医薬品評価委員会 2020-36 口述筆記を用いたCRCによる医学的判断の原資料へ記載について

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2020年12月

質問

医師より口頭で聴取した医学的判断をCRCが原資料へ記載(口述筆記)し、それを医師が最終確認することの可否に関する質問です。

2007年に厚労省より発表された『医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について(平成19年12月28日医政発第1228001号 厚生労働省医政局長通知)』という通知において、「医師が最終承認すれば、事務職員が診療録や診断書を記載することも可能」となっています。この通知に基づき、業務効率化のために事務職員が医師の近くについて、医師より口頭で聴取した内容を電子カルテに代理入力している施設も多くあります。医学的判断を多く含むカルテを事務員が入力可能なのであれば、有害事象のワークシート等医学的判断を伴う項目を医師からの聴取内容に基づきCRCが記載することも問題ないと考えますがいかがでしょうか。

医師の治験業務量削減、並びにEDC入力スピードにも大きくつながってくる事項ですので、見解をご教示いただけますと幸いです。

また貴協会HPに掲載されております、2018年11月のニューズレターにおいて、口述筆記を実施している旨の記載があります。2019-40の回答とは相容れないものになりますが、貴協会としては口述筆記自体は問題ないというご見解でしょうか。

http://www.jpma.or.jp/about/issue/gratis/newsletter/html/2018/88/88cm-07.html

背景

若干質問内容が異なりますが、2019-40において「ファーストレコードの段階でCRCが医学的判断を伴うEDC入力を行う当該手順は妥当か」という質問に対し、「日本において医学的判断は医師のみが実施できる行為ですので、医師ではないCRCが医学的判断を行うことは問題」という回答をされています。また2011-21において「CRCが医学的判断が伴わない事項をワークシートへ記載することは問題ない」旨の回答がされています。

これら2つの回答を勘案すると、例えば医師より口頭で聴取した有害事象について、医師が最終確認するにしてもCRCが有害事象のワークシートを記載(及びその後EDC入力)することは不可のように読み取れます。

製薬協見解

有害事象のワークシート等医学的判断を伴う項目を、CRCが、自らの判断ではなく、医師からの聴取内容に基づく口述筆記により記載することは問題ないと考えます。この場合、第三者があとで検証できるように口述筆記による原資料の作成手順(含、口述者による確認方法)について文書化し、当該手順に従って作成されたことを第三者が検証できるようにしておくことがよいと思います。

また過去の見解2019-40は、原資料からEDCへデータ入力するケースではなく、EDCに直接入力されたデータが原資料になるケースですので、治験責任医師等の責任範囲である医学的判断の記録をCRCの名前・責任で記録(EDC入力)することが問題であるとの趣旨で述べています。一方、見解2011-21では、EDCへのデータ入力前に、原資料であるワークシートへ観察・測定データを記録するケースですので、これらの見解は相反するものではありません。

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