医薬品評価委員会 2020-35 治験参加の同意撤回等に関する記録について

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2020年12月

質問

治験責任医師から、同意撤回に関して、「同意撤回文書」を作成し、同意撤回に対して署名を受けるべきと意見を伺いました。これまで治験では同意撤回に対して、いつでもどのような理由であっても同意撤回が可能ということで署名までは不要と考えておりましたが、被験者の意思を残す必要があるとのことで、同意撤回文書案の作成依頼がありました。

この場合、同意撤回文書の作成は治験責任医師の判断ということでよろしいのでしょうか。同意撤回文書の作成可否について、ご意見を伺いたいと思います。

また、同意説明を行ったが治験参加を断った患者に対し、治験参加をしないという署名を受けるべきとの意見も受けました。同意拒否については、スクリーニング名簿で確認出来ること、カルテへ記録を残すことで良いと医師へ伝えたのですが、記録と本人の意思表示は別との考えであるようです。

治験の説明を聞いてもらったうえで拒否された患者に対し、署名までしてもらう必要があるのかどうかという点について、CRCとしては違和感を感じております。

上記2点、どちらも治験責任医師の判断かもしれませんが、ご意見をいただけますと幸いです。

製薬協見解

説明文書に記載すべき事項として、GCP第51条第1項8)には「治験の参加をいつでも取りやめることができる旨」が、また同条同項9)には「治験に参加しないこと又は参加を取りやめることにより被験者が不利益な取扱いを受けない旨」が規定されています。治験の参加は被験者又は被験者となるべき者(以下、「被験者」)の自由意志を最優先に考える必要があり、治験への参加を拒否する、又は、一度同意した治験参加の意思を撤回することについて被験者にプレッシャーを感じさせないような環境づくりが必要です。ご質問にあるような「同意撤回文書」や「治験参加をしないとする文書」に被験者の署名を求めることはGCPでは要求されていません。また、このような文書の提出を要求することになりますと、被験者に「断る」ことへのプレッシャーを感じさせる可能性がありますので、導入は慎重に検討すべきと思われます。

上記の観点より、このような文書に被験者の署名を求める場合には、治験審査委員会の意見を聞くことをお勧めいたします。また、同意撤回時に被験者の署名を求める場合には、予め説明文書にその旨を記載する必要があります。

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