医薬品評価委員会 2023-06 ALCOAの対象範囲について

関連分類:その他

初回公開年月:2023年08月

質問


原資料作成・修正を行う際のALCOA対応は日本においてもだいぶ根付いてきたように感じております。その一方で全ての資料にALCOAが必要との考えを持つ方もおり、医療機関の負担増加にも繋がっているのではないかと考えております。GCP運用通知では、原資料とは、被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指しております。
この「治験の事実経過の再現と評価に必要な記録」だけを見ると治験で発生する資料全般とも読みとれますが、事実経過の再現と評価に必要な記録の範囲とはどの程度を指しているのでしょうか。

例えば、ワークシートで治験薬の投与記録(CRFの根拠となる)を作成している場合に、治験薬管理表(CRFの根拠とならない)の修正にもALCOAが必要となりますでしょうか。ネット等で確認できる資料の多くが被験者の医療データを例として挙げていたため、治験周りの事務的な資料や、CRFや医師判断の根拠とならない資料が事実経過の再現と評価に必要な記録に該当するか見解をご教示いただきたいです。

製薬協見解


GCP第2条ガイダンス6で、「原資料とは治験の事実経過に係る情報や症例報告書等の元となる文書、データおよび記録」と定義されていますように、医療機関で作成される治験に関するあらゆる記録が原資料となり得ます。原資料に含まれる「原データ」は同条ガイダンス18(12)において「治験における臨床所見、観察その他の活動に関する元の記録及びその保証付き複写に記録されているあらゆる情報であって、治験の事実経過の再現と評価に必要なもの」と定義されており、GCP第41条第1項4において原データはALCOAを満たすことも定義されています。また、GCP第21条第1項9(11)でモニターは「正確かつ完全で、最新に至る原資料等の全ての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。」と定義されていることからもすべての原資料(原データ含め)はALCOAに準じて資料作成される必要があります。
 
ご質問の中で例として挙げられている、ワークシートの治験薬の投与記録(CRFの根拠となる)と、治験薬管理表(CRFの根拠とならない)に関してですが、記載された情報が原データであるならば、それぞれ投与の経緯を再現する記録、治験の出納を再現する記録となり、ALCOAに基づいた資料作成が必要となります。
 

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