医薬品評価委員会 2023-49 原資料からEDCへの転記について

関連分類:その他

初回公開年月:2024年02月

質問

原資料からEDCへの転記についてご見解を伺いたくご連絡しました。

【ご質問】
・EDCへCRCがデータを入力する際は原資料(原データ)の完全転記が必要となりますでしょうか。

例えば、EDCで収集されるデータの中には、有害事象の発生有無(Yes/No)や併用薬情報、入院の有無・期間、輸血の有無などカルテを閲覧することで第三者が明確に読み取り可能で、CRCが医学的判断を伴わずにEDC入力/回答可能と思えるデータ(設問)は多くあるかと思います。
このようなEDCの設問について、原資料特定リストにて電子カルテを原資料として特定することで、ワークシートの作成は不要かつCRCが回答(EDC入力)することは許容されるのでしょうか。それとも厳密に完全転記を行うことが必要で、EDC上の各設問に対して、回答が1対1になるように作成されたワークシートが必須となるのでしょうか。
もちろんEDC入力の際に医学的判断が伴う場合はCRCが上記の対応をすることは禁止とは存じております。

<備考>
・治験119番の2014-30 原資料の英語表記においてカルテの日本語記載を英語にて転記することは問題ない(医学的判断が伴わない限り)とのご見解かと存じます。
・現状EDC入力について原資料の完全転記にて実施が必要という理解でおりますが、膨大なワークシートの作成が施設の負担になっているという現場の声があり、上記のご質問が上がりましたのでご見解を頂けますと幸甚です。

製薬協見解

「リスクに基づくモニタリングに関する基本的考え方について(令和元年7月5日)」において、「実施医療機関においては、治験のプロセス管理に重点を置いて、正確な症例報告書が作成されるための適切な方策を実施することが必要である。」とされており、原資料の内容を正確にEDCに入力するプロセスを構築することが求められています。EDCの各項目に対応するワークシートを作成することも、正確な症例報告書を作成するための方法の一つですが、この場合でも、EDCの入力項目すべてに対して、完全に一致する原資料(ワークシート)を作成する必要はないと考えられます。

一方で、カルテに記載された情報を読み取ることで、医学的判断を伴わず正確にEDCに入力できる項目については、ワークシートを作成しない方法も検討できると考えられます。この方法においてCRCがEDCに入力する場合、バイアスや推測が伴わない状態で転記を行う必要があります。また、必要に応じて詳細なプロセス(カルテの確認箇所や医学的所見が認められた際の対応など)も取り決めておくことをおすすめします。

なお、診療録等に記述がある情報をワークシートに記載するケースでは、ワークシートを原資料と定めた場合であっても、診療録等の情報が優先されるケース、もしくは記録間の不整合について説明が必要となるケースもあります。ワークシートを作成することが一律に正確な症例報告書を作成するためのリスク軽減措置とはならないケースがあることにも留意する必要があります。
医療機関毎の診療録作成のプロセス、ポリシー等を確認し、データの重要性等も踏まえたリスクを基に対応を検討することが望ましいと考えます。

 

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