医薬品評価委員会 2021-59 同意取得前のWash-out

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2022年03月

質問

2014-42の見解に記載のとおり、同意取得前の前治療薬のWash-outは治験行為に該当しますが、以下のケース①②について、治験行為に該当するか否か、ご見解をご教示ください。
 
≪背景≫
治験の事前説明を行い治験に参加したいとの被験者候補の意思を確認(文書同意は未取得)。次回来院時を同意取得予定日とした。
事前説明の際、前治療薬AのWash-out期間があるため、Wash-out開始から3週間後でないと治験を開始できない旨を伝達していた。
 
≪ケース①:被験者自らWash-outを開始した≫
事前説明後、同意取得予定日より前に、毎朝服用していた前治療薬Aの服用を被験者が中止した。予定日に同意取得し、前治療薬Aの最終服用日から3週間後に治験を開始した。医療機関としてWash-outを促すような発言はなく、被験者候補が治験に早く参加したいと考えての服用変更であった。なお、前治療薬Aを服用しなかったことによる安全性の懸念はないとの医師判断であった。
 
≪ケース②:被験者の希望に沿って選択肢を提示した結果、被験者自らWash-outを開始した≫
事前説明の際、被験者候補が治験に早く参加したいと希望があったため、早く始めたい場合、前治療薬Aの服用をやめてもよい旨を伝達した(服用を止めても安全性に懸念はないとの医師判断のもと)。その結果、同意取得予定日より前に、毎朝服用していた前治療薬Aの服用を被験者が中止した。予定日に同意取得し、前治療薬Aの最終服用日から3週間後に治験を開始した。

製薬協見解

被験者自らが自己判断によりWash-outを行った場合であっても、2014-42のケースと同様に治験行為に該当すると思われます。ご質問①、②のいずれの場合も以下の理由により、不十分な治験の説明により被験者の誤った対応を誘発したケースであると考えます。
 
1.本来文書同意の取得後に行うべきWash-outが被験者の自己判断により文章同意取得前に行われてしまったケースであり、治験の説明がなければ被験者が自己判断により前治療薬Aの服用を中止することはなかったと考えられ、その原因は不十分な同意説明によると考えられること。
 
2.文書同意取得前の前治療薬Aの中止は、治験の補償期間に入らない行為となることから、前治療薬Aの中止に伴い安全性上の問題が発生した場合に、補償の対象とはならず被験者の不利益を招く可能性があること。
 
ご質問①、②のようなことが起こらないよう、事前説明であっても同意取得時の説明と同様に、予め治験審査委員会で承認された説明文書を用いて被験者の理解を確認しながら十分な説明と質疑・応答をご実施ください。

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