医薬品評価委員会 2021-44 代諾者と同等の者による同意文書への代筆

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2022年01月

質問

GCPについて質問です。
被験者は説明文書を読み治験に同意しましたが、疾患(脳梗塞)による麻痺でペンが持てず署名できませんでした。説明および同意に立ち会った被験者の妻が公正な立会人となり、妻が同意文書の公正な立会人署名欄に署名し、被験者署名欄と代諾者署名欄が空欄としました。
今までは上記の対応でしたが、対応が間違っていればご指摘ください。2021年7月30日のガイダンスを受け、今後、記録不足になるかどうかお伺いします。

第52条第1項3の「代諾者と同等の者が同意文書にその旨を代筆し、経緯及び被験者との関係を記入」が追加になりました。
① 被験者が説明文書を読めたので、妻の立場は公正な立会人ではないのでしょうか。
② “その旨”は何を書くのでしょうか。
③ “経緯”はどのようなことが最低限必要でしょうか。
④ 妻の署名欄として、「代諾者と同等の者署名欄」を同意文書に用意し、公正な立会人とは別にするのでしょうか。
以上4点ご教示お願いします。

製薬協見解

公正な立会人とは、GCP第2条ガイダンス18(5)に記載された通り、被験者や代諾者に代わって同意をする者ではなく、同意取得が適正に行われたことを証する者であると考えます。したがって、令和3年7月30日に改正されたGCPガイダンス(薬生薬審発0730第3号)以前であっても被験者又は代諾者の署名は必要です。なお、被験者の妻は、通常、代諾者(又は、本ガイダンス改正後のいわゆる代筆者)になり得ます。

ご質問について、今回のガイダンス改正後の見解は、以下のとおりです。
① 被験者の妻は、代筆者に該当すると考えます。
②  “その旨”は、被験者となるべき者が治験への参加に口頭で同意した旨を記入することでよいと考えます。
③  “経緯”は、被験者となるべき者が説明文書を読むことができ、その内容を理解することはできるものの、疾病等の影響で自ら同意文書に署名し、日付を記入することができないために代筆者が代わって記入した事実を、代筆者と被験者との関係と合わせて記入することでよいと考えます。
④ 同意文書の署名欄の記入方法は、実施医療機関で定めることでよいと考えます。なお、代諾者と同等でない者が代筆者として同意文書に記入することがやむを得ない場合には、代諾者と同等でない代筆者とともに公正な立会人の署名も求められます(GCP第52条第1項ガイダンス3)。このため、あらかじめ署名者の立場を明示するのであれば、代筆者と公正な立会人の署名欄は別にするべきと考えます。

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