医薬品評価委員会 2023-14 IRB持ち回り審議について

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2023年08月

質問


IRB持ち回り審議に関する質問です。コロナ禍が終息した後も、当院では対面審査と持ち回り審査の両方を活用したいと考えています。
以下の質問に対しご教示くださいますようよろしくお願いいたします。

現在、当院では新規治験の審議が無い場合は、厚生労働省の事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る治験に関する審査委員会での審査の取扱いについて」に従い、コロナ禍の特例措置として、電子メールによる持ち回り審査を実施しています。これまで、当院では持ち回り審査において特に問題は生じていないこと、コロナ禍以前においても、例えば厚生労働省の審議会等で持ち回り審査が行われている(例:平成28年2月4日開催第15回厚生科学審議会感染症部会)こと等から、今後は下記の条件の場合に対面審査を行い、それ以外の場合は、クラウド型文書管理システム”Agatha”を活用し、持ち回り審査を継続したいと考えております。電子メールと異なり、クラウド型文書管理システム”Agatha”では、IRB委員毎個別にIDを付与し、パスワードに加えワンタイムパスワードを発行することによりログイン可能で、クラウド上のIRBのワークスペースにて双方向の意見交換が可能です。クラウド型文書管理システムを用いたIRB審議がGCP違反とならないようでしたら、治験依頼者に理解を求め、治験審査委員会で委員の了承を得た後、標準業務手順書の改訂を行う予定です。

クラウド型文書管理システムを用いたIRB審議がGCP違反か否か、GCP違反とならない場合、当院の対面によるIRB開催条件(案)で問題ないか、ご教示くださいますようよろしくお願いいたします。

対面によるIRB開催の条件(案)

○ 新規依頼の治験の審議
○ GCPの規定による継続審査(医薬品の場合GCP第31条第1項)
   治験を継続して行うことの適否に関する審議、少なくとも1年に1回以上の開催
○ 被験者保護の観点から安全性に関わる事項の審議
   ・ 当院で発生した重篤な有害事象報告第1報
     ただし、治験薬との因果関係が否定できない場合に限る。第2報以降については、対面で審査するか否かIRB委員長が判断する
   ・ プロトコール、同意説明文書の改訂が必要となる安全性情報報告の審議
   ・ 被験者の意思に影響を与える可能性があると治験責任医師又はIRB委員長が判断したプロトコールの改訂、同意説明文書の改訂の審議
○ IRB委員長が必要と認めた場合
○ 配付されたIRB資料の確認後、IRB委員が対面審査を求めた場合

製薬協見解


メール等による持ち回り審査は、あくまで新型コロナウイルス感染症蔓延化における特例措置として認められたものであり、平時における対応としては適用されないと考えます。

今回ご提示いただいた方法は、クラウド上にて双方向の意見交換が可能とのことですが、リアルタイムでの意見交換ができない、すべての委員が議論に参加しているかどうか保証できない等、対面で行われる場合と同等の質での審議の担保が難しいと考えます。したがいまして、進行中の治験に関わる軽微な変更を除き、原則対面またはそれと同等の質で審議が可能な方法で実施すべきと考えます。
 

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