条第22条に以下のように定義されています。
「この省令において「モニタリング」とは、治験又は製造販売後臨床試験が適正に行われていることを確保するため、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験の計画書又は製造販売後臨床試験の計画書に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者若しくは製造販売後臨床試験の依頼をした者が実施医療機関に対して行う調査をいう。」

 そのため、モニタリング報告書の作成が必要であるか、他の方法、例えば、統一書式、送付状およびメールを保管することで問題ないかの判断や基準については、モニタリングの定義を確認しつつ、各手法が記録の残し方として適しているか、また規制要件を満たしているかを考慮して決定する必要があります。なお、ルールや運用を決める際には、各手法が記録として適しているか標準業務手順書やモニタリングプラン等の基準文書でそのルールや運用を明確に規定する必要があると考えます。 

このページをシェア

TOP