医薬品評価委員会 2020-51 SMO変更時の手続き

関連分類:治験契約手続き

初回公開年月:2021年04月

質問

弊社ではSMO業務を行っております。

あるクリニックにて実施中の企業治験についてCRC業務・治験事務局業務を行っており、IRBについても弊社のセントラルIRBへ依頼しているため、IRB事務局支援業務も弊社にて実施しております。

この度、治験は継続中ではございますが、SMOを他社(A社といたします)へ変更することとなりました。

治験依頼者、CROとの協議の上、新しいSMOへは、CRC業務・治験事務局業務を依頼、IRBは引き続き弊社のセントラルIRBへ依頼することから、IRB事務局支援業務は弊社にて行うこととなりました。

GCP上、業務の引継ぎを行う際に必要な書類としましては、以下のもので差し支えございませんでしょうか。

  • A社と実施医療機関での業務委受託契約書
    (業務委受託契約書締結後、治験分担医師・治験協力者リストにA社CRCを追加)
  • 現在締結中の治験費用に係わる覚書・見積書について、
  • 治験依頼者、実施医療機関、A社、弊社での変更覚書の締結
  • 業務の引継ぎ完了に関する記録

尚、A社と弊社間での秘密保持契約書は締結が完了しております。
また、弊社と実施医療機関の間での業務委受託契約については、将来監査や実地調査等が行われた際に対応可能とするため、解約はせず、引き続き継続する予定です。

上記の他、必要な書類等ございましたら、ご教示いただけますと幸いです。

製薬協見解

GCP第39条の2ガイダンス1に「治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、実施医療機関が、当該業務の受託者と契約を締結すること」とあり、また同条ガイダンス3には「実施医療機関と当該受託者は文書により、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、実施医療機関が、手順書に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結すること」、同条ガイダンス5には「実施医療機関が当該受託者に委託した治験に関する業務については、当該受託者との間で取り交わした文書に全て明記しておくこと」とされています。

また、SMO受託業務の適正な実施に関する自主ガイドライン(2005年4月22日作成)、12.業務委受託契約の締結には、「契約形態は委託者との2者契約を原則とするが、治験依頼者を含めた3者契約あるいは治験依頼者が開発業務受託機関(CRO)を利用している場合には4者契約が考えられる。但し、記載事項については、受託業務の内容により、適宜、追加あるいは削除する。」との記載があります。

従って、実施医療機関が治験の実施に係る業務の一部を委託することに関し、実施医療機関とA社、及び、必要に応じて委託業務が終了することに関し、実施医療機関と質問者の所属会社との間でそれぞれ2者契約を締結、もしくは、質問者の所属会社とA社との間で取り決め事項等がある場合は、実施医療機関、A社、質問者の所属会社の3者契約(または治験依頼者を含めた4者契約)を締結するパターン等が考えられます。契約書には、A社に委託された業務を明確に記載する必要があるとともにいつからCRC業務・治験事務局業務をA社に変更したかについても、文書で明確にすべき事項と考えます。その他にもご質問に記載された業務引継ぎの記録等は治験を説明する上で重要な記録となりますので保存されることをお勧めします。最終的にどのような記録を残すべきかについては、実施医療機関ともご相談の上決定していただければと思います。

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